ニーゼの判断
城の城門で凄まじい突風が吹いた、それによって砂埃が舞い上がり、徐々にそれは辺りに舞っている砂を巻き込みながら巨大化していき、砂嵐となった。
「砂嵐の完成だ、俺の砂嵐は一味違うから気を付けたほうがいいぜ?」
「これは凄いです、本当に砂嵐ができましたね。ですが、これで私を吹き飛ばすつもりだったのですか?この程度の規模ではこの私は動じませんよ」
「そう言っていられるのも今のうちだ。俺の生み出す砂嵐に規模なんか関係ないからな」
ニーゼの忠告を聞いてもアモノは特に表情を変えることなくただ、砂嵐をじっと見ているだけだった。
「・・・ひょっとして、お前は知らないのか?なら、教えてやる。俺の操る砂は威力を増している、鉄の鎧くらいの強度なら簡単に貫く事ができる。そして、最も大事なことだが、現在もこの砂嵐の砂は俺が操っている」
ニーゼは親切に自分の能力で操っている砂の事について説明した。
「なるほど、それでさっきからあなたは私に色々と言っていたのですね?でも、心配はいりませんよ。というか、あなたは私に助かって欲しいのですか?普通、敵に向かって忠告なんてそう何回もするもんじゃないと思うんですが。まぁ、いいです、ライト、砂に付与された設定を抹消」
「そう来ると思ったぜ!しつこく忠告すればお前は必ず強化された砂を元に戻すってな!だが、今の俺の目的はお前を吹き飛ばすことだけだ!」
そう言ってニーゼは操っている風の威力を増強させながらアモノに近づけていき、アモノに直撃させた。
「ニーゼ!」
自分の名前を呼ぶ声に反応して振り向くとそこにはザギンとレリカの戦いを仲裁させてきたノアンがレリカ、デヒト、セファを連れて一緒にいた。
「ノアン!いいところにきた!俺たちとアルノとの距離を無くしてくれ」
「近づいてどうするつもりだ?」
ノアンは近づく理由が思いつかなかったのか、ニーゼに質問してきた。
「アモノの能力でこいつの呼吸器が停止している。そして、何故だかわからないが、俺たちの能力が効かない。心肺蘇生法でこいつの意識を取り戻す」
「っ⁉︎本気で言ってるのか⁈こいつはアルノ、敵だぞ‼︎」
ニーゼの言葉にノアンは驚きつつもその考えを改めるようにアルノは敵ということを再認識させる。
「ああ、わかってる。それより・・・」
「それより⁉︎お前こいつを起こす事がどういう事がわかっているのか⁈」
思ったよりも軽い返事で話を流されたノアンはさらに強く声色を変えてもう一度ニーゼに確認した。
「起こすと言っても自由にするわけじゃない。意識を取り戻す前にちゃんと能力で拘束するさ」
「わかった、それなら協力するよ」
「悪いな、俺の説明不足だった」
「いや、僕も強く言い過ぎた」
「勝手に話を進めないで‼︎ノアンも何を言っているの⁉︎そんな事絶対ダメ!もし、そんな事をするとしても私が絶対に阻止する!こいつは死んで当然なんだ」
話を近くで聞いていたレリカがアルノの心肺蘇生することに猛反対してきた。
「いや、レリカ、最終的には殺すさ。ただ、少しの間こいつは拘束して色々情報を聞き出す。その間だけ生かしておくだけだ」
「そ、そう。なんか、色々考えてたんだ、ごめん」
「大丈夫だよ、気にしないで。・・・ノアン、頼む」
「わかった。アルノと僕たちの間に距離が有る事を無にする」
ノアンがそう唱えると離れていたはずのアルノが目の前に移動してきた。
「ありがとう、さっそく心肺蘇生法をやりたいところなんだが、俺はアモノの相手をするので手一杯なんだ」
「そういえばアモノはどこに行ったんだ?てか、辺り一帯を吹き飛ばす筈だったんじゃ?」
