最強と最弱の逆転
ニーゼ達、復讐者はアモノの“設定を書き換える能力”によって設定を“最弱”に書き換えられてしまった。しかし、それはニーゼ達にとって勝つ為に必要な条件だった。
「まさか、こんなにも早く思い通りに行くとは思わなかったよ」
「・・・なんのことですか?」
「この設定を待ってたんだ」
アモノの質問に対してニーゼは書き換えられた設定を待っていたと正直に答えた。
「?、“最弱”の設定を待っていた?“最弱”ですよ?“最弱”」
ニーゼの答えにアモノは思わず聞き返した。
「わかってるさ、わかった上でその設定を待っていたんだ」
「あなたの言っている事がまったく理解ができませんね」
例えば、自分が異世界に転生したとして、もし“最弱”という設定になってしまったら常に色々な場面で危険が付き纏う為、あまり嬉しいものではない。しかし、ニーゼたち復讐者は“最弱”という設定になったにも関わらず、逆に喜んでいるように見えた。
「別に理解しなくていいさ、次の攻撃でお前は何もできなくなる」
「何もできなくなる?はっ、世迷言を」
「世迷言じゃないさ。・・・信じてねぇな?そんじゃ、説明してやるよ、俺の世界には“トランプ”という名前のカードゲームが存在した。これはもちろん、この世の“神”なら知ってるよな?」
「ええ、知ってますよ。それがどうしたんです?」
次のニーゼたちの攻撃でアモノが何もできなく理由が“トランプ”と何の関係があるのかアモノには全くわからなかった。
「そのカードゲームの中に数多く存在するゲームの一つにはカードの組み合わせによって“最強”と“最弱”の立場を逆転させるというものがあった」
「さっきからどうしたんですか?頭がおかしくなったのですか?最弱にされるのを待っていたとか、カードゲームとか・・・大丈夫ですか?」
ニーゼはしっかり説明をしているが、“世界最強”のアモノはニーゼの説明を真面目には聞いていなかった。
「俺の心配よりも、自分の心配をしたらどうだ?もうすぐ死ぬぞ?」
「私が死ぬ?何を言っているのですか⁉︎笑わせないでくださいよ、私は“世界最強”なんですよ?それに比べてあなた達は“世界最弱”、私を殺すことなど絶対に不可能ですよ!」
アモノはニーゼの忠告を笑って流した。
「不可能か。じゃあ、もし俺に“最強”と“最弱”を逆転させることができると言ったら?」
「そんなことはあり得ません、私の書き換えた設定は絶対です」
「そうか、だが、俺が書き換えるのは設定じゃない、この世界そのものだ。そして、カードの組み合わせによって“最強”と“最弱”の立場を逆転させる、俺の能力を利用すればこの世界に同じ事ができるはずだ」
そう言ってニーゼはペンを取り出して地面に向けた。・・・いや、ニーゼはペンをこの世界に向けた。
「なんせ、俺の能力は“世界を書き換える能力”だからな。それと、レリカのおかげでアモノ、お前の弱点に気づくことができた」
「私の弱点⁈私は“世界最強”なんですよ?弱点なんてあるわけがない!」
アモノは自分に弱点があることを否定するが、“世界最強”だから弱点が無いという理由が弱点だった。
「それだよ」
「は?」
「お前の弱点・・・それは、己を過信し、他者を蔑む“油断”だ。そもそも、設定をどんな風に書き換えられようが、セファの能力で書き換えられた事象を消すことができる、なのに今回は消さなかった。なぜだかわかるか?」
ニーゼはアモノに最後の質問を問いかけた。
「“世界最弱”では能力を使っても消せなかったのでしょう」
「違うな、敢えて消さなかったんだ。俺達が“最弱”になる事が“最強”のお前に勝てる唯一の方法だったからだ」
ニーゼはアモノに隠していたこと全てを明かした。
「“最弱”になる事が私に勝つ唯一の方法?・・・な、何かするつもりですか⁈ならば設定を元に戻してしまえば‼︎」
アモノは慌ててニーゼたち復讐者にペンを向けようとするが、すでに目標に向けてペンを構えていた為、ニーゼはアモノよりも早く唱える事ができた。
「もう遅い!じゃあな、“世界最強”!ライト、“世界革命”」
“世界革命”、これはニーゼが編み出した立場逆転の技だ。この技には弱点が一つだけある。それは互いの関係が真逆の立場でないと効果がないということだ。しかし、今回、アモノ自身が書き換えた設定により、ニーゼたち復讐者とアモノの立場が“最強”と“最弱”で真逆だった為、技の効果が発揮された。その結果、“世界最弱”だったニーゼたち復讐者は“世界最強”となり、逆にアモノは“世界最強”から“世界最弱”になった。
「復讐者達の設定を・・・っ‼︎」
“最強”と“最弱”の立場を逆転させた次の瞬間、ニーゼが砂を操りながらアモノに向かって走り出していた。そして、砂で“砂の剣”を生成し、その作り出した砂の剣でニーゼは迷うことなくアモノの胸のあたりを突き刺した。“砂の剣”はアモノの心臓を貫通していた。
「・・・がはっ!ごほォっ・・くっ・・はぁ・・はぁ、き、貴様っ‼︎よくも・・・っ‼︎」
心臓を刺されたアモノはニーゼを睨みつける。ニーゼは念のためアモノから距離をとった。
「お前は俺たちの世界を滅ぼしたんだ、楽に死ねると思うなよ」
そう言ってニーゼは“砂の剣”を刺した時に体内に入り込んだ砂を操ってアモノの内臓を次々と破壊していった。
「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーー!!」
内臓を破壊させる激痛にアモノは悲鳴を上げた。アモノの悲鳴が城門に響いた。
「・・ぐはっ・・お・・・の・・・れ・・ぐほォっ・・わ・わた・し・・の・・せっ・・ていを・・・」
刺された傷口から大量の血液が流れ出している中、アモノはペンを手に取り自分に向けて唱えようとした。
「アモノに“設定を書き換える能力”が有ることを無にする」
アモノは自分の能力で自分の設定を書き換え、回復をしようとしたが、復讐者ノアンの手によって能力そのものを無くされた。回復の手段が無くなり、意識が朦朧としてくる。流れ出る血は止まることなく出続け、アモノの周りは真っ赤に染まっていた。復讐者達はただ黙ってアモノが死にゆくのを眺めていた。
・・・そうして、アモノは心臓を刺されから、操られた砂によって内臓を全て破壊され、体内にある血液よりも体外にある血液の量の方が多いようにも見える血の量を出血したのち、真っ赤に染まった地面の上で命を落とした。
こんにちは!作者のユウキ ユキです!今まで休まず投稿してきましたが、次回が最終話になるかもしれません!まだわかりませんが可能性はあります!ここまで読んできてくれた方、多分、あと一話お付き合いください!そして、たまたま目について見に来てくださった方、是非、一話から読んでみてください!最初の方は書き始めで読みにくかったりすると思いすが、だんだんと読みやすく変わっているはずだと思うのでよろしくお願いします!では、また次回〜




