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一話 リアルが動きだす音

自分の体験談を混ぜ込みながら現代で働く20代をターゲットに書かせていただきました、つたない部分も多いですが楽しんで頂けると幸いです。

 捻れた二本角をもち身震いすらしそうになる強大なドラゴンが黒い皮膚をきらめかせ大きな身体からは想像のつかないスピードで向かってくる


「ヘヴィそっち行ったぞ!」


 緑のコートに身を包みしなやかな槍を持った男が俺に声をかける。


「ちゃんと見えてますって」


 短くそう答え右手の剣に力を入れた、後から聞こえる綺麗な歌声を守るためにと自分を奮い立たせ最後の一撃を放った、ドラゴンが弱々しく呻きをあげその場に横たわる……


 高原に広がる緑が風に揺れ暗い闇に包まれた空が明るくなり朝の訪れを感じる。


「今回はちょっときつかったな〜」


 槍を持った男が側にやってくる。こいつの名前はクラム、俺の所属ギルド氷結の騎士団のリーダーで槍の使い手。


「三人はきついって俺言いましたよね?」


 緊張が溶け俺はリーダーへ冷たい目を向ける

俺はヘヴィロス、剣と盾を持ち戦う一般的にシンプルなスタイルで攻防共に安定していてギルドメンバーからはヘヴィと呼ばれそこそこ頼られている。


「まぁまぁヘヴィさんなんとかなりましたしその辺で」


 腰まで伸びた白い髪、触れただけで折れてしまいそうな手足に吸い込まれそうなくらい深くそれでいて優しさを感じる淡い青眼、整った顔にはどことなく懐かしさすら覚える彼女はユイ同じくギルドのメンバーで歌の力で味方のサポートから敵の弱体化までこなすうえ精神的に俺を癒してくれる天使の様な存在


「ユイさんがそういうなら……」


 俺は彼女に免じて渋々リーダーの事は許すことにした、この事は忘れてやらないけど。


「私、今日はこの辺で失礼しますね!」

「じゃあ今日はこれで解散するか〜」


 リーダーがそう言い俺も同意して解散することとなった流石に俺も疲労を感じつつあった一時間に及ぶ戦闘を攻撃に参加しないユイさんを除きリーダーと二人でやってれば疲れもする。


「ではまた明日!ユイさんもリーダーもお疲れ様でした」


 別れの挨拶を告げケータイの画面を閉じた頃壁にかけてある時計が午前三時を指していた。


ジリジリジリ ジリジリジリ 不愉快な音に叩き起こされ慌てて時計を止める。


「朝からうるせぇーな……」


 気に入らないなら時計を変えればいいと言われればそれまでだが、仕事の日はこのくらいの音でなければ朝の弱い俺としては不安で眠る事すらできない。

まぁ起こされる時はイラッとするが感謝はしてるのでこれからも使い続けたいとは思っている。


そんなくだらない事を考えながら、もぞもぞ布団から起き上がる。


シャワーを浴びてやっと頭が回りだすと寝る前の事を思い返す。


俺の名前は上村祐也かみむらゆうや、飲食店でシェフとして働く普通の二十一歳で今、とあるスマートフォンゲームで、ヘヴィロスというキャラでプレイしている。クエストをこなし自身のレベルやステータスを上げ、ボスを倒す事で次のエリアに進み新たな世界を見る事ができる、まぁありきたりのゲームだがサービス開始から二年間もの時間が経ちすっかり古参プレイヤーになっていた。


「ユイさんは昨日も可愛かったなー」


 昨日は仕事から帰って追加されたばかりの新エリアに入るためのボスにリーダーとユイさんと俺の三人で挑んだ。帰り着いたのがすでに深夜だったため普段なら六人で挑むボスとの戦いに半分の数で挑む羽目になったのだ。


「まぁユイさんの新しい衣装も見れたし良しとするか」


 ユイさんは新エリアと同時に追加された衣装の素材を集めてたためボス戦は後回しにしてたらしくそのおかげで俺は新しく追加された純白のドレスに身を包んだユイさんを見る事ができた。長い銀髪に負けずと輝くドレスを着てひらっと回り嬉しそうに見せてくるユイさんの姿は永久に俺の記憶に保存される事だろう。


「おっとあぶねぇー」


 そんな事を考えながらのんびりしていると危うく仕事に行く時間を忘れそうになる。冷蔵庫から缶コーヒーを出して口に流し込みバタバタ家を出る。


 職場まで十分かからない距離に家を借り一人暮らしを始めて三年こんな生活にもすっかり慣れていた。

俺の職場は二階建てのカフェで白を基調とした小洒落たデザインでそれなりに気に入っている。


「お疲れ様です!」


 店に着き仕事着に着替えていると後からバイトの子に声をかけられた。俺よりも早く出勤だったらしく、すでに準備を済ませているこいつは山本一樹やまもとかずき、朝から元気だなと感心すら覚える


