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買い物三昧と仕事モード

 もう、子供が変わらない。さすがに言ってしまう。

午前中にプリントをやり、お昼ご飯を食べてからゲーム。

この時間を守らねば。

           ・


 普段とおりに起きられた。

洗面所で洗顔とスキンケア。

ティファニーの指輪とピアスをつけた。

パールのピアスを綺麗に拭き、アクセサリーボックスにしまう。

キッチンで、簡単な朝ご飯を作る。

「おはよう。疲れてない?洗い物はやるから」

「おはよう。ありがとう」

キッチンのトレーに指輪を置いていた。

「久々だね、ゆっくりできる1日」

「ん。なんか…まだ実感わかないな」

「…うん、ホントに」

「明日からの仕事、大丈夫?」

「大丈夫だと思う。たぶん、新製品の見本やリーフレットが届きそうだし。来月のも紹介したいし」

「年度末だな、いよいよ」

「あつー、バレンタインどう?売れ出した?」

「すげー好調。ホワイトデイもやらないと。特別ボーナスかかってるから」

「あ、私もだ。まぁあつーよりは少ないだろうけどね」

「な、今日は久々に買い物行かない?ドライブがてら」

「うん。青山に」

「そう、セルジオロッシ買って、好きなところに」

朝食を食べ、支度をする。キッチンに置いた指輪も。

メイクは普段とおりにした。

社会人になってから、綺麗めな洋服が多くなった。

バッグも皮の何かないかなぁ。


いいよ、と断ったにもかかわらず、彼がセルジオロッシの靴を3足買ってくれる。

1足は仕事用に履いているのと同じヒール。

もう1足はシンプルだけど履きやすいネイビーの型押しされたブーツ。

最後に、同じブーツの色違いの黒を。

「あつー、お金あるんだなー」

「まぁまぁ、買ってあげたかったの。セールだし。ね、ティファニーも見に行こうよ」

「うん。見るだけに、ね。…んー欲しくなるなぁ」

「じゃあ行こう」

青山から銀座に車を走らせる。

「あ、アトラスの指輪、持ってくれば良かった」

「近いうちに、また行こうよ」

「うん、まだ着いてないけどね」

笑い合う。

彼は気を遣っているんだろう。

私の言わない気持ちに寄り添うように。

「なんかオススメのバッグある?」

「ミュウミュウ、見に行く?あとたまにはグッチも」

「あーそうか。年度末セール中だね」

「じゃあ決まり」

最初にティファニーに行き、ピアスと指輪を預けて綺麗にしてもらう。

「なにか、気になるのある?」

「うん、待って。ゆっくり見たい」

プラチナのピアスを眺めていく。

指輪も。

「な、結婚指輪、これにしない?ダイヤモンドが真ん中に埋まっている物」

「私も思った。あつーは?お揃い?」

「おれはこのシリーズのプラチナだけに」

彼がダイヤモンドのカラットを聞いている。

トレーにいくつか出してもらう。

「ね、こっちは?今してる指輪とピアスと同じラインだよ」

「いいね。んー迷うな。違うラインのさっきの指輪とお揃いのピアスないかな」

2人で話し合っていると、店員さんがプラチナにダイヤモンドのピアスもトレーに出してくれた。

「すみません。恐れ入ります」

「草野様。いつもありがとうございます。ゆっくりご覧ください」

「ね、アトラスのプラチナとダイヤモンドもあるよ」

「ホントだ。ピアスもお揃いだね」

「すみません、アトラスのこちらのプラチナだけはありますか?」

「はい、ございます」

「あるんだね。迷うなー」

「指輪はとりあえず、今日は見るだけにしようか」

「うん」

「結婚前に、また違うのが欲しくなるかもしれないし」

「だねー。アトラスのプラチナとダイヤモンド、気になるなぁ」

「じゃあ、普段用にピアスと買おうか」

「いやいや、もったいないよ」

「でも、財産になるよ」

