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すのーどろっぷ  作者: ウニパスタ
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4話 魔法が苦手な剣士、エリカ

 夢を見た。


 一人の男が赤い爪とマンションの3階くらいの大きさの体を持った黒いドラゴンと鉢合わせていた。そしてこの男の使う魔法は俺と同じ『花魔法』だった。男は、ドラゴンの放つ炎を桜の花吹雪により防ぎ、俺が今日のゴブ長(※ゴブリンの長の略)と戦った時に発動した『花魔法 デビルズ・ブレス』を放ち、自分よりも遥かにでかいドラゴンの動きを封じた。すると後ろから銀髪のエルフが飛び出し、細い腕で握っている剣で大木くらいの太さの首を飛ばした。そこで夢は終わり俺は目を覚ました。


「あの夢はなんだったんだ」


 時刻は5時くらいだろう、あの夢はなんだったのか気になったが一旦忘れて散歩でもしようかと思った。


 この世界は今、地球でいう夏のようで5時くらいなのに外は明るい。

 俺は宿から出て少し歩いたところにある広場まで来た。流石にこの時間に人はいないと思ったが一人だけいた。


(あれってエリカだよな)


 そこには、エリカが朝早くから木刀を片手に素振りをしていた。朝っぱらから頑張ってんなと思い声をかけた。


「朝っぱらからどうして素振りなんてしてんだ」


 エリカはこっちに気づき動きを止めた。


「........別に、、日課だから」

「どうして刀の鍛錬なんてしてんだ?」

「......私、魔法は苦手だけど剣術なら少しはできるからそれで、、、」


 エリカは魔法が得意ではないため剣術を鍛えているらしい。後日、どうしてゴブ長に剣術を使わなかったか聞いたところ俺たちと同じく草原に転移した時に刀も何も持っていなかったため使いたくても使えなかったらしい。


「でも再生魔法はすごいと思ったんだけどな〜」

 あの時の再生魔法があったために杏奈は助かったわけで感謝もしてるし尊敬もしている。

「......再生魔法も私は苦手。故郷の人たちなら5分あれば治せたと思う」


 エリカがどのくらい魔法ができるのかは知らないが杏奈が助かったのは事実なのだからそういうことはいわないでほしいと思う。が、何か言っても無駄な気がするのでこれ以上いうのはやめておいた。それに、


「まあ事情はわかったから頑張れよ。もう俺の仲間なんだからな」

 仲間であることには変わらないため誰かが秘密を持っていてもいずれは信頼しあい、分かることだろうと思った。

「それと、ええと、どこに、、、、あった!!!」


 バサッ

「!?」


 俺はエリカの頭にタオルを被せた。


「そんな体濡らしてると風邪引くぞ」

「.....ありがと」


 俺はそのままエリカと別れて宿に戻った。

 この後、俺のタオルを首に巻いて帰って来たエリカに杏奈が質問攻めの尋問をしていたのは別のお話。


――――――――――――――――――――――


 転移してから一日が経過した朝、俺たちは宿を出てこの町『ヘゴニア』をあとにした。次の町である『オダマキ』へ向かった。『ヘゴニア』からは馬車で一週間、歩いて一ヶ月らしい。俺たちはゴブ長を倒したと言っても金はギリギリ一ヶ月生きれるかくらいしかないため歩いての旅になる。


 これらは旅の日記だ


『ヘゴニア』を出て1日目

 歩いている途中で蜜の匂いを出す花の魔物に出会い、杏奈が釣られて頭から食われた。幸い消化液でベトベトになっただけだった。また夜ご飯でそこらに生えている青い実を食べてみると毒があったようでエリカの再生魔法のお世話となった。そして寝た。


『ヘゴニア』を出て2日目

 雪山に登った。気温はとても寒く、持っていた水は凍ってしまっていた。流石にこの気温には魔物もいないのか遭遇しなかった。途中、杏奈が「ゆ、ゆ、雪男ーーーーーー」と騒いでいたが幻覚だろう。そして今日はテントを張って寝た。


