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苦手な方はご注意ください。

異世界転生・転移の文芸・SF・その他関係

召喚によって異世界転移した者達、大量に追放されたのでやり返す事にした

作者: よぎそーと

「上手くいったな」

 大統領をはじめとした国の中枢にいる者達は笑みを浮かべて語り合う。

「大人しくしたがっておればよいものを」

 そんな不満も漏れるが、憤りなどはだいぶ和らいでいる。

 問題のほとんどが解消されてるからだ。

 少なくとも彼らはそう考えていた。



 地球とは違う異世界。

 そこにあるこの国は、国の発展のために有意義な能力を持つ者を召喚した。

 差し迫った危機があるというわけではない。

 細々とした摩擦や衝突はあるが、平和な時代だ。

 それでも更なる発展を求め、召喚の魔術を行った。

 代価として何万という数の奴隷を生け贄にして。



 そうして異世界から数十人の異能者を呼び集めた。

 それらは元の世界の知識や技術で。

 あるいは、魔術の存在するこの世界によって秘めてた能力を開花させて。

 それぞれ独自の能力をこの世界にもたらしてくれた。

 大統領をはじめとした国の中枢にいる者達は、彼らがもたらす発展と繁栄を確信した。



 しかし、そんな能力を持つ者達がいることに危機感も抱いていた。

 この世界にやってきた召喚に呼ばれた者達。

 彼らがその気になれば独自の勢力を作っていける。

 大統領をはじめとした権力を持つ者達の政敵になる可能性がある。

 そうならないように、あの手この手の工作を行っていった。



 彼らにしても必死であった。

 大統領という言葉が示すように、この国は選挙制をとっている。

 王政や君主制とは違う。

 そう言ってよければ民主政といってもよい。

 とはいえ、選挙権は市民と呼ばれる一定以上の地位の者しか持ってない。

 そして、市民とは一定以上の資産を持ち、ある程度の地位を継続的に保ってる者達だ。

 ほぼ貴族と言って良い。



 更に、大統領とはいっても、市民達の選挙によって選ばれるわけではない。

 議会の議員によって選出される。

 市民の代表といえるかどうかは悩ましい。

 少なくとも、市民が直接投票できるわけではない。



 このように選挙制度があるといっても、いわゆる現代的なものとは違う。

 それでも、王侯貴族が世襲で地位を継いでいくわけではない。

 王政とは大きく違う。



 自分の立場や地位が選挙によって変わる。

 その可能性があるので、大統領などの権力者は人気には敏感だ。

 異世界から呼び込んだ者達は、この人気を得る可能性が高い。

 なにせ、国を発展させるのに必要な人材を召喚したのだ。

 そういった者達に好意を抱く者は出てくるだろう。



 功績もあげるだろうから、それなりの地位も与えなくてはならない。

 そうなれば、選挙権も当然得るようになる。

 もし、政治家に立候補したら、当選する可能性も出て来る。

 本人が辞退しても、周囲の者が推薦するかもしれない。

 そして、推薦でも選挙に出馬する事はできる。



 そうして政治に介入してきたら厄介な事になる。

 自分で呼び込んでおいて勝手な事だが、大統領達は権力基盤を失うかもと警戒した。



 だからこそ、取り込もうとした。

 服従させようとした。

 呼び込まれた者達が結託しないように工作していった。



 それは呼び出された者達に露見する。

 誰もが才覚や能力を見込んで召喚されてるのだ。

 大統領達の思惑など簡単に把握できる。

 そうと知って離反していく者も出てきた。



 当然、そういった者達を大統領達は処分していった。

 生かしておいたら危険だ。

 持てる才能を駆使して成り上がってくるかもしれない。

 脅威として立ちはだかるかもしれない。

 そうなる前に、さっさと始末していく事にした。



 幸いだったのは、大統領達の思惑を知りながらも協力する者がいた事だ。

 全体の3割程度だが、そういった者達もいる。

 それだけでも才能のある者を確保出来たのは幸いだった。

 残った者達がもたらすものだけでも、国にとっては大きな効果をもたらすからだ。



 当初の予定ほどの成果は見込めなくなった。

 それでも大統領達はこの結果に満足する事にした。

「これから、もっと豊かになっていくな!」

 そういって有力者達は笑い合った。



 当然ながら、そんな事あるわけがない。

 処分したと思ってる呼び込まれた者達はしっかり生き残ってる。

 危険を感じた彼らは、先んじて身を守る事にした。

