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第19話 愛?

カレンに教えられた配信開始時刻よりほんの少し前。


せっかくだからと俺は待機所に来ていた。


そこには、すでに多くの待機コメントであふれていて、多くの人からこの配信を楽しみにされてきたことがわかる。


未だ配信は始まっていないのにコメントがあっという間に流れていく。


流石に冬海の速度には及ばないけれど、それでもコメントをちゃんと追えるのか心配になるくらいには速い。


「……これが人気個人Vtuberか……。」


試しに俺も待機とコメントしてみるが、あっという間に画面の外へ消えていく。


そんなことをしばらく続けていると

画面が情報量の多いものへと映り変わる。


グッズ情報、案件かと思われる過去配信、

今後の予定。それらが順番に表示されている。


そして画面の中央には、イキシアさんの

ミニキャラらしき可愛い存在が走るアニメーションが流れ、その足元をNow loading…の文字と、ゲージのようなものが溜まっていっている。

BGMもほのぼのしたもので、イキシアさんの雰囲気に合っているのではないだろうか。


やがてゲージが満タンになり、また画面が映り変わる。


そして、、ついにイキシアさん本人の姿が画面に映った。


『━━━━あーー。

・・もしも〜し。聞こえてますか??』


そう、イキシアさんが声を出した瞬間、


:うおおおおおお!!

:こんきしゃ!!

:こんきっしゃあああああ!

:きちゃ

:ずっと。。。待ってた・・・。

:こんきしゃ!


:¥4,000

今日も綺麗な声ですね!!


:こんきしゃ〜



ものすごい速さでコメント欄が動き始めた。


いやいやどうなってんだよ。

まだ配信始まったばっかだぞ。こっから一気に同説も増えると思えば大分やばい。


・・これ、俺のコメント読まれんのか・・・?


当たり前の疑問が頭の中に浮かぶ。


『はーい。皆さーん。 こんきしゃです〜。

今日もよろしくね?


あ!4000円スパありがとうございます!

有効活用するね!

・・ふふ。待機のみんなもありがと!いっつも早くて笑っちゃうよ!


ちょっと多すぎるので名前呼びはなし・・・。


あ!佑さん!こんにちは!もしかして、初見さんですか!?』


おあぉ!


び、びっくりした。。。

まさかコメントを読まれるとは思ってなかったし、いきなり名指しされるとは、、、。


『もし初見じゃなかったらごめんねー。』と言っているが、それにしてもこんだけリスナーがいてよく俺が初見だと分かったな。


俺の想像では、ここまで人気になればふとした時にコメ欄を見て、たまたま目に入ったのを読む。といった感じかと思っていたのだが、案外イキシアさんはコメントをよく見ている方なのかもしれない。


だって俺初見です。なんて打ってないからな。それで初見ですか?って、もう

コメ欄しか見てないまであるだろ。


とりあえず質問されたなら返さなければならん。 

読まれる保証はないが、コメントせな。


:スパチャ飛ぶの速すぎるだろ!w

:ないすぱ〜

:今日も可愛いなぁ

佑:

初見ですぅ

:初見に反応するの珍しいね。

:シアちゃんの配信には30分前に待機するのが常識やで。

:1コメするのが俺の夢。毎回勝てん。

:30分前は流石に……w


『……あー!やっぱりだ!来てくれてありがとー!

ぜひぜひゆっくりしていってね。

癖の強いリスナーさんたちたくさんいるから、楽しいとおもうよ〜!』


するとまたイキシアさんは俺のコメントに対する返事をしてくれた。


なるほどな。初見に優しいタイプなのかもな。

よくSNSを見てると初見に優しいVtuberは多いらしい。

それも第一印象が大事だということから、初見を逃さないためにやってるとかいないとか。

詳しいことは分からないが、イキシアさんもそのタイプなのかもしれない。


:む、俺は個性ないから……


:癖強リスナーが多いのはわかる。


:毎回笑わせてもらってます…!


:俺もなりてぇよ……。だけどよぉ…。強すぎんだよ…。


:てか今日のシアちゃん初見に優しいな。

俺の時はいらっしゃい〜。ぐらいだった気がするが…。


:むしろ多すぎて切り抜きが追いつかないレベルw


:↑そりゃシアちゃんにも気分とかあるだろ。

同接多い時に来たんじゃないの?知らんけど。


:それも人気があってのことなんだよなぁ…。


『……あ、ごめんね。ちょっと今日は気分がよくてさ。気分を害したならごめんね。


…じゃ、気を取り直して今日はタイトルの通りゲーム耐久をしたいと思います!

いやー、みんながおすすめしてくれたやつだからすっごく楽しみだったんだ〜。


じゃ、始めまーす。』



そして、ゲーム画面が表示されイキシアさんはキャラクターデザインを始めた。


それにしても、めんどくせぇリスナーもいたもんだなぁ…。

これまで俺が行った配信にはこんな奴いなかったが、人気な分いるんだなぁ。


ま、そのいつもより優しくされた初見の俺が言うのもアレだけど。


しかし、今のところ『癖の強いリスナー』は来ていないのかな。

今のところ勉強になるようなコメントはない。


正直に言ってしまえば俺は癖強リスナーが見られればそれでよくて、配信自体はどうでもいい。


こんなこと言ったらリスナーに殺されそうだけど、だって仕方ないじゃないか。興味がないんだもの。


「今のとこ目立つリスナーはいねぇなあ。

まま、いつか来るだろ。

それまではコメントせずに配信を楽しむとしよう。」




それから30分ほど。

イキシアさんが最初のミッションをクリアした頃。


「う。ちょトイレ。」

急激に猛烈な便意を催し、一旦配信を後にした。


そんなとき、コメント欄に1人のリスナーが現れた。


:そこでローリングするの上手い。


:被弾した時の声辞めてもろてやっぱ辞めないでくださいっ!


:うま


¥10,000

愛を囁く僕イケメン


イキシア…やっぱり君は美しい。

僕たち結婚しよう。


:うますぎ


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