複数の復讐者
突然だが、物語の時は少し遡る・・・。これはニーゼとは別の復讐者が“再生して復讐をする世界”で再生した時のことである。
・・・俺は死んだのか・・・ここはどこだ。天国?それとも地獄か?真っ暗で何も見えん。ここには俺一人か?
ここには人の気配など全くしない。それどころか音も何も無い。
『聞こえますか?生き返った気分はどうです?』
突然どこからか声が聞こえた。
⁉︎誰だ!
『大丈夫そうですね』
質問に答えてくれ!お前は誰なんだ。
『私は機会提供者』
それが名前なのか?
『はい、機会提供者が名前ですね』
チャンスを与える・・・そんなことよりお前はここに住んでるのか?ここに詳しいのか?
『ここに住んではいませんがあなたよりは詳しいと思います』
そうか。なら聞くが、ここは死後の世界か?俺は死んだのか?
『あなたは死にましたが、この世界で再生させました』
・・・再生?・・・なぜ俺だけなんだ。突然の世界崩壊によって俺の仲間たちも一緒に死んだだろ。
『あなたは選ばれたのです』
選ばれただと?
『はい、あなたは様々な審査を通過してここまでたどり着いたのです』
ほかの連中はどうなった?
『あなたの仲間はここには来れず死後の世界へ行きました』
そうか・・・わかった。残念だよ。それで、ここはどこなんだ?死後の世界ではないみたいだが。
『ここは再生して復讐をする世界』
なんだそれは、ネーミングセンスのカケラもないな。なんかもっとなかったのか?そのまんまの世界の名前じゃねーか。
『仕方ありません。ずいぶん昔にそう決まってしまったのですから』
あ、そう。で、俺はこれからどうなるんだ?
『あなたにはあなたの世界が消滅した原因である“あるもの”に復讐をする機会を与えましょう』
・・・復讐?
『ええ、そうです。復讐です・・・興味ないですか?』
いや、大丈夫だ。続けてくれ。
『わかりました』
俺の世界が崩壊した原因があるんだよな?あれは自然現象じゃないということだな?
『はい。あなたがいた世界とは別の世界に世界消滅の原因はあります』
そうか、ならば原因をつくったやつを殺す。そいつのせいで俺の仲間や家族が死んだ。そいつに罪を償わせて殺す。そして、俺の世界にいた奴らの無念を晴らしてやる。
『やる気は十分ですね』
ああ、だが世界を消し去るほどの事をした奴だろ?今の俺で殺せるのか?
『心配には及びません。私から能力をプレゼントさせていただきます』
チャンスをプレゼント?何を言っているんだこいつは。
『聞こえていますよ。この世界では思ったことがそのまま私に伝わるようになっているのです』
なっ⁉︎え、えっと、今のは・・・な、何というか、その‼︎
『まあ、大丈夫です。気持ちはわかりますよ。いきなりチャンスをプレゼントなんて言われたら誰だっておかしく聞こえますよ』
そ、そうか。いや、でもすまん。
『大丈夫ですよ。ではプレゼントする能力についてお教えします』
わかった、教えてくれ。
『あなたにプレゼントする能力は記憶を書き換える能力です』
記憶を・・・書き換える?
『はい、ペンを構えて指定した人や動物の記憶を自分の思い通りに書き換えることができる能力です。書き換えた記憶はあなたの力となり、その記憶のままの力が使えます。例えば私の記憶をあなたが空を飛んでいる記憶に書き換えると私の記憶を利用してあなたは空を飛べるようになります。一人一人の記憶に違う記憶を書けば記憶のチャンネルを変えて、様々な能力を使うことができます。・・・わかりましたか?』
あ、ああ、なんかすごい能力ってのはわかった。
『それでは世界消滅の原因の“あるもの”がある世界へ転移させます。準備はよろしいですか?』
えっ⁉︎もう行くのか!