 襲撃などを上手くしのぎ、国から脱出。

 僻地に逃れていた。



 そこで彼らは持ってる能力を使って僻地を開発。

 凄まじい勢いで発展させていく事になる。



 その周辺の部族や民族なども引き込み、一大勢力を作り出していく。

 そういった者達は、大統領の国によって様々な圧力を受けていた。

 引き込むのは簡単だった。

「あの国を潰すから協力してくれ」

 これだけで驚くほど簡単に協力者になってくれた。



 召喚で呼ばれた者達がもたらす恩恵のおかげでもある。

 科学技術に知識、この世界で目覚めた魔術などの超常能力。

 これらがもたらす様々な成果、文明的な文物が各民族・部族を発展させていく。

 数年もするうちに、各民族・部族は近代・現代的な生活をするようになっていった。



 こうして発展した各民族・部族は、召喚した国に侵攻を開始。

 各地域を制圧していく。



 彼らは毎年貢ぎ物や奴隷を献上させられていた。

 圧倒的な国力による威圧があって、断る事ができなかった。

 召喚の生け贄にされた何万もの奴隷も、こうした民族・部族の出身者である。



 そんな彼らの怒りは大きい。

 攻めこんだ各地で虐殺と略奪を繰り返していく。

 当然だろう、これまで様々なものを奪ってきてたのだ。

 その報いを国は受ける事になった。



 この事を知った大統領達は慌てふためく事になる。

 急いで軍勢を派遣して対抗しようとした。

 しかし、差し向けた軍隊は全て潰滅する事になる。



 この世界の軍隊は、弓や槍、鎧に馬、魔術が全てだ。

 銃や爆弾などはない。

 対して召喚された者達の科学技術によって、各民族・部族は銃を手に取っている。

 更に自動車やバイクを乗り回し、戦場を縦横無尽に駆け巡る。

 防弾チョッキも身につけ、攻撃をよせつけない。



 怪我をしても魔術に現代的な医療技術で治療出来る。

 戦死者はほとんど出ない。

 戦っても損害が出るのは国の方だけだった。



 更に国の内部でも問題が起こる。

 大統領の下に残った3割の呼ばれた者達。

 彼らも国内で反旗を翻していく。



「あんたらの下に残って色々工作してたんだよ」

 立ち上がった者達は大統領達に告げる。

「敵の中にスパイを置くのは基本だろ」

 内部工作の為に3割が残ったのだ。

 そんな彼らは、周辺民族や部族から連れてこられた奴隷を組織化していた。

 国内のあちこちで戦うために。



 国の中での労働は、つれてこられた奴隷が行っている。

 これらが一斉に逃げだすだけで、国の産業は滞る。

 まして、それらが武器を手に戦うのだ。

 国はたちいかなくなる程の損害を受ける。



 こうして内外からの攻撃を受けて、国は滅亡していった。

 周辺各国から攻めこんだ民族・部族が領地を分割していく事になる。



 それを見て、召喚によって呼ばれた者達は身を引く事にした。

 これ以上介入していれば余計な面倒を引き起こすと考えて。

 なので元の世界に戻る事にした。

 その為には数万もの人間の霊魂を使い潰さねばならない。

 だが、問題は何もなかった。

 大統領達、召喚した国の人間が大量にいる。

 召喚に使える材料はいくらでもいた。



 それらを使い、呼ばれた者達は元の世界へと帰っていった。

 後には、召喚で呼ばれた者達によって文明を得た各民族・部族が残った。

 彼らはその知識や技術を用いて更に発展していく。



 召喚された者達はその目的を果たしていった。

 国を発展させたいという願いを。

 ただ、追い出した国が発展するはずもなく。

 追い出された先にいた各民族・部族が発展した。



 その結果を召喚した者達は受け取る事になる。

 当初の望みとは真逆の結果として。

 自業自得としか言いようがないだろう。



 もっとも、召喚された者達からすればどうでも良いことだ。

 勝手に呼び出しておきながら、ふざけた理由で追放したのだから。

 そんな連中にかける情けなど誰も持ち合わせていなかった。



「そりゃあ、そうなるだろうよ」

 話を聞けば大多数がこう言うしかない結末。

 それを国はたどっただけである。

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あと、異世界転生・異世界転移のランキングはこちら

知らない人もいるかも知れないので↓


https://yomou.syosetu.com/rank/isekaitop/

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