消滅の理由
城門前で交戦中の焔赤兜とは別行動をしているニーゼ率いるレオン隊と王国騎士団の混合部隊は現在、城内を走っていた。
「焔赤兜のことはノアンがなんとかしてくれる!俺たちの役目はさっきの玉座の間に戻って“例の存在”レリカを倒すことだ!急ぐぞ!」
「ニーゼ、正面の階段を上れば玉座の間はすぐだよ!」
レオン隊副隊長のクレンがニーゼに道案内をしてくれた。
「わかった!いくぞ!んっ・・・いや、まて‼︎」
駆け上がろうとしたその時、突然階段が目の前で崩れ落ちた。
「なんだ!?かいだん が きゅうに おちてきやがった!」
「くそ‼︎時間稼ぎのつもりか!」
崩れた階段の上から下僕となった砂漠の十二星座が大勢集まってきた。
「ニーゼ、あなただけでも先に行くべきだ」
「レオネ⁉︎何を言ってるんだ!」
「そうだよニーゼ!ここは私たち星放社、レオン隊と王国騎士団の混合部隊に任せて!」
クレンの言葉でニーゼは少し考えてから返事をした。
「・・・わかった。ただし!絶対に無茶はするなよ‼︎全員無事が絶対条件だ!」
「おれたちが いったい だれに やられるというんだ?」
「大丈夫!自分達の力量ならわかってる!撤退も視野に入れて戦うよ」
「よし、それでいい!それじゃ、ライト、床の素材を縦に増幅、天井に俺が通れるサイズの穴を開通!」
ニーゼはクレン達と別れて玉座の間がある階にきた。
「玉座の間は・・・あっちか!」
自分のいる場所を理解し、ニーゼはレリカがいる玉座の間を目指して走り出した。
「この部屋だ。(よーし、最終決戦だ)いくぜ!」
ニーゼは扉を勢いよく開けて部屋の中に入る。
「レリカ!お前を倒しにきた!さっきのようにはいかない!最初から全力で倒す!って・・・レリカは?」
部屋の中には先程までいたレリカの姿はどこにもなく、復讐者のデヒトと下僕の十二星座のリーダー達がいるだけだった。
「ニーゼ、お前は一度俺に負けている。それでもあのレリカ様に本気で勝つ気でいるのか?」
「当たり前だ。それに、お前に今勝てば一勝一敗でチャラだ」
「ほう、おもしろい!勝てるものなら勝ってみろ!」
デヒトはニーゼと戦う気満々だ。
「ちなみにレリカは今どこに?」
「やあやあ!残念ながらレリカ様はもう城門で交戦中だ」
「バカか!レリカ様の居場所を教えてどうする⁉︎」
レリカの居場所をあっさりバラしたのは天秤座を司るバランス隊のリーダー、アクセスだ。
「そうか、レリカは今城門にいるのか。ならそっちに行かないとな」
「レリカ様の居場所がわかったからって、“じゃあ、いってらっしゃい”って行かせるわけないだろ、お前はここで俺たちの手で終わるんだよ!」
「終わるのはお前達だ、よっと!」
そう言ってニーゼは部屋から素早く出るとこう唱えた。
「ライト、この部屋の空気を全て氷に変更」
部屋から出て行ったニーゼをデヒトや下僕の十二星座たちが追いかけようと走ってきたが、ニーゼが唱えた瞬間、一瞬で部屋の中にあった空気が全て氷に変わった為、全員部屋の中から出ることなく、元空気の氷の中に閉じ込められてしまった。
「はい、おしまい!・・・城門に急がないと‼︎」
ニーゼは城門を目指して全速力で走り出した。
その頃城門では・・・
焔赤兜とノアンvsレリカの戦いが続いていた。
「終わりだ“例の存在”。“紅炎の一閃”」
「・・・能力を書き写す。“紅炎の一閃”」
レリカがベニカの技を書き写した。同じ一撃が激突する。
「まさか、私の技まで使うとは・・・」
ベニカはレリカの攻撃を自身の攻撃で撃ち払い、そのまま重い一撃をくらわせた。
「うーん、同じ技でも若干負けてるなぁ」
「・・・くっ、私は確かに攻撃を当てた筈だ。なぜ、無傷なんだ」
レリカの身体にはベニカの一撃をくらった形跡がなかった。
「くらった事を無かったことにしただけだけど」
「こいつは倒せるのか・・・」
「あきらめちゃだめだ!空気の剣!」
ノアンはもう片方の手に空気の剣を生成し、レリカに斬りかかる。
「レリカ!君の復讐は一体、誰に向けられているんだ!」
「・・・」
ノアンの問いにレリカは口を閉ざした。
「この国の人達が君の世界に何かしたのか?!罪もない人達を自らの復讐に巻き込むな!」
「・・・っ‼︎うるさい!お前は私の世界と私に起きたことも復讐者のことも何も知らないくせにごちゃごちゃうるせえっての!」
「なら!それなら教えてくれ!君に何があったんだ⁈」
ダメ元でレリカに聞いてみる。
「お前なんかに話したって何も変わらないっ‼︎」
「それはわからない!僕だって復讐者だ、少しは協力できることもあるかもしれないだろ?」
「・・・黙れ」
やはり、レリカは何も教えてくれなかった。
「(仕方ない、少し強引だが)話す気が無いことを有にする。教えてくれ」
「・・・わかった、話す、話すよ」
有無を書き換える能力を使って無理やりだが、レリカは話してくれた。
「まず、この世界の存在が私たち復讐者の世界を壊し、滅ぼした。これは知っているの?」
「い、いや、初耳だ‼︎僕は“あるもの”が原因で世界は滅んだって機械提供者に聞いたけど」
ノアンは機械提供者に言われたことをそのままレリカに教えた。
