復讐者、強引に拠点を手に入れる
「eそんなこと言うのー⁈・・・って、移動した‼︎すごいなー!魔法で本当に移動できたよ!」
チムハにとことん嫌われたことに全然気づいていないノアンが下町の教会から転送移動してきた。
「・・・あ!!魔法の力に感心してる場合じゃない!早くあの二人を追いかけて、拠点の場所を確認しなきゃ!」
急いで教会の外に出て周りを見渡してみたが・・・そこには二人の姿はどこにもなかった。寝坊して急がなきゃいけないのに、チムハとの言い争いで大切な時間を使って今、転送移動してきた。そのためあの二人がこの教会に転送移動してからかなりの時間が経っている。今頃二人は商店街で閉店したお店を探している頃だろう。
「いない!どこにもいない!ど、どうしよう・・・」
二人の目的は知っていても、行き先を知らないノアンはどうすることもできないだろう。
「僕の能力でも、この状況は覆せないかな〜。有無を書き換えてもなぁ・・・あ!大丈夫だぁ!」
「ママ〜、さっきからあの人一人で叫んでるよ〜」
「いけません!見ちゃダメです!ほら、行くよ!」
「はーい」
ノアンは城下町に来てから数分で変人になった。
「二人の居場所を知る手段が無いことを有にする!あと、二人に関する記憶を持ってる人が完璧に記憶して無いことを有にする」
すると、ノアンはまず、地面を見た。国の城下町と言ってもここ砂漠だ。道はレンガで舗装されているが、地面には結構砂がある。
「よし、二人の足跡らしきものがあるのがわかるぞ!商店街の方へ向かったのか。あのー、すみません!」
「は、はい?何でしょう?」
ノアンは商店街から出てきた女性に声をかけた。
「金髪の女の子と僕みたいな白い服を着た人を見ませんでしたか?」
「あ、見ましたよ。それが何か?」
「できればどこで見たかとか、二人についての詳しい情報を聞きたいんだけど・・・」
「えっとですね・・・」
(よしっ!能力はしっかり発動している!これならいける)
「さっきすれ違った時に二人で閉店したお店を探すと言ってましたよ」
「へ、閉店したお店?・・・本当そう聞いたの?」
「はい、そうですけど」
「なんで閉店したお店⁇・・・わけわからん。とりあえず商店街に行くか」
「・・・あの、もういいですか?」
女性は早くここから立ち去りたいようだ。
「あ、大丈夫です!ありがとうございました〜!」
ノアンは情報をくれた女性にお礼を言って商店街の方へ向かった。
「なかなか無いですね〜」
「そうね〜、もういっそのこと能力使っちゃおうかな・・・ライト」
レリカ達は閉店したお店を探していたが、そんなに都合よく閉店しているお店など無かった。そこでレリカはまず、ペンをデヒトに向けて構え、記憶を書き換える能力を使い、デヒトの記憶にレリカが記憶を書き換える能力で、同時に何人でも何処にいても記憶を書き換えることができるようになったことを書き込み、その後に、デヒトの記憶の中にある強化された能力を使い、この商店街の面積が広くなったが、お店が空だということを世界中の人達の記憶に同時に書き込んだ。すると、商店街は一瞬で拡大し、今までただの砂漠と少し舗装された道だった部分が商店街になった。しかし、お店の中には人は誰一人としていない。なぜなら拡大した中からレリカが拠点にする為にどの場所にするか決める為に全て空けておいたのだ。
「ここはどうなの?」
「ここは例の場所から徒歩10分程度ですね」
「それは遠いわ、残念〜。この外見良かったのに」
「ここは?」
「えー、ここはさっきよりは近いですが、例の場所に行くには普段たくさんの人が歩いている道路を横断して向こう側に行かないとですね」
「それはダメだわ。私、人混みは苦手なの」
レリカは割りとインドア派なのかもしれない。
「じゃあ!あそこ!あの建物は?」
「どこですか?」
「あれよ!あれあれ!」
「すみません、わかんないです‼︎」
レリカは指をさしているが、ここは商店街なのでお店がたくさんあって、どのお店をさしているのか全然わからない。仕方なくそのお店までレリカに案内してもらった。
「どうなの?」
「レ、レリカ様⁉︎ここは今までで一番遠いですよ!」
「え?えっ⁉︎」
「えっと、一番の遠いです」
「じょ、冗談よ!冗談に決まってるじゃない‼︎な、な〜に本気にしてんのよ‼︎」
「で、ですよね‼︎(良かった〜、冗談で本当に良かった〜)」
「そ、そうよ‼︎当たり前じゃない!と、ところで、一番おすすめはどこなの?」