『はい、やはりやめておきますか?』
い、いや大丈夫だ。やってくれ。
『わかりました。では、あなたの復讐がうまく行く事を願っています。また縁があっら会いましょう』
するとスーッと意識がなくなるような感じがしたと思ったら急に瞼の外側が明るくなったのがわかった。
「まぶしっ!急に明るくなったな・・・」
辺りを見渡してみるとそこは太陽の光がギラギラと照りつけてくるようなとても暑い砂漠だった。
「砂漠か・・・まあ、ここから俺の復讐は始まる。“あるもの”を作り出し、世界を消滅させた元凶め!首を洗って待ってろよ!」
⁉︎
「うわっ!ビックリした‼︎」
突然隣に黒い服を着てフードを被った金髪の女と白いコートのようなものを着た白髪の男が現れた。二人とも歳は15〜18くらいだ。ちなみにデヒトは18歳。
「なんだお前らは⁉︎」
「・・・君こそ誰だ?」
白髪の男は黙ったままだ。
「そうだな、人に名前を尋ねる時は自分からだよな。俺はデヒトだ。お前は?」
「・・・私はレリカ」
「そっちの君はなんていうんだ?」
「僕?・・・僕の名前はノアン。よろしくー」
やっと白髪の男が喋った。
「お前達も復讐者なのか?突然ここに現れたし。どっかから転移してきたのか?」
「・・・そう。名前も知らない奴から復讐のチャンスをもらって、ここに転移してきた」
「そうか、俺も同じ復讐者だ。一緒に頑張ろう!」
「・・・そうだね」
ノアンはまた喋らなくなった。
「・・・ところで君の能力は何?」
「ん?そうか。みんな能力を持ってるのか!いいだろう、俺から能力の紹介をさせてもらおう。俺の能力は記憶を書き換える能力だ。人の記憶を自由に書き換えられるんだぜ!」
「・・・へぇ〜、それは便利そうだね。では早速ライト、能力を書き写す」
レリカがデヒトに向けてペンを構え、唱えた。普通なら誰でも少しは警戒すると思う。だが、デヒトはレリカのことを全く警戒していない様子だ。
「へ?何だよいきなり、びっくりするじゃねーか。攻撃されたのかと思ったぜ」
「(こいつアホなの?)・・・使ってみよ。ライト・・・ほいっとこれでできたかな?」
レリカはデヒトに向けてペンを構え能力を使った。するとデヒトの様子が急変した。
「レリカ様、あなたの復讐の為にこのデヒト、命に代えてでも貴方の力となりましょう」
「フフっ、これが記憶を書き換える能力かぁ〜、想像以上。あ、君も復讐者だよね?」
レリカはターゲットをデヒトからノアンに変えようとした。が、しかし、ノアンの方が少しだけ動くのが早かった。この少しの差がこの場にいたノアンの命救ったのだ。
「僕の記憶を書き換える手段が有ることを無にする!あと!僕が復讐者だという認識が有ることを無にする!僕と君たちの間に友人関係が無いことを有にする!」
「・・・何をしても無駄だよ。ライト・・・ほいっと。はい!これで君も私の下僕〜」
「何を言ってるの?僕は君の下僕じゃなくて、ただのお友達だよ?・・・あ、ちょっと急用ができたからまたねー!」
「・・・そういえばそうね、さようなら。また会いましょ」
「ああ、ノアン。また会おう」
「変だわ、私ったらどうしたのかしら。復讐者とは全く無縁のノアンを下僕にしようとするなんて。友達失格だわ」
ノアンは記憶を書き換えられることなくその場を離れることに成功した。
「・・・さて、気を取り直してこれからこの近くに拠点を構え、ここに現れるであろう復讐者たちの記憶を書き換えて、どんどん下僕を増やしていくわよ」
「はい!レリカ様」
「・・・それじゃあ、まずは拠点を建てる場所探しね」
レリカとレリカの下僕になったデヒトは拠点を建てる場所を探すべく、人気の少ない方へと歩いていった。
こんにちは!作者のユウキ ユキです。今回はニーゼとクレンにはお休みしていただきました。一応続きなんですけど、少し前の過去の話を書きました。そして書いていて自分で思ったのですが、記憶を書き換えられる前のデヒトってすげぇバカだなと思いました。皆さんはどうでしょうか?ではまた次回お会いしましょう〜