神を討つ者達の集結
ニーゼは自分に書き加えた新たな能力、光速のスピードでアルノ達と一定の距離を保ちながら攻撃を繰り出していた。
「なんだ?さっきまでと戦い方を変えるのが君の思いついた作戦か?だとしたら残念だ」
「心配するな、これは作戦の一部にすぎない。“砂岩の弾丸”!」
ニーゼは砂で直径1センチくらいの小さな塊を形成し、それを勢いよくアルノの方へ飛ばした。ニーゼの操る砂の攻撃力は鉄の鎧も貫く強さのため、“砂岩の弾丸”はかなり強力な遠距離攻撃だ。
「一部か、なら早く作戦を実行したまえ。ライト、攻撃対象を私の1メートル手前の地面に変更」
すると、“砂岩の弾丸”は野球のフォークボールのように真っ直ぐだった弾道が急に落下し、アルノの1メートル手前の地面に小さな穴を開けた。穴の底は見えなかった。
「この攻撃はさすがの私達でもまともにくらったらやばそうだ。アモノ、今の攻撃は全力で避けることに徹するんだ」
“砂岩の弾丸”の威力を間近で見たアルノはその攻撃力の高さをアモノに警告した。
「了解です。・・・でも、私の能力で付け加えられた設定を消せばいいんじゃないですか?その方が安心安全だと思うんですけど、それはダメなんですか?」
アモノは“砂岩の弾丸”を回避するよりも、単純に設定を書き換える能力で追加された設定を消す方が安全だということをアルノに伝え、提案した。
「わかってないなぁ。アモノ、私は何をしていると思う?」
アルノの質問に対し、アモノは見たままをそのまま答えた。
「アルノはニーゼと戦っています」
「違う、私はニーゼの作戦を待っているんだ。今ニーゼの能力を抹消したら作戦が中途半端になってしまうだろう、それだと今までの時間が本当に無駄になる。だから、私は手加減をしならがら待っているんだ。邪魔はするな」
「・・・わかりました、では攻撃を回避することに徹底します」
アモノの回答は否定され、さらに設定を抹消する提案も全てアルノの自己中心的な考えによって否定されてしまった。
「手加減か・・・」
「聞かれてしまったか。・・・もし、不快に思ったのなら謝ろう」
「いや、平気だ。むしろ それはそれで助かるぜ」
ニーゼにはアルノに手加減されていることが逆に助けになっていた。
「・・・そうか、なら早く作戦を実行するんだ。私は待っているのだぞ‼︎」
「それは無理だ」
ニーゼは即答した。
「なんだと?本気で言っているのか?」
待っているアルノに対し即答したニーゼの答えを聞いたアルノは少々苛立っているような口調に変わった。
「俺の意思で作戦を早くするのは無理だってことだ。今、俺にできるのは、お前にやられずに時間を稼ぐことくらいだ」
「そうか、ならもう作戦を待つのはやめだやめ。君を殺して終わりにしてやる。アモノ、君は手を出すなよ?追加設定を抹消されたニーゼを殺してもつまらん」
アモノは静かに頷き、こたえた。
「・・・わかりました」
「そう簡単にやられてたまるかっての!全力でひたすら回避してやる‼︎」
「私も全力で君を殺しにいくぞ!ライト、対象の移動速度を通常にする」
これは狙ってやったのか・・・アルノが唱えた時、それはニーゼがちょうど近くを通った瞬間だった。
「なっ⁉︎しまった‼︎」
アモノの提案を完全否定したくせにアルノは結局、ニーゼに付与された速度を抹消した。本当に自己中心的だ。
「さぁ、どうする⁈このままだと君は死ぬぞ!」
アルノが落ちていた剣を取り、ニーゼめがけて振りかぶる。
「くっ・・・ライト、俺の立ってる地面1メートル四方を1メートル下げ、下げた分だけ両脇から俺の前に盾として地面を放出!」
アルノの目の前にいたニーゼが地面の中に入っていった。その中でニーゼは自分を守るための技を使う。
「よし、(“砂塵の防壁”)」
アルノは振りかぶった剣を突然出てきた地面の盾に勢いよく振るった。しかし、アルノの攻撃は弾かれてしまった。
「ほう!そうきたか!」
攻撃を弾かれたのになぜか楽しそうだ。