「んー…そういう考え方か。でもミュウミュウもグッチも欲しいからなー」

「先にそっち見てから、また戻る?」

「うーん、あつー買えちゃうの?」

「買えちゃう。ミュウミュウも買うし、グッチは靴?」

「うん、バックストラップのヒールが気になる」

「やっぱりそうなるか。セルジオロッシに戻る?」

「どうしようか。ミュウミュウとグッチ見てから、セルジオロッシに戻る、かな」

「じゃあ、先にこれ買うから」

彼がアトラスのプラチナとダイヤモンドの指輪とピアスのカラットを聞いている間に、彼にボールペンを買う。芯のリフィルも。プレゼント用に包装してもらう。

「あれ?買い物したの?」

「うん、ちょっとね」

「なんだ。一緒に買うのに。ね、アトラスの指輪、こっちにするね。ピアスはダイヤモンドが少し大きめ」

「ありがとう。使いきれないなぁ」

「ま、仕事用と休み用に使い分けても良いじゃん。すみません。では、先程の物をお願いします」

ティファニーブルーはテンションあがる。

グッチは、彼のスニーカー目当てだ。

ティファニーのボールペンとグッチのスニーカー。

私からのバレンタイン。

綺麗にしてもらった指輪とピアスを付けている間に、彼が会計をしている。

「いつもありがとうございます。お気をつけて。またのお越しをお待ちしております」

丁寧に見送られ、グッチに行く。

あった、あれだ。

「あつー、あのスニーカーどう思う?」

「うん、履きやすそうだな」

店員さんに声をかけ、スニーカーのサイズを伝える。

「はい、履いてみて」

「え?おれ?」

「うん、そうだよ。26.5センチぐらいだよね」

「もったいなくて仕事に履けないよー」

「まあ、そう言わずに。皮だから、ゆっくり馴染んでいくよ」

彼が試し履きしている時間に小物製品を見る。

高いなー。

彼のサイズが決まり、お会計をする。プレゼント包装にしてもらった。

「さて、ミュウミュウだな。で、セルジオロッシ」

「ミュウミュウはさ、皮のバッグ」

「うん。黒の皮はいらない?」

「値段しだいだなー。あ、やっぱりセール中だ」

シンプルな皮の黒、ネイビー、少し落ち着いた赤。肩掛けタイプ。マチもあり、使いやすそうだ。

中にファスナーポケットが付いている。

「迷うなー…全部にするかな」

「うん、タイミング良かったよ。長く使えるよ」

「よし、3色全部」

店員さんにお願いし、3色全部購入した。

「じゃあ、最後にセルジオロッシね」

「なんかすごい買い物だねー」

「でもさ、タイミング良いよ。セルジオロッシもミュウミュウも。ミュウミュウなんて、シンプルすぎて売れないのかな?60%オフだよ。セルジオロッシも50%オフ」

「だよね。ミュウミュウ、ものすごく良いタイミングで買えたなー。20万超えだよ、セール以外だと」

「うん。セルジオロッシも安く買えたし」

「あのさ、青山じゃなくて、新宿に行かない?もしかしたら、リ・スタイルでカシミヤのコート、セールになってるかも。セルジオロッシもあるし」

「いいね。おれもセールで何か…コート買い足したいかな。新宿に変更。出発!」

CDをかけながら、一緒に歌う。

車の中だと邦楽が合う。

「あー、今、歌詞忘れたねー」

「バレたか」

歌いながら笑い合う。

「さ、着いた」

「お金、おろしてくるね」

「ここなら、カードのほうが得だよ」

「そうか。セール中も?」

「うん」

「じゃあ、カードにしようっと」

カードだと慎重になり過ぎて、なかなか使わなかった。

「あつー、どれが良いと思う?黒のコートの色違い。あれもセールで買ったの」

「グレーとネイビー、落ち着いた赤。値札見るね」

12万が50%オフ。

「じゃあさ、どれも長く着られるから、全色にしなよ。ネイビーと落ち着いた赤なら、さっきのミュウミュウにも合うし、グレーはマルチに使えるから。サイズ見た?試着してみなよ」

