元気いっぱい少女は諦めない
学校。それは青春の場であり、勉強の場でもある。それは各々の個人なのでいいと思う。だが、俺・天宮宇は学校についてどう思うかと言えば―――【監獄】。それが1番自分の中でしっくりくる。その主な原因は
「おっはー宇!」
そう、この朝っぱらから松岡修造並に元気いっぱいな挨拶をしてきた小柄の少女のせいである。名前は、群青舞。髪は青でショートカットであり、猫を思わせる紫の瞳は、まっすぐ宇を捉えている。
「おう、おはよう...」
「どうしたの?元気ないけど」
「お前の方こそ朝からテンション高いな...」
朝から舞のテンションについて行くのは、かなり厳しいので、素直に言う。
「まぁね!こんな天気のいい日には気分もよくなるってものよ!」
「だとしても高いわ」
「ほら!宇もテンション上げてこ!」
「俺はのんびりするのが好きなんだよ...」
人には人のペースがあるのだから、勘弁してほしい。そんな事を思いながら言うと、舞はその可愛らしいほっぺをぷくーっと膨らませた。
「む、高校生活なんて人生でたった1度きりなんだよ?もっと堪能しないと!」
「う...わ、分かった分かった。するから」
一応舞は、女子の中では一二を争うくらい可愛らしい外見をしている為、彼女いない歴=年齢の宇にとって今の表情はかなりドキッとしてしまう。
「ほんと!?やった!」
「はぁ...」
舞には聞こえないくらいの声量の溜息をこぼす。恐らく、このめんどくさい性格でなければ、俺は舞の事を好きになっていただろう。だが、ほぼ毎日舞に振り回されてるお陰で、そんな気は全く持って起きなかった。
「それじゃ休み時間にまた話そうねー!」
と、宇に手を振りながら舞は自分のクラスへと戻っていった。因みに、宇のクラスは一組であり、舞のクラスは三組だ。
(休み時間が全く休めないとはこれいかに)
俺はもう一度、軽く溜息をつくのだった。