『ヘゴニア』を出て3日目

 死んでもおかしくない吹雪に見舞われたがなんとか生きて雪山を越えた。越えてすぐ花の魔物にまた杏奈が騙されてベトベトになった。そして、べちゃべちゃのパンは雪山のおかげかわからないが舌触りが良くなっていてマシになっていた。


『ヘゴニア』を出て4日目

 俺たちは追われていた。


 遡ること数時間前、いつものようにエリカ、俺、杏奈の順で目覚めて旅を続けていたところゴブリンに小さなオオカミの魔物の子供がワシのような魔物に襲われていた。


 キャーーン、キャーーン


「あの子を助けないと」


 そう言って杏奈はワシのような魔物に向かって雷刃を放ち、首が飛んで地面に落ちた。


「大丈夫?」

「キャーン!」


 足には爪で引っ掻かれた傷があり、怪我をしていた。


「エリカ。再生魔法してもらってもいい?」

「.......わかった」


 エリカが再生魔法を使うとたちまち傷は治り、元気な状態になった。


「よかった〜〜〜〜」


 杏奈は優しい子である。そのため動物も必死で助けたがる女の子である。


「杏奈こそ大丈夫か?」


 あとから連夜が追いかけて来た。


「べ、べ、べ、べつに大丈夫よ」

「?」


 狼の魔物も元気を取り戻してキャンキャンと駆け回っている。

 するとエリカと杏奈の顔が青ざめた。


「レレ、レ、レ、レ、レ、レン!!!!!後ろ」

「........連夜、後ろ」

「何をそんな慌て、、、、、!?」


 ガルルルル


 大きなオオカミの魔物が連夜の背後に立っていた。その魔物の眼には杏奈が抱いているオオカミの魔物の子供がいた。

 この時、すぐに子を返せばよかったのだろう。俺たちは焦り、オオカミの魔物の子を持ったまま、


「逃げろーーーーーーーーーーーー」


 逃げてしまった。


 そして現在、


「これからどうしたらいいかしらーーーー!!!!」

「どうもこうも逃げるしかねえだろーーーーーーーーーーーーー!!!!!!」

「........逃げるしかない」


 オオカミの魔物は俺の身長くらいあり赤い眼が俺たちに殺気を放っている。


ガーーーーーーーーーー


 爪で引っ掻いてきたが雪山のせいで厚着をしていたお陰で衣服だけが引き裂かれた(俺のなので需要はない)。


「クソ!戦うか!」


 俺たちは三人で立ち向かった。子供を置いていけば戦わずに済んだのだが、、、

 俺たちは自分のスキルを発動した。


『雷刃 スカイウォーク』


 この4日間の間に杏奈は少しスキルを使えるようになり、『雷刃』の上に乗り、『雷刃』を操作することで空中移動を可能にした。


 シャキンッ


「......絶対倒す」


 エリカは『ヘゴニア』で銀貨6枚で買った剣を取り出した。


『花魔法 桜吹雪』

 

 この4日間、夢でドラゴンの炎さえも相殺していた『花魔法 桜吹雪』をつけないかと特訓し、桜吹雪(序)である。


 俺たちは一斉にオオカミの魔物の方へ行った。


 まず、俺が『花魔法 桜吹雪』を自分に纏わせることで空中移動をした。そして、杏奈が『雷刃』をオオカミに向けて放ち、眼を潰した。視界が悪くなったオオカミの魔物は爪の攻撃を仕掛けたが、桜吹雪一つ一つの鋼鉄のように硬くなった集合体により防がれた。防がれた衝撃で体勢を崩したオオカミの魔物に、


「......絶対倒す」


 エリカは刀をオオカミの心臓に狙いを定めて、自分の水魔法を纏わせた刀が、

「海雲両断」

 海や空おも切り裂く斬撃がオオカミの心臓を両断した。


 ワオーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン


 オオカミの魔物の子の悲しみの雄叫びとオオカミの魔物の断末魔が響いた。



オダマキの花言葉→愚か、あの方が気がかり

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