全色試着し、薔薇柄のスカートも履いてみる。

「うん、コートもスカートも良いね。似合う。たまには柄物も良いよ。スカート、色違いなかった?」

試着したのは、黒ベースにピンクと赤の薔薇柄。

「さっき、紫ベースもあった。ちょっと取ってくる」

紫ベースに淡い紫と黒の薔薇柄。

試着している間に、彼が形違いのタイトスカートタイプを持ってきていた。

同じ色だ。

「こっちも似合うと思う。あと、ワンピースあったよ。赤ベースと黒ベース、紫ベース。好きな7部袖。持ってくるから」

タイトスカートを試着する。スリットの位置が綺麗だ。

じゃ、タイトスカートも。

「はい、最後にワンピース」

ワンピースも試着する。

「うん、ウエストの位置が高いから綺麗なライン。はい、決まり」

彼がお会計に持っていく。

「いいよ、自分で払うから」

「いーの!買ってあげたいの」

「わかった。じゃあ、あつーのコートは私が買うね」

ポールスミスを覗いてみる。

カシミヤのコートはグレーだ。

15万で50%オフ。

「あつー、これ着てみて」

試着をし、きちんと全身のバランスをみる。

シングルボタンでお尻より少し長め。

「どう?バーバリーも見る?」

「ううん。気に入った。カシミヤ100%だよね」

「うん、チェック済み。よし、買うよ」

今度は私がお会計をした。

「あつー、他には?」

「セルジオロッシだけ。バーニーズ行く?」

「うーん…買いたいもの増えちゃう」

「だね。じゃ1階に。柄タイツとカラータイツ、柄ストッキングも買うから」

セルジオロッシのバッグストラップは、黒とネイビーの型押しタイプを。落ち着いた赤も50%オフだ。

柄タイツは黒をメインに。カラータイツも少しだけ。柄ストッキングは、肌に合う色をいくつか。

またもや会計は彼のカードだ。

「そんなに買ってもらわなくても…」

「いや、カードがね。よし、これで6月から割引き%が増える。上手く使えば、こうなるわけよ。ポイントも貯まるし」

「そうか…住所、一緒だから、家族カードにならないかな」

「そうだね。んー…苗字がまだ違うから難しいかも」

「じゃ、籍入れたら、だね」

「うん、そうしよう」

めちゃめちゃ買い物をした。

「じゃあ帰ろうか。ちょっと遠回りしながら」

「うん。私たち、狂ったように買い物したね」

「ま、一緒の口座、増えたから。見た?」

「ううん、見てない」

「ちょい、繰越返済しちゃうから」

「うん、任せるよ」

「通帳みたら、驚くよ」

「なんとなーく、予想はつく」

「明日から仕事モードに戻るから、ね」

「そうだね」

彼は嬉しそうにCDに合わせて唄っている。

私も、仕事、しっかり。


自宅に着き、荷物の重いものは彼が持ってくれた。

駐車場から5階までエレベーターに乗り、玄関のドアに鍵を入れる。

「お疲れ様。沢山、ありがとう。部屋で試着、もう1度してから、タグ切るね」

「じゃーん。おれもセルジオロッシで型押しのスリッポン買っちゃった」

「いいじゃん。似合うよ、絶対。コートにも合う!」

「ずっとセルジオロッシ、買おうか迷って。履き心地、良いな」

「うん。私、ヒールはセルジオロッシじゃないと無理だもん」

まず、コートを。部屋のドアをお互いに開けたまま。

「やっぱり買って正解。最低限しか洋服買わないから…長く使えるものはセールでも、な」

「うん、ありがとう。ワクワクする。次はスカートとワンピース」

試着し、丈の長さやスリットを再度確認。

「やっぱり買ってもらって正解!ありがとう」

「ちょい、こっちも見て。ポールスミスのカシミヤコート、どう?」

「似合う似合う。靴も履いてみてよ」

初のセルジオロッシの彼の靴。

「バランス良いねー。どっちもブラシかけるの忘れないでね」

「うん。そっちのコートとスカート、ワンピース、タグ切るね。おれのコートも」

セルジオロッシ大会。

ヒールとブーツ、バックストラップ。

「買って良かった。しばらくはセール以外足りるな」

「ね。ミュウミュウのバッグも」

普段のバッグの中身を入れてみる。

やっぱりちょうど良い。

「良かったー。大切に使おう」

「ハンガー足りる?コート、玄関で良い?靴も」

「大丈夫、足りる。コートは木のハンガーに。太めなやつ。靴は私が並べるから。布袋と箱も」

「コート、了解。靴は頼むね」

「あつーのセルジオロッシ。普段用?」

「うん。仕事以外」

「じゃあ並べ替えるよ」

箱と布袋をきちんと整理し、靴を選びやすく並べる。

ついでに、昨日まで使った2人分の靴をブラシをかけ、磨く。プレーンなセルジオロッシの黒は、布袋を置いておく。

今日着たコートにブラシをかける。