「それは違う。“あるもの”が原因なんて適当な作り話」
「じゃあ、本当に君の言う通り、この世界の存在が僕の世界が滅んだ原因なのか⁈」
話が全然違っていたことに驚きながらもレリカに真実を問う。
「そう、この世界の存在が復讐者達の元いた世界を滅ぼしたことに変わりはない。・・・けれど‼︎私は機械提供者の虚言を信じてまんまと奴らの思惑通りにこんな事してっ・・・‼︎」
レリカ喋り方が急に感情的な喋り方に変わった。その様子は何かに怒っているような、それでいて悔しがっているように見えた。
「ま、まて、機械提供者の虚言だと?それってどういう・・・っ⁉︎、誰だ!」
突然、背後に人が現れた。
「私はアルノだよ。おっと、君は初対面だったかな?確か君の能力も僕が与えたものだと思ったんだけど、違ったかな?この声に聞き覚えはない?」
ノアンにはアルノという人物に全く覚えがなかった。
「っ・・・アルノ‼︎・・・お前だけは‼︎お前だけは絶対に許さないっ!死ねェーー!!“加魔刺突”!」
レリカはアルノと名乗る謎の人物めがけて“レイピア”で魔力を纏わせた突きの攻撃を放つ。
「考えてみたまえ。君たちに能力を与えたのが私なのだから、私はそれ以上のことができるんだよ。ライト、攻撃の対象を私からノアンに変更」
「くそっ!ノアン、避けろ‼︎」
「っ⁉︎攻撃が当たる可能性が有ることを無にする!」
ノアンは自分が攻撃を避けるのではなく、当たる可能性を無くしてレリカの攻撃の軌道を変えて攻撃を逸らした。しかし、その影響でレリカは止まることなく“加魔刺突”の勢いで城の壁に激突してしまった。
「お前も復讐者なのか⁈」
自分と同じような能力を使用したところから復讐者なのではないかと推測して質問をした。
「私が復讐者?違う。私は復讐などというくだらないものには一切興味がない。ただ、人の感情が強くはっきり伝わってくる瞬間がたまらなく好きなだけだ」
「何を言って・・・」
質問の答え以外に聞いていないことまで勝手に言ってきたのでノアンは少し戸惑った。
「そうだ、追加で教えてあげよう。世界にはとある規則が存在する。ある世界の上位互換が新しく存在した場合、その世界の下位互換にあたる旧世界は全て不必要となり処分される。つまり、滅亡だ。そして君達、復讐者の世界を壊すきっかけとなったこの世界を作ったのは私と・・・」
「彼と同じ存在であるこの私です。私はアモノ、彼と同じ機械提供者です」
ノアン達を挟むようにアルノとは反対側に突如アモノという名の機械提供者が現れた。
「お前達が機械提供者だと・・・⁈なにを言っている・・・機械提供者が世界を壊した⁈お前達がやったのか⁇いや、そもそも機械提供者は一体何者なんだよ!」
一度にたくさんの情報が入ってノアンは混乱し、動揺していた。
「まだわからないのか?君たち世界を作り、君たちの世界を壊す者。創造と破壊の力を合わせ持ったこの世にたった二人しかいない・・・」
「“神”だよ」
「“神”ですよ」
アルノとアモノは自分自身を“神”といった。その発言にノアン達は驚いていたが、誰一人として信じる者はいなかった。
「“神”だと・・・話の内容がイカれてる。それに、たとえお前達が“神”だとしてもだ!規則やなんかで決まってるからって俺たちの大切な世界を簡単に壊すなんてそんなことあってはならない!」
ノアンは自分の世界が消滅したことを思い出し、悔しい思いや、悲しい思いを胸に世界を壊した張本人“神”に対して強く語った。
「そうかい。でもまぁ、君たち復讐者がこうして生きているのも私のおかげだ、感謝くらいしたらどうだ?」
ノアンの言葉には特に響いた様子もなく、逆に感謝の意を求めてきた。
「どういうことだ?」
理解が追いつかないノアンはすかさず感謝する理由を聞き返した。
「いやー、ただ世界を壊すだけではつまらなかったのでね、お前達を旧世界からこの新世界に連れてきて復讐者としてどう生きるのかを観察させてもらっていたよ!」
「・・・ふざけるな!人をなんだと思ってるんだ⁈僕達はお前たち“神”の玩具じゃないぞ!」
「その通りだな。話の半分は理解できない内容だったが、お前達が外道だということはよくわかった」
ベニカは紅華を鞘から抜いてアルノに向けて構える。それを見た焔赤兜の仲間達も一斉に武器を構えた。
「ほう。それで、それがわかってどうするんだ?」
「貴様を斬る」
「そうか、でも残念ながら焔赤兜の相手はあっちだ」
アルノが示す方向を見るとそこには勢いよくこちらに向かってきている集団がいた。
こんにちは!作者のユウキ ユキです!最近、人気のあるライトノベルの第1巻を少しだけ読みました。今の自分との“違い”がすごくよくわかり、物語の表現する力の差を思い知りました。なので、今目の前にあるものを全て片付けてから、小説に関することを勉強する事にしました。表現力の差を知ったからといって今書いてるこの物語を途中でやめたり、無理やり終わらせたりは絶対しません!今の力量で手を抜く事なく、出来る限り頑張って書き終えますのでこれからもう少しだけこの物語をよろしくお願いします!では、また次回〜




