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第26.5話 息抜き②

………なんだ?あの男キャラは……。


アニメとかに興味の無さそうな店主がいる厨房に、異彩を放つ男キャラ。


遠くからもわかる細かい線はきっとシワを表しているのだろう。それに、髪色は白髪、又は銀髪であり、そのことから大分歳を重ねたキャラであることが察することができる。


しかし、どうしてこんなところに───


「お客さん、カツ丼できたよ。」


「ピャッ!

……あ、す、すいません。ありがとうございます…。」


び、びっくりした。急にそんなダンディーな声で話しかけないでくれよ。

耳がやられるだろうが…。


ひとまずさっきのキャラクターのことは

一度忘れて、めちゃくちゃ美味そうなカツ丼を食べることにする。


………アチアチアチっ!


揚げたてだから当たり前か。


だけど、これはめちゃ美味だな。


衣がサクサクで、ほどよい歯応えを感じる。

1噛みすればカリッ!と心地の良い音が口から耳に響き渡り、2噛みで肉の旨みが広がってゆく。

その感じを口に残したまま、卵と白米を口に運ぶ。


……うわマジかこれ最高かよ。

なんでこんなに合ってしまうんだ。


卵は味が若干薄めに作られており、トンカツと

一緒に食べることが前提とされているのだろうか。しかし、その分メインのトンカツの味を

全く邪魔することなく美味さを引き立てていた。


そして、カツの汁が染み込んだ白米も引き立て役としてしっかりと活躍していた。


うま…うま……。


と心の中で言いつつ黙々と食べていると


「……お客さん。」


「ムグッ!」


またもやいきなり店主が話しかけてきた。


「……ンンッ!

は、はい?なんですか?」


今度はなんだろう。食い方が汚かったのか?

あ、食べてる時の顔が気持ち悪かった?

やべー。もしそれだとしたら心当たりしかねぇー。


「…お客さんはもしかしてアニメとか、

Vtuberていうものが好きなのかい?」


「…え。」


「おや?

やたら熱のこもった視線をこいつにぶつけてたからよ。てっきりそうじゃないかと思ったんだが。」


そう言いながら俺がさっき見つめていた男キャラを持ってきた。


「あ、はい。

そ、そうですね。好きです。はい。」


見つめていたのがバレていたことの恥ずかしさと、(イケオジボイス)店主が近くで話しかけてくる、シンプル人見知りでしどろもどろになる俺。


「そうか。よく見てるのか?」


「まぁ、ぼちぼちですが。時間がある時に見るくらいで。」


「なるほどな──」


そこから店主はしばらく洗い物などをしつつ、

俺が食べる手を止めるとVtuberの話を振ってくる。そのおかげか、緊張もほとんどなくなりスムーズに話すことができるようになっていた。


…正直歳を重ねた店主からVtuberの話が出てくることはかなり驚いたが、話をしてて逆に俺は1つ合点がいったことがある。それは


「…店主さんって、このキャラクターとして

Vtuberやってるんですか?」


「おう。やってるよ。」


ですよねー。

なんだろう。俺はあまりVの中の人の顔を見たくないタイプなんだけど、この人に関してはむしろそっちの方が嬉しいまである。


確かに、この声とこのキャラクターは声が合っている気がする。

いつか配信にお邪魔してみたいな。


その後も俺が食べ終わるまで、店主と話をして

Vtuberとしての名前とその他諸々(活動のきっかけなど)を聞いて、俺はその店を出た。


「…ふぅー。色んな意味でお腹いっぱいだな。めちゃ美味だったし、記念で安くしてくれたし。

もうここは俺の行きつけの店にしよう。」


とりあえず、今日は夕方までVのことを忘れて楽しむ。と決めたのだ。

さっきは少し、というか大分Vtuberのことを考えてしまっていたが、ここからは気をつけよう。


さて、どこに行こうかな。と俺はまた歩みを進めた。

















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