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六話 覚悟と知らない所で暗躍する彼女

前回のラストで衝撃的な事実が発覚したこの物語ですが今回も衝撃的なラストを迎えます(^-^)


正直に言うと今回のお話はかなり迷いました……これを書いてこれを書くと大まかなイメージは頭にあったのですが前回のラストからこの話に続けるイメージがなく、もう少し話を練っていれば良かったなと後悔しましたw

息つく暇もなく俺はゲームを閉じ、慌てて電話をかけた……




「ユイさん……いや、桜……お前だったのか!」

「ヘヴィさん……ううん、兄さん……やられちゃったねw」


 自分でも確証はなかった、ユイさんからの「兄さん、危ない!」というチャットをみて自分の事を兄さんと呼ぶやつは一人しか居ないと勢いで電話してしまったのだ。


「桜、本当にお前がユイさんなのか?」

「うん、黙っててごめんね……」

「どうしてこんな事を……」

「それはまだ言えないの、でも私を信じて!」


 俺はユイさんの正体が渚さんじゃない事へのショックよりもユイさんの正体が桜だった事に驚いていた。桜のことだ、何か理由があったのだろうが……私を信じて? 俺の答えは決まっている。


「わかった、信じるよ」

「怒らないの?」

「何で怒るんだよw 正直、ユイさんが渚さんじゃなくてお前だったのはショックだったけどなw」

「本当にごめんなさい……」

「理由話せないんだろ?」

「うん……」

「それでも俺は世界で二番目にお前の事が好きだからな」

「一番は?」

「そりゃ渚さんだよ」

「兄さんのバカ……」


 正直、かなり強がっていた、実際にユイさんが渚さんじゃなかったのはショックだった……それでも兄として妹に情けない所を見せるわけにはいかなかった。


「また話せるようになったら聞かせてくれ」

「うん……兄さん、いつもありがとう」


 電話を切った俺はなんだかスッキリした気持ちになっていた、なぜ桜がユイさんとして俺と行動を共にしていたのかという疑問はもちろんあるがはっきりした事もある。


「やっぱりゲームはゲーム、そろそろ現実から目を背けて電脳世界の天使にすがるのはやめよう、だって俺はあいつの兄なんだから」


 次の日の仕事の後、俺は覚悟を決めて渚さんに言った。


「渚さん! 明日、俺とデートしてください!」

「え、ええ!!」


 帰り際の渚さんを引き止めて俺はそう言い放った。


 心臓の音がうるさい……ここで断られたら……今更引くな、この二年間の変わらない日常に明日、終止符を打つんだ。


「だめでしょうか?」

「あ、はい……私でよろしければ……」

「詳しくは帰ってからメールします」

「はい……お待ちしてます……」


 渚さんに別れを告げ、いつもの帰り道を歩きながら明日の予定を頭の中でまとめていた、内容は昨日のうちに決めていたので後はやりきるだけだ。何年も歩いてきた道が渚さんとの関係を一歩踏み出しただけでキラキラして見えた。


 家に着いた俺はさっそく渚さんへメールを入れた。


「明日はこの前と同じで十一時に東横駅前に集合でお願いします」


「分かりました! 楽しみにしてますねw」


 渚さんからの返信をみて俺はそのまま眠りについた。




 午前八時、目覚まし時計よりも早く起きてしまった。


「やっぱり何かしようとするのって緊張するな……」


 渚さんに片思いをしたまま、うだうだしていた二年のツケが一気にのしかかってきた、でもやると決めたいじょう今更ジタバタしても仕方ない。


「とりあえず今日は全力で楽しむとするかw」


 これが渚さんと出かけられる最後の日になるかもしれない、最後に思いを伝えようそれまで、告白の事は忘れて楽しむんだ。


 家を出て目的地に着くと今回は俺の方が遅かったらしく、白系統で同一した服装はとても彼女らしくすぐに渚さんだと分かった。


「渚さん、おはようございます!」

「あ、祐也さん……おはようございます」

「その服とっても似合ってますねー」

「今日は言ってくれるんですねw」

「どういう事ですか?」

「いえ、祐也さんだなと思いましてw」


 彼女が何を言っているのかいまいち理解できなかったがとりあえずここから俺の戦いが始まる。


 今日は水族館に行く予定で駅からそのまま二人でバスに乗った、バスの中でいつもと変わりない様子の彼女を見て少し安心した。


「着きましたねー」

「私、水族館なんて久しぶりにきました!」

「俺もですよw とりあえず中に入りましょう!」


 中に入った俺達は端から順に魚を見て回った、ライトアップされて七色に光るクラゲ、トンネル状の水槽で泳ぐアジの群れ、間に施設内のレストランで昼食を挟みイルカショーも見た。


 やっぱり楽しいな、今までの俺ならこの状況が永遠に続けばいいのになんて思っただろうが今の俺はもっと彼女に近付きたいそんな風に考えるようになっていた。


「渚さん、楽しんでもらえてますか?」

「もちろんですよー」

「なら良かったですw」

「祐也さんは楽しいですか?」

「幸せですよ」

「答えになってませんよ……」


 名残りおしいがそろそろ閉園の時間だ、俺は再度自分を奮い立たせた。


「もう遅いですしそろそろ出ましょうか」

「そうですね」


 水族館を出て俺達は近くにある広場のベンチに腰掛けた、十二月になるとこの広場ではクリスマスツリーが飾られてカップルで賑わう事になる次のクリスマスは渚さんとここに来よう、そんな幸せを俺は夢見てたんだ。


「渚さん、お話があるんですけど聞いてください……」

「は、はい!」

「実は俺、ずっと前から渚さんの事が好きでした! 良かったら付き合ってください!」


 言ってしまった、もう後戻りなど出来ない。結果がどうであれもう今までの日常に戻る事はないと思うと少し残念な気持ちになった……


「祐也さん……」

「はい……」


 沈黙が流れる、さっきまでの心地の良い時間は夜の風にさらわれて、ただ張り詰めた空気だけが残っていた。


「ごめんなさい、私はまだ祐也さんと付き合う事はできません」

「何となく分かってはいました」


 振られてしまった、彼女から漂う空気の重さでなんとなくそんな気はしていた。今までの楽しかった二年間を振り返りながら俺は何だかやりきった事を誇りに思えた。後悔はない、これで良かったんだ。





「いや、祐也さんはまだ何にも知らないんです……」

「渚さん?」

「実は……」


 彼女が何かをいいかけたその時だった。

「コツ  コツ  コツ」


 後ろから足音が聞こえて俺と渚さんはその方向へ振り返った。


「え、桜ちゃん?!」

「何でお前がここに……」


 足音は桜のものだった、童謡して困惑している俺に桜はさらに追い討ちをかけてきた。


「渚ちゃん、ここからは私が話すよ 渚ちゃんにも言わないといけない事があって……」

最後まで読んでいただきありがとうございました(^_^)

前書きでも書いた通りかなり悩んだ今回の話ですが何とか形になり、ほっとしましたw

おそらくこのシリーズは次かその次で完結を迎えます、私にもっと長く書ける力があったら良かったのですが今の私がだらだら伸ばしても蛇足になってしまうのでこのシリーズは駆け抜けさせてください!

最後までお楽しみいただけたら嬉しいです。

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