忘れられてた騎士王
“神”vs復讐者の戦いにザギンが乱入し、レリカを自身の最高の技でぶっ飛ばした。その光景にニーゼとノアンは驚きつつも、アルノにとどめを刺せるチャンスだった為、ここで引いてはならないとそのままアルノに技を繰り出した。
「ノアン!このチャンスを逃すわけには‼︎」
「わかってる、ニーゼとアルノの距離が有ることを無にする!」
「くらえ、ゼロ距離“砂岩の弾丸”!」
しかし、ザギンの乱入でタイミングが一瞬ズレてしまったようでアルノには敵の攻撃を予測して回避する方法を考える時間があった。
「そう来ると思ったよ。この攻撃は何度もくらっているからね、そろそろ避け方もわかってきた。(この攻撃は必ず私の胸めがけて放たれる。だからこうやってフェイントを入れて放つ方向を誘導すれば・・・)」
そう言うとアルノは体を右にやったと思ったら左に回避し、二人の連携攻撃を避けることに成功した。
「ほらね、避けられた。ニーゼ、もう少し技に工夫することをお勧めするよ」
「うるせぇ!何回もくらってるくせに偉そうに言うな!」
アルノに技の工夫をするよう指摘されたが、そのアルノ自身が何度もくらっていたこともあり、ニーゼは指摘された事が気に食わなかった。
「確かに何回もくらってる。だが、今回避ける事ができた。それに、全ての攻撃に共通している事があるんだけど、何か わかるかな?」
「・・・全てに共通してる事?」
アルノが言うにはニーゼが繰り返し放っていた攻撃“ 砂岩の弾丸”の全てに共通している事があるらしい。
「わからないようだね、教えてあげよう。君の攻撃は全てに共通して私を殺す事はできていない。それでは何の意味もないんじゃないか?相手を殺さずに何度も何度も使うという事は攻撃を避ける方法を探してくれと言っているようなもんだ」
ニーゼを挑発するように今の攻撃ではなんの意味もないと言ってきた。
「舐めたこと言ってくれるじゃねーか、覚悟しとけよ?お前たちは絶対にこの世界から消してやる、どんな事をしても!」
「ニーゼ!今はレリカを!レリカを助けるべきだ。僕たち二人で戦っても勝算は限りなくゼロに近い」
ザギンの乱入で乱れた作戦を立て直すべく、今は復讐者のレリカをザギンとの戦闘から助ける事を優先するべきだろう。
「・・・わかった。だが、あいつが黙って見ているとは思えない」
「そ、それもそうだね・・・」
「待ってやるよ。早く助けに行ってこい。・・・なんだその顔は?大丈夫、ここから動かないって」
そう言ってアルノは近くで戦いを見ていたアモノの元へ駆け寄って行った。
「ノアン、お前だけでレリカを助けに行ってこい。俺はここであいつらを見張っておく」
「わかった、すぐに戻る!」
アルノのことはニーゼに任せてノアンはレリカとザギンの元へ向かった。
「な、なあ、アモノ?わかってたんだよな?し、知ってて助けに来なかったんだよな⁈そうだよな⁈」
「さぁ?どうでしょうね?よく憶えていません。しかし、これはどういう状況ですか?仲間割れ?」
アモノの視線の先にはレリカに攻撃を受け流されつつもひたすら攻撃を打ち込むザギンの姿があった。そこに、戦いを仲裁する為にノアンがやってきた。
「おい!ザギン何やってんだよ!俺達の敵はあいつらだって!レリカは味方だ!」
「おれの てき は こいつだ!」
「お前の敵?・・・確かにレリカはこの国相手に酷い事をしたかもしれないけど、それは“神”達の戯言に惑わされやった事で・・・」
「ヤヴェルだんちょーの かたき だ!」
ノアンの台詞を遮ってザギンがレリカを攻撃する理由を明かした。
「えっ?ヤヴェルの仇って・・・」
その理由にノアンは困惑して戦いを仲裁するはずが、本当に仲裁していいのかわからなくなってしまった。
「んー、ヤヴェル?どっかで聞いた名前だなぁ〜。誰だっけ?」
「ッ・・・てめぇ‼︎ヤヴェルっつうのは てめぇが ころした おとこ の なまえだァ!」
