四話 相談と相談とクッキー
一、二部程度で終わると思っていた作品が早くも四部ですかー いざ、書き始めると後から堂々アイデアが湧いてきてもう少し長くなりそうですw
先に内容を話すと今回は今まで進展のなかった祐也と渚の急展開が起こりますw
主人公を自分に置き換えながら見てみてください!
リーダーとの約束があって救われた、やる事があるのは幸せで今日の俺は自分の不甲斐なさと進展しない日々にやるせない思いでいた。
帰り着いたのは十六時過ぎでイベント終了までは三時間ほど残っていた。
「リーダーの衣装も余裕だろうな」
妹にもらったケーキを食べながらログインする事にした、なかなかの味で明日にでも感想を言ってやろうと思った。
ゲームに入りリーダーからの要請にさっそく答える事にした。
「リーダー、インしましたよー」
「おう! 俺もさっきインした所だ今日もガンガン行くぜ!!」
リーダーもインしたばかりらしく二人でイベントをこなす事にしたのだが何故か今日のリーダーは上機嫌でいつにも増してプレイに熱が入っているように見えた。
「リーダー今日なんかいい事でもありました?」
「あれ、そう見えるか?w」
きっと何かあったんだろうな……俺が渚さんとの進展がなく落ち込んでいる中でリーダーに構ってやる気もなかった。
「すみません、気のせいでした! さぁガンガンやるんですよね!」
「ちょ、お前w それわざとやってるだろ!」
その後一時間程でリーダーの素材も集まり、つつがなく今日中に衣装を手に入れることが出来た。
「今日はマジで助かったぜ、お前からのメッセージ読んで慌てて始めたんだよー」
「リーダーがお知らせのチェック怠るとか珍しいですね?」
「まぁちょっとな……」
結局ユイさんがログインしてくる事はなく俺はゲームでも天使に癒される事がなくこの日は就寝についた。
次の日、特に何事もなく仕事は終わりを迎えた。
「店長、お疲れ様でした!」
今日は店長と一樹の三人シフトで店の片付けを終えた所で店長に挨拶して、帰ろうとした。
「祐也ちょっと待った!」
「はい?」
「営業中に聞いた一昨日の件だがお前は大丈夫か?」
「対応してたのは渚さんだし俺は問題ないですよ一樹、昨日は渚さんの代わりに出てくれてありがとな」
「それは全然いいんすけど祐也さん大丈夫ですか?」
二人は渚さんの心配よりもやたらと俺の心配をしてくる……
「何で俺なんですか?」
「いや、だってお前渚の事好きじゃねぇーか」
「だって祐也さん渚さんの事好きじゃないですか!」
そういう事か……渚さんが入社して以来何度か二人に相談していてもちろん俺が渚さんの事を好きなのは二人の知る所である。その二人からしたら怒鳴られた渚さんよりも好きな人を怒鳴られた俺の方が心配のようだ。
「その時は対応に集中しててイライラはそんなにですかね、その後も昨日の事で頭がいっぱ………」
「昨日は何かあったのか?」
「昨日は祐也さん休みでしたよね?」
失言だった昨日の事は自分でも進展のなさに情けなく、二人に言うつもりはなかったのだがここからの誤魔化しは効かないだろうと腹をくくった。
「実は……」
客席に三人で座り昨日の出来事を話した、渚さんはお礼のつもりで誘ったであろう昨日の出来事を。
「「 うわー 」」
「いや、俺だって気にしてるんですからね!そんな反応しなくても!てか、一樹は後で覚えとけよ!」
「すまんすまんw」
「祐也さん謝りますから許してください!」
「まぁそんな感じです」
「お前が不甲斐ないのはいつもの事だからひとまず置いといて渚の行動はちょっと気になるな?」
「気になる?」
店長にしたら気になる点があったようで続きを聞こうとした時、店のドアが開いた。
カランカラン
「お疲れ様でーす! まだ居て良かったですー」
「渚さん!?」
「あ、祐也さんお疲れ様です!」
ドアから入って来たのは渚さんで、なんでも一昨日忘れ物をしたらしく取りに来たらしい。
本人登場に焦りつつ俺の相談会はお開きとなった。
「危なかったなー 最近、冷や冷やする事の連続だわー」
「それにしても店長が言ってた気になる点って……」
帰りながら一人、店長の発言を思い返していた。そして昨日の事を振り返ろうとして思考を止めた。何度考えても自分の不甲斐なさは変わらない明日からまた頑張ろ!