「一樹も朝からお疲れー今日は誰が出勤だっけ?」

「今日は僕と祐也さんと……」


 一樹が答えるより先に別の方から声がかかる。


「私ですよー」


 透き通った声でそう言う彼女の名前は佐藤渚さとうなぎさ、肩にかかるかかからないか程度の黒い短髪に華奢な体格で身長は俺の十センチ下くらいだろうから百六十センチ程でいつも笑顔を絶やさずうちの店では彼女に会いにくる常連客がいるほどのアイドル的存在。


 俺も密かに恋心を抱いているが釣り合うはずもなく彼女がここでバイトを始めてから二年ほどになるが何の行動も起こせずにいた。もう二十歳の彼女に彼氏が居ないはずもないのだが未だに俺と付き合ってくれないかなと思う今日この頃……


「それにしても今日は店長が休みの日か」


 問題なければいいけど、まぁ三年も務めている職場で店長の休みの日をあずかる社員の俺としてはそうそう慌てるような問題は起こらないだろうが。


 バイトの二人と営業の準備を整えたところで午前十を迎え今日も俺の仕事が始まる。


 うちの店はパスタやサンドウィッチなどの軽食をはじめとするメニューを扱うありがちなカフェで、営業が始まると静かな時を過ごしたいお客さんが、ちらほらくる程度でそれほど忙しいというわけでもなかった。実際今日も俺と渚さんと一樹の三人で充分営業可能だ、そして十五時を過ぎた頃いつものようにぴたりと客足が止まった。


「じゃあ僕はこれで帰りますね!」


 今日は十五時で帰るシフトになっていた一樹が着替えを済ませ二階から降りてきた。うちの店は一階をお店として使い二階はスタッフの休憩や更衣室として使っていた、まぁ半分は食材の倉庫みたいなものだが。


「あとは俺と渚さんでやっとくわ、お疲れ様ー」

「あ、一樹君お疲れー」


 客席からぴょこっと顔を覗かせた渚さんも声をかける、この子はもう本当に可愛いなー天使かよ。ここからは俺と渚さんの二人の営業となる、渚さんもここでバイトを始めて二年になり入ってきた頃の慌てぶりもすっかり消えて今では俺のサポートから心の癒しまでこなす頼れるスタッフになっていた、後半は仕事じゃないけど。


「ふぁーん……」


 子猫の様な可愛らしいあくびが横から聞こえ微笑ましい気持ちになった。


「渚さん寝不足?」

「あ、仕事中にすみませんでした。」


 渚さんが少し申し訳なさそうに答えるがお客さんの居ない今、あくびの一つくらいしてもいいだろう、今ある仕事は俺の心を癒す事くらいだしなその仕事も今のあくび一つでしっかりとこなせました、いや仕事じゃないけど。


「お客さん居るわけでもないしそんなに気にしなくてもいいよ、俺も寝たの遅くて眠たいしね」


 にこやかにそう答えると渚さんはほっとしたように見えた。


「昨日は遅くまで服作ってたんですよ!」


 嬉しそうにそう答える彼女は本当に天使のような存在だったゲームではユイさんに現実では渚さんにと二人の天使に癒される俺本当に幸せじゃねと、とても充実してるように思えてきた。


「渚さん自分で服とか作るんだすごいね!」

「ぁ、いや、まぁそうなんですよ。」


 何か引っかかる言い方するなぁ、まぁ慌てる渚さんもかわいいしいいか。


「祐也さんは遅くまで何してたんですか?」

「ゲ……現代の料理の研究を……」

「現代って祐也さんいつの時代の人ですかw」

「あはは……」


 危なかった、ゲームしてて寝不足なんて社員としてバイトの子に言えないってのは建前で渚さんにゲームオタクだなんて思われた日には立ち直れない……


 そんなこんな渚さんとの楽しい時間を過ごしながらもゆったりとした時間を過ごしていた俺はこの後起こる事を知るはずもなかった。


 そんな感じで明日の仕込みをしながら渚さんと話していると営業終了三十分前の十七時半になっていた。

カラン カラン 店のドアに付いた鐘の鳴る音が聞こえ渚さんがお客さんを案内に向かった。


「祐也さん!トマトパスタ一つでお願いします!」

「これが最後の注文だねー」


 手慣れた動きで料理を仕上げ渚さんに手渡すと行ってきますと笑顔でお客さんの元へ運んでいった。


「俺も渚さんが居る時に客としてこよ……」


 お客さんに少し嫉妬しながらそんな事を呟き片付けを始めようとすると。


「お前ふざけてんのか!!」


 客席から怒鳴り声が聞こえてきた、えっどうしたどうした問題起きちゃった?そんな事を考えながら急いで客席へ向かった。

勢いとテンションで書き始めたため続きをいつ出せるかは分かりませんが1人でも続きを読んでみたいという方が居てくれたら嬉しいです。

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