レリカがヤヴェルのことを忘れているのを見てザギンは更に怒りが増した。
「あー、思い出した!わっ、ちょっと待っ⁉︎」
「もんどうむよう!だんちょー を ころしたの なら おまえは しんで とうぜん!」
「だから違うって!話を聞いてってばっ!くっ、こいつは‼︎」
レリカはザギンの攻撃を全て避けながら誤解を解こうとするが、攻撃の手を緩める気はザギンにはないようだ。
「なにがちがうってんだ!ヤヴェルだんちょー を ころした のは てめぇだろうが!」
「私は誰も殺してないよ!」
「は?うそ いってんじゃねーぞ!」
「嘘じゃない、だってヤヴェルだっけ?その男なら生きてるもん!」
「な、なに⁈いきてるだと⁈な、なら!ヤヴェルだん、ヤヴェルだんちょーはどこだ!どこに!ど、どどこへ!」
レリカが真実を伝えようとしてもザギンは全く信じてくれなかったのに、ヤヴェルが生きてるという言葉には過剰に反応し、疑うことを忘れてザギンはヤヴェルの居場所を聞いてきた。
「落ち着いて‼︎ヤヴェルならここにいるから、“魔覆解除”」
そう唱えるとレリカの横に突然ヤヴェルが現れた。国を乗っ取る際にヤヴェルと戦った時、レリカは殺すフリをして実は殺しはせずに操った魔力でヤヴェルをコーティングして隠していた。
「ヤヴェルだんちょー!!ぶじだったのか!いやー、おれは てっきり ころされたと おもっちまってよー」
「ん?ちょっとまてレリカ?」
「ん、なに?」
ヤヴェルが無事に見つかり、ザギンとの戦闘も止まったのだが、ノアンは何かに疑問を抱いていた。
「なぜヤヴェルを隠して殺したことにしてたんだ?」
「あー、えっとね、殺した事にしておけばそれを知った者達が怒りに身を任せて向かってくると思ってね、相手の考えが丸わかりで楽に敵を倒せると思ったからかな」
「なるほどね、どっかの騎士団長なら確実にそうなるね」
「そういうこと。まぁ、味方になった時からもう隠してる意味は無かったんだけど・・・」
レリカはゆっくりとヤヴェルの方を見る。そして、ヤヴェルと目が合った。ヤヴェルも何かを察したようだ。
「・・・忘れてたのか」
「うん、ごめん」
「わすれるのも むりはねーだろ。ヤヴェルだんちょー かげ うすいんだし、じぶんで なにか しなきゃ こっちも きづきよう がないぜ?」
「ううん、ヤヴェルは悪くないよ、例え声を発しても周りには聞こえないようになってるの。そして、その声は私にも聞こえない」
レリカの魔力でコーティングされていたヤヴェルは身動きが取れず、声を発しても周りには聞こえないようになっていた。つまり、ザギンの乱入でレリカが気付かなかったら永遠に魔力に覆われて生きていくことになっていた。ザギンに感謝だ。
「ザギンだっけ?あなたが乱入してこなかったらヤヴェルはずっと私の魔力に隠されて生きていくことになってたわ」
「まじかよ⁉︎ヤヴェルだんちょー、おれが いてよかったな!」
「違うだろ!そこの小娘!謝罪はないのか!」
ヤヴェルはレリカに謝罪することを求めてきた。
「謝罪?それなら、さっき謝ったけど?」
レリカ自身はもう謝ったと言っている。レリカの言う通り、確かに一度謝ってはいる。
「あんな軽くていいわけないだろ!もっとこう、しっかりとな、反省してますって感じで深々と謝罪して欲しいんだ」
「そんな事よりレリカ!早くこっちに復帰してくれ!ニーゼが今一人なんだ」
「そんな事だと⁈お、おい、ノアン?俺は大変な目に・・・」
「わかった、すぐに行こう」
「・・・って、おい!」
ノアンからニーゼの状況を聞いたレリカはヤヴェルに構うことなく急いでノアンと共に“神”vs復讐者の戦場へ戻って行った。
こんにちは!作者のユウキ ユキです!最近、『ゴブリンスレイヤー』という映画を見に行ってきました!アニメの映画なんですけど、テレビで見てた物語がスクリーンで見れるのはテンション上がりますよね!映画はとても面白かったです!皆さんも是非!では、また次回〜




