七話 明かされる真実
やっとここまできましたw
一話から見ていただいてる人にはこの話でスッキリしていただければなと思います。
「渚ちゃん、ここからは私が話すよ 渚ちゃんにも言わないといけない事があって……」
どういう事だ……俺が渚さんに振られた後に言わないといけない話っていったい……それに……
「渚ちゃんって……」
渚さんの事を親しげに呼ぶ桜……それに渚さんは桜の話の内容が分かるのか?
「まずはそこから話そうか、ちょっと長くなるから場所うつそw」
こうして俺達は桜の話を歩きながら聞いた。
※ここからの回想は桜視点で描かせていただきます。
「ピピピッ ピピピッ」
目覚ましを止めた私は期待と不安で胸がいっぱいだった。
「友達出来るかな……」
私は上村桜、先月高校を卒業した私は早くも専門学校での日々が始まる。
「兄さんもこんな気持ちだったのかな?」
一つ年上の兄は去年、高校を出た後すぐに就職を選んだ今の私と同じ、十八の時の兄さんは何を考えながら社会に出たのだろう。今日から通う専門学校へは、パティシエを目指すべく私が選んだ道だ知り合いがいないからといって、くよくよなんてしてられない。
「一人くらいは友達欲しいな……」
不安を感じつつもこれから数年間歩くであろう道のりを歩いて行く、学校の校門ではサークルの勧誘に励む先輩達で溢れかえっていた。
「君、新入生?」
「あ、あの私……」
一人の先輩に引き留められた私は返事に戸惑ってしまった。元々あまり人見知りをするタイプではないのだが新しい環境に慣れてない私は柄にもなく緊張しているみたいだ。
「あ、いたいた!」
「え?」
横から駆け寄ってきた女の子に手を引かれた、もちろん知り合いではないのだがなんて大人っぽい人なのだろうか……短く切りそろえられた髪にすらっと伸びた手足、先輩かな?
「すみません、私もこの子も入るサークル決めてるんですよー」
「あ、そうなんですよ! すみません〜」
「そっかー 残念、楽しい学校生活を!」
そのまま見知らぬ女の子に手を引かれて何とか靴箱まで辿り着けた。
「あの、助けていただきありがとうございました!」
「ううん、あなた新入生でしょ? 私も今日からここに通うんだ! 仲良くしてねー」
「あ、そうなんで……そうなんだ! 私、上村桜っていいます! よろしく〜」
「私は佐藤渚、こちらこそよろしくねー」
これが彼女との出会いだった、その後も同じ夢を目指す私達は日々の生活を一緒に過ごすようになった。それから数ヶ月して学校生活にも慣れてきたある日
「桜ちゃんが教えてくれたゲーム面白かったよ!」
「それなら良かった〜 私も兄さんにすすめられたんだけどね」
以前リリース当初に兄さんからすすめられた時にはそれほど魅力的に感じなかったんだが家を出て一人暮らしを始めた兄さんをゲームの中で見つけた時から寂しさを埋めるように一緒に遊ぶようになった。いつか兄さんにユイの正体が私だと教えてびっくりさせてやろうw
「桜ちゃんのアバターのユイ、ものすごくかわいいよね!」
「ありがとう! でもなんで渚ちゃんは男性アバター?」
「違う自分を演じるっていうのも楽しいよw」
渚ちゃんはゲームの中ではクラムという男性プレイヤーで最近ギルドを立ち上げた私は渚ちゃんに言って兄さんを誘った。違う自分を演じる楽しさは私にも理解できた、今度渚ちゃんに兄さんを紹介しよう、そしてヘヴィが兄さんなんだと渚ちゃんの事も驚かせてやろうw
「あ、それと私バイト始めようと思うんだけどどこかいい所知らない?」
「う〜ん あ、それなら私の兄さんが働いてる所に行ってみたら?」
「桜ちゃんのお兄さんの所? まぁ桜ちゃんのお兄さんの所なら知らない所よりも安心かー」
そうして渚ちゃんは兄さんの職場に入る事になったのだが兄さんに仕事を教えてもらったその日に兄さんの事を好きになってしまったと聞いた時には驚いた……
「え、兄さんを好きになった? 渚ちゃんが?兄さんを?」
「仕事に一生懸命取り組む姿勢とか常に気にかけてくれる優しい所とか……」
「渚ちゃん……今日、初日だよね?単純……」
「単純とか言わないでよー!」
しかも渚ちゃんは私の話を兄さんから聞いた時にとっさに面識がないと言ったらしい……まぁそれならそれで私が二人を付き合わせる天使になろう!
渚ちゃんは気付いてないようだけど話を聞く限り兄さんも渚ちゃんの事が好きな節がある……
渚ちゃんが兄の職場で働き始めてから二年間、色々なアプローチを渚ちゃんにさせてみたが兄さんが告白する気配はない……
「もう! 早くくっついてよ! 兄さんのへたれ!」
そんなふうに途方にくれていたある日、渚ちゃんが仕事で失敗して兄さんにフォローしてもらったらしく兄さんへのお礼について相談された。
「うーん……そんな事言われてもな〜」
「あ、そうだ! 直接兄さんに聞けばいいんだ! ユイとして」
兄さんに連絡してしまうと私と渚ちゃんの関係もばれて下手をしたら渚ちゃんの好意までばれてしまう、でもゲーム世界の友人ユイとして聞けば!
