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二話 真実と共通点に気づかない俺

昨日からスタートしたこのお話ですが楽しんでいただけてるでしょうか?

仕事の休憩中に開いたらさっそく評価いただけててやる気満々で続き書かせていだきましたw

「お前ふざけてんのか!!」


何事も起こらなければいいのにという願いは虚しく営業終了間近に訪れた問題の対象にあたるべく急いで客席へ向かった……

客席は四人掛けのテーブル三つと二名掛けのテーブル二つという構成になっており満員になったとしても十五名やそこらである。

お客様の元に向かい渚さんの方を見ると安心したようなそれでいて申し訳なさそうな表情をしていた、笑顔で料理を持っていった彼女にいったい何があったのか話を聞く。


「お客様申し訳ありません、うちのスタッフに何か失礼がありましたでしょうか……」


「何かありましたか?じゃねぇーよ、注文して待ってたのに頼んでもねぇーの持ってきてんじゃねぇーか!」


お客様によると頼まれたのはトマトパスタではなくクリームパスタだったようでそれで怒鳴りちらしていたらしいが………そもそもそんなに怒るような内容なのだろうか、他に理由があるような気もするが今は対処に当たる事にした。


「大変申し訳ありません、すぐに作り直して参りますのでもうしばらくお待ち頂けないでしょうか?」


「こっちも時間ねぇーんだよ!もういい!!」


「大変失礼いたしました、本日のお会計はこちらでもたせていただきますので」


渚さんを連れて厨房に戻り、彼女にはお客様が帰られるまで二階で待機してもらう事にした。流石に思いっきり怒鳴られたばかりの渚さんにそのままお客様を対応させるわけにもいかずお客様も先ほどの彼一人だったので俺が帰り際に再度謝罪を入れて本日の営業は終了となった。

渚さんを呼び戻し二人でお店の片付けをしてる間も彼女の表情は曇ったままだった……

一通り仕事を終え、コーヒーを二杯注ぎ片方を渚さんに渡すと引きつったように笑う彼女を見て俺も悲しくなった、ともあれ椅子に腰掛け事の顛末てんまつを聞くことにした。


「渚さんがオーダーミスだなんで珍しいね?まぁ他にも理由はありそうだったけど何があったの?」


「実は……」


渚さんが言うには以前にも来ていただいたお客様だったらしくその時に言い寄られたのを見かねた店長がフォローしてくれたとの事だった。


「うわー」


つまるところ言い寄った彼女に相手にされずそのはらいせが今日のクレームだったという事だ、時々聞く話ではあるが彼女の立場からすればたまったものではない、そんな事で俺の天使を困らせるなんてアイッ……あのお客様には腹が立つものだ。


「でも私もオーダー確認を怠ってしまい責任はあります……」


まぁこういう事態を回避するためのオーダー確認なのは事実だが料理一つにオーダー確認をとるのもマニアルすぎる気もするし今回のケースならば何かにつけてクレームは言ってきただろう、流石に真面目な彼女だけあって相手に理由を求めずに自らのミスを申し訳なく思っているらしい。

彼女の性格を考えると気にしないでというのも無理な話だろう。


「わかった、なら明日の仕事は休んでちょっとゆっくりするといいよ、店長には俺から伝えとくし、渚さんの笑顔が見れないのは俺としても辛いからねw」


冗談ぽく言った本心に短くはい……とだけ答えられこれで良かったのだろうかと不安になる。


「今日はご迷惑をおかけしてすみませんでした、何かお礼させてください」


「お礼と言われてもな……」


お礼と言われても俺と付き合ってくださいなんて言えるはずもなくそもそもお店で起きたクレームの解決に俺が当たるのは当然の事だ。


「お礼なんていいよ、誰にでもミスはあるし下の子のミスをフォローするのが上の仕事だからね」


うちの実家はケーキ屋を営んでいて妹と親の手伝いをしていた時に妹のぶちまけたケーキを片付けていると、申し訳なさそうな顔をする妹を見てられず同じ事を言った事がある。


「ゅぅゃさんそういう所ですよ……」


渚にさんが小さな声で何かを言っているような気がしたが俺の耳には届かなかった。


「祐也さん明日はお休みでしたよね?」


「そうだけど?」


「ならお礼じゃないんですけどちょっと私とご飯でも行きませんか?」


一瞬彼女が何を言ってるのか理解するのが遅れてしまった、そもそも二年間一緒に働いていて二、三回みんなでした飲み会に行った程度で特にプライベートの関わりもなかったのに……って俺二年間何してたんだろ。俺の不甲斐なさはさておき、いきなり休日に一緒に出かけるなんてどうしたものか、彼女としてはもちろんお礼のつもりなのだろうが俺の方としてはどうしても意識してしまう。

しかし予定があるわけでもない俺にせっかく舞い込んで来たチャンスを逃すわけにもいかない、それに上司として部下のメンタルケアに付き合うというのも当然な気がする。そんな理由を無理矢理作り上げて感情を悟られないように冷静に答える。


「お、俺も予定ないし全然かまわないよ」


噛んでしまった………結局スマートにとはいかず自分の不甲斐なさに改めて頭を抱えた。


「では帰ってから改めて詳しい内容メールしますね!」


俺の焦りには気付く様子もなく微笑む彼女を見てこれからもこの子の笑顔を守ると硬く心に誓いつつ店を後にした。



「ピロリ」


帰り道を歩いているとケータイがメッセージを受信して鳴った。


「誰だろう?渚さんにしては早いよな?」


ケータイを開くとゲーム用として活用しているメッセージアプリからのものだった。ギルドのメンバー数人しか連絡先が入ってはいないがイベントの手伝いの要請などで頻繁に利用はしている、今日から始まる新イベントの要請だろうと内容を確認して驚いた。