「あつー、ちょっと」

自分の部屋に呼ぶ。

「はい。少し早いけど、バレンタイン。繁忙期に入るから、すれ違いも多いかもしれないけど」

「ありがとう。スニーカーに…あー、ティファニーのボールペンも、芯のリフィルまで!嬉しいなー。大切に使うね」

「良かったー。ボールペン、買ってないか、ちょっとカケた。ね、再来月、お母さん、フランスとノルウェーにホームステイに行くんだけど」

「知ってる。聞いてるよ。いくら包む?10くらい?」

「ちょうど良いね。ごめん、一緒の口座の通帳見せてもらえる?」

「待ってて」

LDKに移動する。

「はい、これ」

名義が私の名前になっていた。

ヤバイ…こんなに貯めてるなんて。

「ここから、15にしようか。あと、あつー、入れ過ぎじゃない?いくら、私よりお給料もボーナスも良いからって…」

「全然。無理なくしてるから。本当にお父さんとお母さんに上手くローンくんでもらえたから」

「この額、私の貯金より多いよ」

「ま、繰越返済しちゃうから、ね」

「じゃあ、お母さんにお金渡しに行こうよ」

「うん。まだATM無料の時間帯だしね」

「白い封筒…あった。これに入れて」

喪服をクリーニングに出した。彼のワイシャツも。

2人で駅前まで行き、ATMからお金をおろし、封筒に入れた。

「ね、あつー自身の口座にも貯金してる?」

「もちろん」

「良かったー。ホッとした」

「一緒の口座は、緊急用っていうか…基本的に、繰越返済がメインだから」

「少しずつだけど、私も毎月入れるから」

「うん。無理ない範囲でね」

話しながら歩いているうちに実家に着いた。

「天敵がいるかなー」

チャイムを鳴らし、実家に入る。

「こんばんは。お邪魔しまーす」

「こんばんは。失礼します」

「いらっしゃい。お疲れ様でした」

「ううん、ちょっと用事があって。お父さんは?」

「まだ寝てるわ。夕ご飯、もうすぐだから。食べていって」

「ありがとう。ご馳走になろう、ね」

「すみません。図々しく」

祖父と祖母、母と3人の写真が飾ってあった。

「これ、あつーが撮ったの?」

「うん」

写真に手を合わせる。

「ちょっと、お母さん。ホームステイ、行くよね」

「うん、行くわ。あ、フランス語、教えて。簡単なやつで良いから」

フランス語を専攻していた私に言う。

「じゃあ、ファックスで送るよ」

「あの…これ。少ないかもしれませんが、僕とお嬢さんから」

彼が封筒を渡してくれた。

「こんなに?大丈夫なの?」

「はい」

「お土産、リクエストある?」

「全然ないよ」

「お姉ちゃんはヴィトンのバッグよ」

「んーね、私、ヴィトン似合わないし」

「ちょっと現地で見て、気に入った物、任せてもらって良いかしら?」

「うん。あんまり気にしないで」

父がリビングに来た。

やつれているようにも見える。

「お邪魔してます」

「近いんだから。遠慮しないで」

「ありがとう。今夜は夕ご飯、食べに」

「うん。急ぎで悪いんだけど…今月、敦くんと休み合う日にちある?」

「自宅に戻ればわかるけど…」

「じゃ、連絡くれないかな」

「わかった」

きちんとした夕ご飯は久しぶりだった。

まだ、ヴーヴクリコもサロンも開けていない。

夕ご飯を食べ、簡単に洗い、食洗機においた。

「お姉ちゃんから、ちゃんとお土産代、もらってよ」

「もちろん、そうするわ」

自宅に戻り、明日の準備をしてから、フランス語と彼と一緒の休みをファックス用紙に書いた。

フランス語にはふりがなも。

「あつー、この日、土曜日だけど一緒に休み。お互いに前日早番で日曜が遅番。この日、大丈夫?」

「うん、大丈夫。ファックス送っておくから、お風呂入ったら?」

「ありがとう。じゃあお願いする」

「あ、待って。ティファニーを…」

「うん、ありがとう。お風呂あがりにする。今夜、洗濯するでしょ」

「だな。了解」

メイクを落とし、ゆったり丁寧にマッサージしながら髪の毛も身体も洗い、湯船で水分補給のマスクもした。

明日から忙しくなる。

それでも、やれることをコツコツ重ねるしかない。

もう仕事モードに切り替えなきゃ。

祖父はきっと見ている。見守ってくれている。

彼がお風呂あがりにティファニーのプラチナとダイヤモンドのアトラスをくれた。

「ありがとう。大切にします。右手に指輪つけようかな」

「無理しなくていいから。仕事しやすいように、ね」

彼は優しく言う。久しぶりに彼のベッドでセックスをした。

「ごめんな。早かったよな。少ししかイケなかったでしょ」

「ううん。あつーに抱かれてると安心するから」

「洗濯機、回しちゃうね。今夜は明日、一緒に早番だから、こっちで寝よう」

