第11話
改めて確認する。
獣害被害は、農山村の過疎化や耕作放棄、里山における住民の活動の減少が引き金となる。つまり放置竹林の拡大とはこの里山の住民活動の減少が関係する。そのため、竹の伐採により里山の環境が整えばハード面の整備は完了する。
他にはイノシシやシカを捕獲する狩猟者数の減少と高齢化がある。
「でも兄さん、獣害被害は全国平均でも低下しているはずだよ。確かにウチの市ではまだ被害報告は多いけど。」
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『被害額が下がってるのは被害件数が減少していることとイコールではないだろ?』
「農業自体が廃業しているってこと?」
『一理あると思うぞ。』
端正こめて作った野菜をシカやイノシシに漁られた嫌にもなる。
『俺の周りの爺さんたちの話によるとカラスなんかの鳥に比べてシカやイノシシに田畑を荒らされることはここ最近増えているらしい。』
「つまり、鳥類より獣類。特にこの地域ではイノシシとシカの対策を取らなくてはならないってことだね。」
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そう、しかし狩猟者の高齢化、減少を考慮すると今までの犬を連れて山に入り鉄砲で撃つ。罠を仕掛けるやり方は変更しなければならない。
『お前の出番ってわけだ市長。』
「?」
『システムを作るのが市長の仕事だろ?』
「捕獲のシステムを作ってこと?」
おしい
『従来の鉄砲担いでイノシシ追いかけるのは現状きつい。罠を仕掛けてもわざわざ見に行かなきゃならない。だから、罠に教えてもらう。』
作戦はこうだ。罠にIoTを搭載する。罠自体がインターネットにつながることで常時罠の中を監視することができる。つまり、罠に獲物がかかったら罠がネットを通して教えてくれるから狩猟者の負担を減らすことができる。また、クラウドにデータを集積させることで例えばA地点は罠の種類、数を選択することに効率性を上げることに役立つ。スマホゲームで自分の城を守るために大砲を設置したり、兵士を設置する感じだ。
罠までは思い鉄砲を担ぐ必要もない。イノシシやシカが嫌がる光や匂いで罠まで追い込む。もしくは罠に誘い込む。そこら辺の知恵は実際に経験した狩猟者に後日調査すればいい。