それぞれの戦い
ニーゼがアルノとアモノを相手に戦っているその一方で焔赤兜は城の後方にあるエクリの木の下でギューマ率いるタウラス隊を追い詰めていた。
「シャブニカァ!」
「なんだ?ギューマ」
追い詰められたタウラス隊の隊長ギューマが突然シャブニカに話しかけてきた。
「オマエらァ!オレたちをコロすのか?!」
「殺しはしない。下僕から解放する為にこの“空気の剣”という剣でお前たちを斬るだけだ」
殺されると思っているタウラス隊にシャブニカは殺すわけではないと丁寧に説明する。
「コロすんじゃねェか!」
説明が全く伝わっていない。
「違う!死にはしない!」
シャブニカは斬られても死なないことを教える。
「シらねぇのかァ?キられたらヒトはシぬんだよォ!!」
何を言っても無駄なようだ。タウラス隊は全員殺されると思い込んでしまっているみたいだ。
「もういいです。シャブニカ将軍、さっさと斬ってノアン達の援護に向かいましょう」
シャブニカとギューマの会話を聞いていたベニカは会話のレベルの低さに呆れて、もう斬る気満々だ。
「そ、そうだな」
シャブニカがそう言うと、シンクとセツキが後ろから出てきた。
「しゃー!私らが斬り倒してやるよ!」
「やるよ〜!」
二人はノアンからもらった小さめの“空気の剣”を構えながらギューマ達にゆっくり近づいていく。
「やめろよォ!シんじゃうだろォ!!」
「お前は黙っていろ。シンク、セツキ、私が敵を峰打ちで死なない程度にやるから倒れたやつを解放してくれ」
「任せて!」
「任された〜」
ベニカは“紅華”を鞘から抜いてギューマ達の方へ走り出した。
「くそォ!そうカンタンにやられてたまるかよォ!カエりウちにしてやる!いくぞオマエらァ!」
同時刻、城内では王国騎士団とレオン隊が不思議な光景を目にしていた。
「ザギン、ここってさっきまでいた玉座の間だよな?」
「そのはずだ」
その部屋はドアを開けると目の前に氷があって中に入ることができなかった。部屋は確かに玉座の間なのだが、なぜか部屋の中全てが氷になっていた。
「レグル、奥に何か見えない?」
「え?あー、なんかいるな・・・人だっ!氷の中に人がいるぞ!」
レグルが氷の中で凍っている人を見つけた。
「本当ですか⁈早く助けだしましょう!」
それを聞いた王国騎士団副団長のレオネが助けようと言ったが、氷で部屋の中に入ることもできないのにその氷の中にいる人なんて、一体どうすれば助けられるのか・・・。
「どうやって助けるか・・・」
「かんたんじゃねーか、わろうぜ」
「割る⁉︎大丈夫かな・・・?」
氷を割るという単純なザギンの案にレグルは不安を感じていた。
「あ?なにが?」
「い、いや、中の人まで割れたりしないよね?」
「それは しらん」
そこまでは考えていないみたいだ。
「まじかよ⁉︎まぁでも、それ以外方法ないか」
レグルも氷を割ることに賛成のようだ。
「でも、どうやって割るの?」
部屋の中が全て氷ということはとてつもなく分厚い氷という事、そんな氷を割るとなると物凄く大変なことだ。
「簡単だクレン!俺たち全員で攻撃する」
「えっ⁉︎玉座の間を攻撃するの⁈」
「そうだな、そうことになる」
国を守るはずの王国騎士団が玉座の間を攻撃するというなんとも言えない状況になった。
「よし、やるぞ!」
レグルの合図で全員武器を構えて、人や動物ではなく、玉座の間という部屋目掛けて各自攻撃を始めた。
「“雷怨”」
レグルが魔力で漆黒に染まった雷を出現させ、持つ二本の刀に纏わせた。
「“闇黒雷刃剣”」
続いてザギンが自身を強化する技を使った。
「“鬼人瞬攻”」
そして、レグルも同じように強化魔法で自分自身を強化する。