「うん」

洗濯機を回している間にまたセックスをした。

何度も達してしまう。

「はー…気持ち良い」

「おれも。気持ち良いな。抱きしめたら、洗濯物干すから」

彼はそう言いながら、丁寧に優しい愛撫を続けた。

最後に濡れた私のところを舐めて。


 翌日。簡単な朝ご飯と彼のお弁当を作り、出勤した。ヒールも忘れずに。

やっぱり新製品のリーフレットと見本が届いていた。

「お休み、ありがとうございました。ご迷惑をおかけしました」

「全然だよ。のっちん、大丈夫?カウンター入れる?」

「はい、新製品の予約、やりたいです」

掃除を終えてから、新製品を選ぶ。今回、限定製品。

ハイライトは売行きが良ければ、現品になる予定。

「今回ね、初めてハイライト。あと、春夏用の淡いアイシャドウとリップ。カラーアイライナーのペンシルとリキッド。のっちん、選んじゃって。アイシャドウとリップ、アイライナーも2つね。のっちん、売れるから」

「えー!予約取れなかったら…」

「冗談だよー。のっちん、時間あるから、アイメイクとリップ、ハイライト使ってメイク直しお願いね」

「はい、わかりました」

ハイライトは、プレストパウダーで濡れたような艶がある。ブラシ付きのコンパクトだ。アイメイクのベースに使ってみた。

アイシャドウは赤と紫。リップも赤と淡いピンク。アイライナーはゴールドとピンクを。

どちらも薄く仕上がる。アイシャドウを赤に。リップも赤に。アイライナーはゴールドのペンシルにリキッドを重ねた。頬のチークの上にもハイライトを。

「ん?アイシャドウ、他のメーカー使った?」

「いえ、ハイライト、これマルチにつかえますよ。アイシャドウのベースに使いました。あと、カラーアイライナーは、ペンシルとリキッドを重ねると崩れにくいです」

「なるほどー。朝礼の時に、のっちんのハイライトの使い方やアイライナーの使い方、紹介して良い?」

「もちろんです。売上げに繋げましょう」

「のっちん、一緒に予約受付、しようね。私もアイシャドウのところにハイライト使うね」

「澤井さん。特別ボーナス、必ず、受け取りましょう」

「のっちん、やっぱりいてくれて助かる。昨日から見本入ったけど、予約まだ取れなくて」

「大丈夫ですよ。まだまだ、これからです。ファンデもありますから」

「そうだよね。丁寧にタッチアップ、やっていこうね」

「はい。お願いします」

遅番の人たちが入ってきてから、朝礼でハイライトのマルチ使い、アイライナーのペンシルとリキッドの重ね塗り、アイシャドウとのバランス。リップの勧め方を改めて、澤井さんから説明された。

私は遅番の人たちが入る前に、ハイライトもアイライナーもアイシャドウ、リップもいくつか予約を取った。

「この紹介の仕方、のっちんからです。彼女、バックヤードみればわかるけど、予約取ってます。艶っぽさを春夏用に出していきましょう。以上」

朝礼が終わり、のっちん、この調子で。足りなかったら、他のカラーも渡すから。

そう、澤井さんから言われた。

やる気がみなぎる。

「澤井さん。アイシャドウとアイライナー、追加で購入しても良いですか?」

「うん。待ってて」

ちょうどお客様が途切れたタイミングに。

「アイシャドウ、何色?アイライナーは?何個でも。リップは?」

「発売されたら買いますね」

「ううん、いいよ。大丈夫」

「アイシャドウは淡いグリーンとピンクを。アイライナーはネイビーとグリーンを。リップはベージュをお願いします」

「のっちん。んー、全色渡したら、負担?」

「負担にはならないですけど…申し訳ないです」

「はい、それなーし。全色渡すから。毎日、出勤時に変えてみて」

「わかりました。カラーの組み合わせ、考えます」

「あと、ハイライトももう1つ。私も一緒に。いわもっちゃんも。3人だけね、秘密ね」

笑顔がとても綺麗だ。

その日、担当のお客様が来てくれたおかげもあり、スキンケアの見直しと、新製品のメイク紹介。

スキンケアすべてと新製品の予約を取る。

アイシャドウやリップはもちろん、ハイライトをタッチアップし、アイシャドウとペンシルアイライナー、アイシャドウもリキッドもタッチアップする。

どんどん予約を受付けた。

お昼休憩にアイシャドウのカラーを変えるつもりだったが、今日はこのメイクで続けてみる。

好評だったから。


今年度も残り1ヵ月半。

今、やれることをやるだけ。

とにかく、タッチアップをする。

実感してもらうために。

ハイライトを限定にしたくなかった。









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