「ユイです! ヘヴィさんちょっとご相談があるのですがお時間いいですか?」


普段このアプリのギルドグループでユイさんと話すことは幾度かあったが個人的にメッセージが来るのは初めての事で喜びを通り越して驚いてしまった。


「さっき仕事終わって帰ってる所なので大丈夫ですよー」


そう打ち込み送信すると二、三分程で返信が来た。内容はこんな感じである、何でもユイさんが働く会社でミスをしてしまいそのフォローを年上の人にしてもらったらしくお礼がしたいのだけどどんなものがいいのかというものだった。


「似たような事もあるもんだなw」


ユイさんも知らない所で苦労しているようだ、それに何だか同じような体験をしている見知らぬ年上のやつに今日はお互い大変だったなユイさんの事ありがとうございますと言いたくなった。


「おっと、返信返信」


つい先程似たような事を言われた俺としては考えるまでもなく渚さんに言ったのと同じ内容を返した。


「やっぱりヘヴィさんはそういう人なんですねw 相談聞いていただきありがとうございました。」


俺の性格を少なからず理解してくれているようで嬉しさと少しの恥ずかしさが込み上げてきた。

続いてユイさんから今日開始の新イベントの要請を受け、分かりましたと返した。

ユイさんもこのゲーム好きだなと感心し、頬が緩んだ。



家に帰り軽くご飯を済ませた後、湯船に浸かりゲームの準備は完璧ここからはゲームの天使に癒される時間だ。


「プルルルル  プルルルル」


「今日はケータイがよく鳴る日だな……」


特に友達も多いわけでもなく普段ゲームとしてしか使われてないケータイが今日はやけに本来の仕事をしている。そんな事を考えながら電話に出た。


「もしもし?」


「あ、兄さん?もう家だよね?」


まぁケータイの表示を見て誰からなのかは分かっていたが、もしもしから始めるのが世の中の掟みたいなものでおかしな話だ。

こいつは俺の妹の上村桜かみむらさくら、一個下の二十歳でパティシエを目指して専門学校に通っている。実家がケーキ屋のせいか小さい頃から将来はお店を継ぐとはりきっている、俺はお菓子作りにはそこまで惹かれる事がなく今の職場についている。


「ああ、今からゲームに入ろうとしてた所をお前に邪魔された兄だ」


「兄さんあのゲームにハマりすぎだよ……」


年が一つしか変わらないせいか妹ととしてよりも友達のように接してきた。もちろん俺がハマっているゲームも妹にやらせてみたがいまいち合わなかったようで少し残念な気持ちになったのを今でも覚えている。


「それで何の用だった?」


「あ、忘れてた。ちょっと新作のケーキ作って兄さんにも感想聞きたいんだけど明日取りに来てくれないかな?」


ケーキ作りに関しては物凄く真剣で、こうして定期的に新作を作っては俺に感想を求めてくる。


「明日は休みだし別にいいぞーちょっと遅くなるかもだけど大丈夫か?」


実際、実家までは三駅程しか離れておらず、予定のない休日に顔を出すくらいそれほど手間でもない………………明日?しまった!!


「それじゃあ待ってるからね〜  要件それだけだからまた明日ね兄さん」


「あ、ちょ……」


要件だけ言ってそのまま切られてしまった、明日は渚さんとの約束があったのだがまぁ帰り寄るか。


そしてようやくゲームにログインするとすでにログインしていたユイさんに出会い、二人で新イベントに臨んだ、今回のイベントは素材を集めてストーリーを進める事で衣装を貰えるというもので、見た目に拘る女性プレイヤーのユイさんとしては欠かせないものだ。


「ピロン」


十分程やった所でまたしてもケータイが鳴った。


「今日は本当に仕事するやつだな、壊れないよな?」


普段はない仕事量に少し不安をいだきつつメッセージを確認すると渚さんからだった。


「連絡遅くなりすみません、今日は本当にありがとうございました!  明日の件なのですが午前十一時に東横とうよこ駅前に集合でいかがでしょうか?」


何とも丁寧なメッセージだ、偶然にも実家の最寄り駅での待ち合わせだったので明日は渚さんに桜の事でも紹介するついでに実家に顔出すかと予定を頭の中でまとめた。


「近くで少し用事があったから、ちょうど良かったよ!  また明日ね」


そう返信してメールを閉じた。

実は渚さんは桜と同じ学校に通っていてそれを知った時は驚いたのだが桜とは面識がないらしくいずれ紹介しようとは思っていた。


ゲームに戻るとすぐにリーダーがログインしてきた、リーダーも衣装に拘るタイプで昨日もユイさんが着ていた純白のドレスと同時に追加された緑のコートを真っ先に作っていた。


「ヘヴィ、ユイ、イベントやってんだろ? 俺も混ぜろよ!」


こうして俺とユイさんの二人きりの時間は終わりをつげた……


三十分くらい三人でイベントをしてようやくユイさんの衣装は完成した、今回は赤のドレスで何を着ても似合ってしまうユイさんに今更感想は不要だろう、でも一言だけ言わせてもらえるなら、最高です。

ユイさんの衣装が完成した所で俺は明日に備えて落ちる事にした、リーダーはまだ半分くらい残っているらしいが明日にまわすらしくお開きとなった。



気付けば午後十一時を過ぎた所で明日に備えて早く寝なければと思ったのだが明日の事を考えるとなかなか寝付けなかった……

最後までご覧いただきありがとうございました!

私ごときではありますが所々に伏線?のようなものも混ぜ込んでますので今後の展開を予想しながら読んでもらえると嬉しいです。

頭の中では、ラストまで出来ているので最後までお付き合い頂ければ嬉しいです。

展開予想や感想もよろしければいただけると頑張れますw

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