「二年間この繰り返しだから進展しないのもあるよな……あはは……」
帰宅して湯船に浸かった後、俺は昨日のケーキの感想を言うべく桜に電話をかけた。
「あ、兄さん? ケーキどうだった?」
「その事で連絡したんだよ、なかなか美味かったぞー渚さんにも感想聞いたら教えるわ」
「渚ちゃんか……」
「ん?どうした?」
「ううん、何でもない! 渚さんの感想も楽しみにしてるね!」
特に学校で話したという話題も聞けず電話を切った俺だがよくよく考えてみれば昨日の雰囲気からして今後も仲良くなる事はそうそうないだろう、そもそも兄の職場の人と職場が同じだけな先輩の妹、この二人が打ち解ける絵面が見えてこない。
出会いが違えば仲良くなっていた二人ではあるのだが。
「今日は、溜まってた小説でも読むか」
仕事続きの俺はかなりの小説を読まずに積んでいた、読んでも読んでも増えていく小説……不思議だ。
一冊読み終わった頃、時刻は午後十一時でそろそろ寝ようかと思っていた所、メッセージが入った。
「へヴィさん、今日はインしないんですか?」
まさかの連日に及ぶユイさんからのメッセージにまたしても驚いてしまった。
「今日は積んでた小説でも消化しようと思いまして、手伝いならインしますよ?」
「あ〜 そうなんですねw いえ、手伝いではないのですが……」
何か用事があったのだろうが言い出さずにいるユイさん、こっちから切り出すか。頼られるのは嬉しい事でこういう事がきっかけでリアルで会う事になり、恋愛に発展する可能性も!!……いやいやそれはさっき読んだ小説の話だ、リアルとゲームをごっちゃにするなよ……ともあれ話を聞く事にした。
「何か用事でしたか?」
「実はいいにくいのですが一昨日話した私をフォローしてくれた年上の人の事がずっと前から好きでどうアプローチするべきかと……」
ほらね!リアルなんてこんなもんだよ!おめでと年上の人!期待など微塵もなかったのだが改めて現実を突きつけられ、おかしなテンションになってしまった……
「そうですねー 俺ならユイさんの手作りクッキーとか食べてみたいですねー」
送った文章を見ながら自分がかなりバカバカしい事を返したのに気づいた、もちろん適当に言ったわけではなく、彼女がお礼をしたいと前に言ってたのでそれをふまえての事だったのだが我ながら欲望丸出しになってしまった。
「なるほど……クッキーですか〜」
「あくまで参考程度で聞いてほしいんですけどこの前、お礼がしたいって事だったので……」
「分かりました! ご相談に乗っていただきありがとうございました!」
そんなこんなでユイさんの相談は終了したのだが……まさか本当に渡さないよな?相手の性格も分からないし俺がもらったらそりゃ嬉しいけども……
精神的に弱ってるようで深く考えるのはやめて寝る事にした。
次の日まさかこんな事になるとは…………
いつもの様に起床した俺は職場へと向かった、今日は渚さんと店長と三人のシフトで店に着くとすでに仕事を始めていた、店長と渚さんの姿が見えた。
「おはようございますー」
「祐也か、おはよう、今日は忙しくなるぞー」
「祐也さんおはようございます!」
「おはよう、じゃあ俺着替えてきますね」
二階に上がり荷物をロッカーに入れるとカタッカタッと階段を上がる音が聞こえた。
「祐也さん、ちょっといいですか?」
「渚さん?どうしたの?」
「あの、これ昨日焼いてみたんですけどこの前のお礼に良かったら……」
「あーー……ユイさん本当にやっちゃったかーー」
「ユイさん?」
聞き慣れない言葉に困惑する様子の渚さん、しかし俺はそれどころではない。言った後に気付いた……ん??……ん??……クッキー??……お礼??……渚さんで、クッキーで、お礼?渚さんがユイさん?……
思考がショートした、でも一つだけ言えるのは、店長、いつも忙しくなるって言ってますけど今日は本当に忙しくなりそうですよ……
最後までご覧いただきありがとうございました!
ユイさんが渚さん?
一部から見ていただいた人でこの展開が予想できた人もいた事でしょう。「ほらね、はい!ありきたりー」ちょっと待ってくださいここからですのでw
この話から見た人は是非とも一部から見ていただきたいですし、一部から見ていただいた方には是非とも最後まで読んでいただければ幸いです。
少し長くなってしまいましたがこの辺で失礼いたします。