「“詠唱、強化魔法・・・雷神憑依”」
レグルが全員に目線で合図を送り、一斉に目の前の氷の部屋に向けて攻撃を放った。
「「「「「はぁぁぁぁぁぁ!!!」」」」」
すると、攻撃箇所から亀裂が入り、そこから一気に氷が砕けた。部屋の氷を割ることに成功した。砕けて小さくなった氷はレリカの開けた穴から下の階に落ちていった。レグルたちは部屋の中に入って、氷の中に閉じ込められていた人達の状態を確認した。
「どうだクレン!生きてるか⁈」
「大丈夫そう、死んではいないみたい」
自分達の攻撃で死んではいないことを確認した。しかし、念のため近くにいって確かめようとレグルが近づいていくとなにやら、見た事のある顔がいくつもあった。
「・・・あれ、こいつら下僕にされた十二星座じゃねぇか⁉︎」
言葉の通りそこに倒れていた人達はレリカと一緒にいた下僕の十二星座のリーダー達だった。
「今は気を失っているみたい」
「気づいたら面倒だ。今のうちに下僕から解放しよう」
王国騎士団とレオン隊はノアンからもらった下僕から解放する事のできる“空気の剣”を手にとって優しく攻撃を当てていった。
「おい、こっちにも なんか いるぞ」
「本当か、今いく」
ザギンが玉座の方で何かを発見したらしい。
「おい、『なんか』ってこの人、国王様だぞ‼︎」
「お父さん!?」
なんと、玉座の裏に気を失って拘束されている国王ワシがいた。国王ワシはクレンのお父さんだ。
「お前、仮にも王国騎士団団長だろうが!」
この国の王の顔を忘れていたかのような言葉にレグルはすかさず注意した。
・・・その頃、城門では城内の雰囲気とは違って、緊張感あふれる空気の中でニーゼが苦戦を強いられていた。
「くそっ、ライト、あの二人の立つ地面を水に変更!」
言葉通りにアルノとアモノが立つ地面が水に変わった。しかし、瞬時にアモノが自分達に新たな設定を付け加えた。
「ライト、水面に立つ事のできる能力を私とアルノに追加」
沈みかけたアルノとアモノの二人がアモノの能力によって水面に足を乗せて立ち上がった。
「ニーゼ、君の能力はその程度なのかい?“世界を書き換える能力”なんだろ?もっと見せてくれよ!」
期待していた割に、あまり強い攻撃をしてこないニーゼにアルノは少しガッカリしている。
「う、うるせェ‼︎黙って見てろ!すぐにお前に“死”与えてやるからよ!」
「さっきからずっと似たような台詞を聞いてるのは気のせいかなぁ?もう飽きてきたよ」
「くっ・・・これから本気出すんだ!」
「だったら最初から出してくれよ、今までの時間が無駄じゃないか」
アルノはニーゼの戦い方が気に入らなかったようだ。
「戦いの最中にそんなこと気にしてんじゃねぇよ!大体、どう戦おうが俺の自由だろうが!」
「私の人生の時間を奪っている自覚がないのか?自覚がないのなら覚えておくといい」
「・・・いや、覚える必要がないな。なぜなら、俺にとって敵の人生なんてどうでもいいことだからだ。それと、一応、礼を言うぜ!今のお前の言葉でいい作戦を思いついた」
「くだらないな、無駄に時間を浪費するだけだろう」
「くだらないかどうかは作戦を理解してから判断しやがれ!」
すると、ニーゼはアルノとアモノから距離をとって遠距離から攻撃し始めた。
こんにちは!ユウキ ユキです!明けましておめでとうございます!今年もよろしくおねがいします!2020年、初めて口にした食べ物はマックのハッシュドポテトでした。美味しかったです。皆さんは初詣には行かれましたか?私はお賽銭だけ投げに行きました。皆さんも行ってみるといいですよー!4日、5日くらいには人も少なくなってると思うので、人混みが苦手な人はそのあたりに行くといいですよ!では、また次回〜