そう思い立った私はさっそくゲームの人との連絡用に使ってるSNSアプリで兄さん、いや、ヘヴィさんに聞いてみた。
「ユイです! ヘヴィさんちょっとご相談があるのですがお時間いいですか?」
「さっき仕事終わって帰ってる所なので大丈夫ですよー」
相談した私に兄さんは昔、私に言ってくれたのと同じ台詞を返してくれた。ああ、やっぱり兄さんはいや、
「やっぱりヘヴィさんはそういう人なんですねw 相談聞いていただきありがとうございました。」
渚ちゃんには気にしない方がいいよと言っておこう、メッセージを終えた私は、渚ちゃんから明日兄さんと出かけるという話を聞いてついでに新作ケーキでも食べてもらおうとヘヴィさんではなく兄さんにユイとしてではなく桜として電話をした。
次の日、兄さんが渚ちゃんを連れてきた時にはとても焦った……ばれてなければいいんだけど、でも中々いい雰囲気だな〜 私は渚ちゃんから兄さんへの更なるアプローチを相談されて昨日と同様、ユイとしてヘヴィさんに相談した。
「クッキーかー……てか兄さん欲望丸出し……」
「まぁ兄さんにも好意はあるみたいだし、そのまま渚ちゃんに伝えてみよ〜 渚ちゃん頑張って!」
まさか私も次の日にあんな事になるだなんて思ってもいなかった。
「失敗した……」
私は一人、頭を抱えていた。まさかユイの正体が渚ちゃんだと思うなんて……いや、何も知らない兄さんからしたらそうなるのか……
これ以上ややこしくなれば取り返しがつかなくなる、しばらくはログイン控えよう、そう決めてギルドグループでしばらくインできませんと書き残した。
それからしばらく経ち、兄さんからの連絡もない。
「そろそろ、渚ちゃんがユイさんじゃないって分かったかな?」
ゲームの中でくらいは兄さんに構ってもらいたい、そんな思いで続けていたゲームだが気付けばどっぷりとハマってしまった私はたった数日ログインしてないだけでうずうずしてしまっていた。
「ずっとこのままってのも無理だしね……」
私は勇気を出して数日ぶりにゲームにログインした。これは神の悪戯なのだろうか、私がログインして直ぐに兄さんもログインしてきた。
「あ……ヘヴィさんお久しぶりです〜」
「あ! ユイさん、リアルの方で何かあったんですか?」
「まぁ、ちょっとごたついてましてw」
その後、兄さんと新エリアにレベリングをする事になったのだが神様は私の事が嫌いなようだ……
細い道ばかりだった洞窟で少しひらけた場所に出たその時、私達が通ってきた道が音をたてて落ちてきた岩に塞がれた。
「なんだ! これ!」
「ヘヴィさん! 何か来ます!」
「ウォーーーオーー!!!」
奥の方から巨大なモンスターが地面の根本を両手に持ち、こちらに歩いてきた。どうやらさっきの岩はこのモンスターが投げてきたみたい……しかもこのモンスターって……
「ヘヴィさん、このモンスター低確率でこのエリアに出現するレアモンスターです……私も人から聞いた話なのですが……」
「くそっ! このタイミングでかよ!」
事前にこのモンスターの情報を知っていた私は勝てるはずのない事が分かっていた、でも兄さんは諦めていない……兄さん頑張って!
「くそ、流石にきついか……」
「ヘヴィさん! 弱体化かけます!」
私がが弱体化の歌を歌い出すと敵の動きが鈍くなりその場に膝をついた。兄さんがこの隙を見逃すはずはない。
「今だ!」
兄さんが敵に向かって行ったその時、敵の背中から腕が生えていってるのが見えた、攻撃に集中している兄さんは背中から生えてくる二本の腕に気づいていない!
「兄さん危ない!!」
ヘヴィさんを完全に兄さんと重ねていた私はチャットでとっさに兄さんと呼んでしまった。その後直ぐに兄さんから電話がきた……
「さすがにこれは誤魔化せないよね…… は〜 もういいや」
「ユイさん……いや、桜……お前だったのか!」
「ヘヴィさん……ううん、兄さん……やられちゃったねw」
私は兄さんと渚ちゃんに二年前から順を追って説明した。兄さんも渚ちゃんも私が話終わるのをじっと見守ってくれていた。歩いてた私達は近くに見つけたファミレスで注文もせずに話を続けていた。
「これが私が兄さんに言えなかった事の全てだよ……」
※次の話から、主人公視点に戻させていただきます!
最後まで読んでいただきありがとうございました!
小説を書きながら話の途中で視点って変えていいのかな?細かいルールの知らない私は悩みましたが※を付ける事でなんとか誤魔化した感じですw
このシリーズは後、一、二話で完結までいくと思います……
寂しくはありますが最後の最後まで楽しんでいただけたらなと思います!