「お?やっと聞いてくれましたね!待っていましたよその質問を‼︎」
「そ、そう、それは良かったわね。で、どこなの?」
「ここですここ!ここは良いですよ!例の場所からも一番近いお店で、中も広く、地盤もしっかりしており、地下の部屋も作りやすいと思います!そして、なんといっても一番のおすすめポイントは、この裏路地につながる裏口の扉があるところです!」
そこは例の場所から徒歩1分の場所にあるお店だった。かなり近くてお店の中も広く、なかなか良いお店だ。
「そ、そう。そんなに良いならここにしましょう」
そう言ってレリカはペンを取り出した。
「わっかりましたー!」
そして、この場所に決めたレリカは、先程デヒトの記憶に書き込んだ強化された能力を使って、自分たちの経営するお店があることを世界中の人達の記憶に同時に書き込んだ。こうしてレリカは強引に自分たちの経営するお店を手に入れた。
「できた!ここが私のお店・・・じゃなかった。拠点になる場所よ!」
レリカ達は自分達のお店兼拠点を手に入れた。そして、レリカが空だったお店に、この世界の人が元々お店をやっていることを世界中の人達の記憶に同時に書き込み、商店街を完成させた。なので、レリカのお店の周りにも前々からあったかのように、年季の入ったお店がたくさん並んでいる。だが、たった今完成した商店街は元々の商店街の形ではない。これは、レリカによって拡大された部分に作られた偽りの商店街であり、元々ここには商店街は存在しなかった。しかし、街行く人は誰も不思議に思っていない。これがデヒトのみが扱える記憶を書き換える能力の力だったのだが、今はレリカも使えるようになっていて、デヒトよりも使いこなしている。
「おおー!!いいですね!」
「でしょー!拠点だけど、お店も経営するよ!一階はお店!なんのお店にするかはまだ決めてない!目的の拠点は地下に作って、そこで私の復讐の為の準備をするの」
「はい、全てはレリカ様の復讐の為に・・・」
レリカはお店の中に入って、デヒトに向けてペンを構えた。
「ライト、お前の記憶に私は意のままに物を操る能力を追加。よし、これでここに落ちてるスコップを操れるはず、オッケー、できたわ!これでこのスコップに地下室を作らせておくようにすれば・・・」
レリカが指で合図すると魔法のようにスコップが勝手に動いてお店の地下を掘り始めた。
「完璧ね!それじゃあ、私達は一旦、例の場所に行くよ」
「わかりました!」
レリカ達はお店の裏口から出て、復讐者が現れるであろう場所に向かった。その場所はレリカのお店からは徒歩1分なのでかなり近い。たくさんのお店を見て回り、しっかりと考えて物件選びをした甲斐がある。1分程歩いて例の場所に着いた。
「よし、着いたわね」
「はい、この場所です」
「それじゃあ、やってみようかしら」
レリカは両手を構えて唱え始めた。
“詠唱、創生魔法・・・”
教会でチムハが使っていた魔法を使おうとしている。
「ま、魔法ですか⁉︎」
しかし、詠唱は途中で止まって、レリカはなにやら集中しているようだ。
「魔力を・・・物と定義して・・・魔力を操る!できた!」
「な、何がですか⁉︎」
「魔力を自由自在に操れるようになったの。これでどんな魔法も私の魔力量の範囲内であれば、できると思う」
レリカは意のままに物を操る能力を利用して、魔力を操ったのだ。
「すごいです」
「でしょー!えっと、ここに私の魔力で復讐者が転移してきたことを知らせるセンサーを仕掛けてっと!これで復讐者がいつ転移してきてもわかるわ!」
「な、なるほど!さすがです!」
レリカは魔力を操って地面に復讐者を感知するトラップを仕掛けた。
「さあ、帰るわよ!」
「はい!」
その時!
「うそっ⁉︎感じるわ!来る!来るよ!」
さっきレリカがトラップを仕掛けたあたりが光った。眩しくなったと思ったらもう光は無く、そこには人が立っていた。この世界に四人目の復讐者が現れたのだ。
こんにちは!作者のユウキ ユキです!みなさんは物を買う時はどうしてますか?私はしっかり調べたりせずに購入して、後で違うものを買ってしまったことに気がついて、また同じお店に同じ格好で似たようなものを買いに行くことがあります。とても恥ずかしいです。みなさんはしっかりと下調べをしたり、間違いが無いかをしっかりと確認したりして、私のような思いをしないように楽しくショッピングしてください!ではまた次回〜