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第26.0話 息抜き①

リスナーにおいてのキャラクターとはなんだろうか。


既存のキャラクターの名前を借りた存在か。

自分で作り上げたオリジナルのキャラか。


大きくはこの二つに分けられるだろう。


ただ、どちらが多いかと問われれば前者の方が

数がいる気がする。


その理由もなんとなく見当がつくだろう。


既存のキャラ、さらに誰もが知るキャラクターだとなりきるのも簡単だし、配信者や

リスナーにいじられる可能性も高くなるのだ。


しかし、やはりやるとしたら後者の方が面白そうだと感じるのは、俺の闘争心なんだろうか。






「……え?待って??

キャラ作るのってむずくね??」


自室のベッドに横たわり、スマホのメモ帳アプリを開きながら俺は頭を悩ませていた。


自分なりのリスナー像を想像するにあたり、

俺が大事にしたいことは

『リアリティー』

なのだが、それを踏まえてのキャラクターが

考えつかないのだ。


一度は自衛隊の経験を活かしたリスナーになってみようかとも思ったのだが、秘密にしないといけないことも多いし、そもそも

自衛官の教育期間に辞めたこともありそこまで知識があるはずがなかった。


しかし、どうしたものだろうか。

考えていても時間だけが過ぎていく。


「………部屋にいても何も思いつかなそうだし、気分転換に外に出るか。」


家でダラダラしててもネタなんて思いつかない。そんな風にふと思った俺は、さゆりに出かけることを伝え、簡単に着替えを済ませて最小限の荷物で外へ出た。


「最近バイト以外で外出ることなかったから

なんか景色が新鮮だなぁ……。」


一旦キャラクターに関することを忘れて夕方まで楽しむことにする。


…さて、まずはどこへ行こうか。


今の時刻は12時少し前。昼食にするのに丁度いいのではないだろうか。


スマホを取り出し近くの飲食店を調べる。

すると、俺の行ったことのないような店が次々と表示された。


案外住み慣れた街でも、そんな場所がたくさんあることに少しの感動を覚えつつ、せっかく

だから家族でも行かないようなところに

行こう。と俺は車ではいけないような路地の中にあるお店で昼食をとることにした。


十数分程歩いて、スマホのナビが示した場所へと着く。

古びた見た目に、掠れた文字で書かれた営業中の看板。

まさに隠れた名店と呼ばれているような外観だ。

きっと美味しいに違いない。微かな期待を胸に、俺は戸を開いた。


「……いらっしゃい。」


激渋い声が厨房から聞こえ、その方を見やると

いかにもといった男が1人、そこには立っている。


Vtuberになったら人気出るんじゃねぇかな。


と早速Vに関することを感じてしまいつつも、

あまりの声の良さに耳が震えた。


客は俺以外に2人と少なかったけれど、

逆にそれが落ち着くのでまぁ良かった。


カウンター席に座り、壁に飾られたメニュー(意外と色んな種類がある)を見て俺は結構

好きなカツ丼を頼んだ。


はいよ。の声と共に作業を始めた店主のおじ様を尻目に、店内に視線を巡らせてみた。


……そこで、俺はある違和感に気づいた。


(なんか……新しい感じがするな…?)


まるで新築というか、最近の店に多い明るめの色の照明を使っている気がする。

いや、あくまで気がするだけなのだが、

ひび割れた外の看板に対して、店内のメニューが書いてある木の板はまるでつい最近制作されたかのように綺麗なのだ。


……まぁしかし、特に気にするようなことでもないんだけどな。店内だけリフォームした可能性もあるし。


「…おや?」


せっかくだから店主の料理風景を見ていようと

大きな背中を見つめていると、厨房の奥に色々なものがぶら下げられているのが目に入った。


……うん?よく目を凝らしてみれば、

あれはキャラクター……?


俗に言うアクリルキーホルダー…??


そう。そこに下げられていたのは凛々しい顔つきをした男性キャラだった。










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