「もっと強化しないと無理かと思ったんだけどな、案外簡単に飛ばせたからこの辺吹き飛ばずに済んだってわけだ」
「飛したって、アモノを?」
「そうだ、風を操ってあいつを遥か上空まで吹き飛ばした。でも、そろそろ風の中から抜け出して降りてくるはずだ、あいつの相手は俺がする。だからその間、アルノの心肺蘇生はノアン、お前に頼む」
ニーゼは状況を簡単に説明してからアルノに心肺蘇生をする人を指名した。
「僕⁉︎心肺蘇生なんてやった事ないよ⁈」
指名されたノアンはやったことのないことをやれと言われて少し戸惑っている。ニーゼが心肺蘇生法のやり方を教えようとしたが、ノアンにやり方をゆっくりと教えている時間はないようだ。遥か上空から人が一人かなりのスピードで落下してくるのが見えた。
「なかなか効きましたよ、ニーゼ」
「ちっ!予想より早い‼︎ノアン‼︎胸の真ん中を強く押せ!それを間隔を均等に空けて何度も繰り返せ!それだけでも効果はある!」
「わ、わかった!」
ニーゼは心肺蘇生法の中でも一番簡単で誰でもできる方法を伝えた。そして、それを聞いたノアンはさっそくアルノの心肺蘇生に取りかかった。
「私達は?一緒に戦っちゃダメなの⁈」
「ダメだ、俺一人で戦う。相手はアモノだ、アルノとは違う、お前たちはここにいろ。俺が死んだらこの世界は誰が守る?お前達しかいないだろ」
そう言ってレリカ達を戦いに参加させずに、ニーゼは落ちてくるアモノめがけて空中へ飛び立った。
「“砂の剣”!せやぁ!」
「忘れたのですか?砂のドーピングは無くなったんですよ?」
「っ⁉︎」
アモノの指摘で先程、強化された砂が元に戻っていることを思い出した。しかし、すでに遅かった。
「しまった!」
ニーゼの“砂の剣”はアモノの持つただの剣に当たると同時に砕け散った。“神”アモノを前に空中で丸腰となった復讐者ニーゼは回避不可能な絶体絶命の状況に陥ってしまった。しかし、そんなニーゼを救ったのはニーゼを弾くように割り込んで入ってきた同じ復讐者のレリカだった。
「“加魔刺突”見ているだけなんて私はできない‼︎」
レリカはニーゼに言われたことを無視して戦いに参加してきた。しかし、そのおかげでニーゼは回避不可能だった絶体絶命な状況から離脱することができた。
「俺たちも戦うぜ!ニーゼ‼︎」
声のした方を見るとそこにはデヒトとセファの姿があった。
「みんなで戦って、みんなで勝つんだ!一人で戦うなんてもう二度と言うんじゃねェ!」
「お前一人で戦って死ぬのは自由だが、お前が死んだ後の世界での私たちの負担も少しは考えてもらいたい」
「・・・お前達の負担?」
自分が死んだ後の世界でセファは残った復讐者に負担があると言うが一体どんな負担なのかニーゼは思わず聞き返した。
「私たちがあの自称“神”に負ける事は絶対に無いが、お前が欠けた分、残った私たち一人一人の役割が少々増える」
「へっ、そうかよ!でも、もうその心配いらねぇよ、なぜなら俺は一人で戦うことやめたからだ!俺たち復讐者全員で戦って全員で勝つぞ!」
参加してくることを拒否して待機させていたはずのレリカに助けられてニーゼは考えを改め、全員で戦うことにしたようだ。
こんにちは!作者のユウキ ユキです!最近、とあるゲームアプリで欲しかったキャラがガチャから出てきてくれてテンションが上がりっぱなしです!当たった時はもう最高に嬉しくて思わず声がでちゃいました‼︎ 嬉しさと喜びの余韻に浸りつつも今回使った分以上の石を次のガチャまでに集めて貯めなければ!!!!では、また次回〜