「ならば、ライト、目の前の地面を対象とし対象の硬度を軟化。これで、この盾は無意味だ」
そう言うとアルノは弾かれた地面に向かってもう一度剣を振るった。すると、先ほどの光景が嘘のように目の前の地面が簡単に真っ二つになった。
「おっと、君自身もガードをしていたか!これは予想外、この剣では勝てそうにないな」
そう言ってアルノは剣を納めた。しかし、その一瞬の隙をニーゼは見逃さなかった。時間を稼ぐ方法は何もただ逃げ回るだけではない、時には攻撃をして相手に傷を負わせることも時間を稼ぐことに繋がるのだ。それに、もしもその攻撃で敵を倒すことができたら儲けもんだ。
「くらえ!ゼロ距離射撃、“砂岩の弾丸ォ”!」
ニーゼは“砂塵の防壁”を解除してすぐにアルノのと距離を詰め、砂の塊を形成し放った。
「ッ⁉︎ライト!私を対象とし、対象のゔぉっ!!がァァァーー‼︎」
不意をつかれたにも関わらずアルノはすぐさま攻撃されたことを認識し、回避するために唱えようとしていた。だが、ニーゼの攻撃を避けることはできずゼロ距離でもろに“砂岩の弾丸”をくらった。
「・・・はぁ・・はぁ・・・早く、この場所から離れないと」
高威力の“砂岩の弾丸”でアルノをぶっ飛ばしたのはいいが、あれでアルノが死んだかどうかはまだわからない。アルノに場所を知られていて、こんな狭い地面の中では身動きが取れずに殺される危険性がある為、一旦ニーゼは移動をすることにした。すると突然、城の方から聞き覚えのある声が聞こえてきた。
「ニーゼ‼︎いるかー!微力ながら助けにきたぞォ!」
レグルの声だ。城内で別れたはずのレグルの声が聞こえてきた。
「レグルか⁉︎どうしてここに⁈」
「城の中は片付いたからなお前がピンチなんじゃないかと思って来たんだ」
レグル達は氷を割って助けだしたデヒト達を下僕から解放させて、玉座の裏で拘束されていた国王ワシを救い出し、その後すぐにニーゼの援護に来たのだ。
「ニーゼ!我らも来たぞ!」
声のした方を見るとそこには焔赤兜とタウラス隊がいた。
「お前ら・・・よし!これで作戦を実行する為の駒が揃ったぜ!」
「ノアンお前やられて・・・んっ⁈お、おい、相手ってレリカじゃないのか?」
レグルが地面に倒れているノアンとレリカに気づいた。
「あー、そっか。えーっと、なんて言えばいいかな、レリカは仲間になったんだ。それで今現在の敵は“神”を自称する男女の二人だ」
「・・・」
その場にいたニーゼ以外の全員が言葉を失った。やばい奴と戦ってると思っているのか、みんなちょっと引いている。
「“かみ” だとぉ?あたま おかしくなったのか?」
「レリカが仲間になったのはわかった。だが、ニーゼ、いや、皆に一つ言っておこう、奴らは到底“神”とは思えない外道だ!」
ノアンと別れた時に一度会っている焔赤兜、その副将であるベニカが“神”と名乗る者が外道だという事をニーゼを含めこの場にいる全員に伝えた。
「本当に“神”なんですけどね」
「アモノの言う通りだ。私たちは世界をを作り壊す者、この世に二人だけ存在する“神”なのだよ‼︎」
“砂岩の弾丸で致命傷を与えたと思っていたアルノがほぼ無傷でそこにいた。皆が一斉に武器を構える。しかし、アルノは見向きもせずにニーゼに話しかけた。
「ニーゼ、君は先ほど作戦を実行する為に必要な駒が揃ったと言ったな?では見せてもらうとしよう!君が考えた作戦は何だ?何をする?早く実行したまえ!」
「言われなくてもやってやるよ!みんな行くぞ!!」
この場にいる人たちの運命は全てニーゼの作戦に託された。
こんにちは!作者のユウキ ユキです!お正月休みで体がなまっている&お正月気分が抜けてなくて、朝起きるのも辛いし、夜は若干夜更かししてしまうし、自転車をこいでもすぐに疲れてしまいます。なかなか切り替えが難しいですね。皆さんは寝坊して遅刻などしないように気をつけてください〜(私も気をつけないと‼︎)では、また次回〜




