その部隊の名は・・・
先に出発していたノアン達は順調に着々とレオン隊のアジトに近づいていると思っていたが、実際はそうではなかった。しかし、このことはまだ、誰も知りもしない。
「なぁ!この部隊の名前決めね⁈」
救出作戦で複数の集団が一緒に行動しているこの部隊の名前を付けようとシンクがノアン達に提案した。
「いいな!よし、すぐにきめよう!おれは とくに おもいうかばない!」
もやは考える気がないのかと思えてくる。
「シンクは何か思いついたの?」
ノアンが名前をつけることを提案した本人に聞いてみた。
「私はねー、とってもいい名前を思いついたよ!私らは砂漠の十二星座を救う英雄になるんだから、部隊の名前は“英雄軍”だ!」
シンクは自信満々でみんなに向けて言ったが。
「クレン殿は何かあるか?」
焔赤兜の将軍シャブニカはシンクの案には触れずに、何を思ったのかは知らないが突然、近くにいたクレンに部隊の名前案を尋ねた。
「えっ⁈わ、私ですか⁉︎えーと、うーんと・・・“星放社”なんてどうでしょうか?」
クレンは少し考えて部隊の名前案を提案した。
「“星放社”なるほど、十二星座を洗脳から解放する者たちか」
ベニカがクレンの考えた名前の意味を詳しく語る。
「いい名前!私の“英雄軍”よりいい名前だ!やるじゃんクレン!」
シンクはクレンの提案した部隊の名前を気に入ったようだ。
「あ、ありがとうございます!で、でもっ‼︎私以外の名前案でも、いい名前があるかもしれませんよ‼︎」
すると、ノアンとレオネが話に入ってきた。
「いや、僕の“超騎士団”よりいいな」
「オレの“合併騎士団”よりもいいと思うよ」
二人は一応自分の考えた名前も言いつつクレンの案に賛成した。そして、クレンの提案した名前に全員賛成だった。
「よぉし!この部隊の名前は星放社だ!」
「えぇ!私ので決まっちゃったんですかっ⁉︎」
たった今、シンクの発言でレオン隊、焔赤兜、王国騎士団、復讐者が協力し、参加したこの救出作戦で混合になった無名の部隊は、今から“星放社”という名の部隊になった。
「ぶたい の なまえ もいいけどよ、ちゃんと もくてきち にむかってるんだよな?」
シンク達が部隊の名前で盛り上がっている中ザギンは冷静に進行方向の確認をとった。
「大丈夫でしょ!まっすぐ東に進むだけだし!」
そう言ったのは先頭を歩いていて部隊を先導していた救出作戦総責任者のレオネ副団長だった・・・。
「「「「「・・・」」」」」
衝撃の事実に全員だんまりだ。
「ど、どうしたの?・・・みんな大丈夫?」
全員が言葉を失った原因に全く見当がつかないレオネ副団長はみんなの心配をするしかなかった。
「お、おまえ、なにを めじるし にして まっすぐ すすんでるんだ?」
砂漠を普通に歩いている中でその歩みが真っ直ぐだと正確に言える人は到底いないだろう。真っ直ぐ歩くには何かしらの目印が必要だ。
「え、太陽のある方向。・・・あ、今気づいたよ‼︎」
今の回答に全員がアホだと思った。レオネは方向音痴というよりただのアホだったのかもしれない・・・。
「太陽って時間によって見える場所変わるんだった」
当たり前のことを言っている。
「それじゃあ、今この場所がどこなのかもわからないのか?」
シンクがみんなに質問をした。
「そ、そうだね。ごめん・・・」
「まぁ、やっちまったことは しかたない。じぶん のできることで ばんかい するんだな」
目的地に向かっていたはずが自分のせいで全然違う方向に進んでいたことに責任を感じて、下を向いていたレオネをザギンが励ます。
「・・・オレの出来ること」
「だれかレオン隊の あじと のある ほうがく だけでもわかるやつはいないか?」
とりあえずこの状況を打開する為にザギンは星放社の中にレオン隊のアジトの方角がわかる人がいないか聞いてみる。
「残念だが、我はわからんな。すまん」
「私もわからない〜」
焔赤兜のシャブニカとセツキは方角はわからないみたいだ。だが、おそらく星放社の人達全員がアジトのある方角はわからないだろう。
「多分どうにかなるよ」
そう言ったのは復讐者のノアンだった。
「ノアン、お前わかるのか?」
「いや、僕もわからないよ。ベニカ」
どうにかなると言ったノアン自身もアジトの方角はわからないという。
「じゃあ、どうする?」
ベニカは方角もわからないノアンがどうするのか不思議でしょうがない。
「こうする、レオン隊のアジトの方角を示す物が無いことを有にする」
すると、地面の砂の中から木の枝が浮き出てきた。そして、その木の枝は驚くことに独りでに動き、とある方角でピタリと止まり動かなくなった。
「な、なんだこりゃ⁉︎」
勝手に動く木の枝を見たザギンはとても驚いている。
「なるほど、そういうことか」
勝手に動いた木の枝を見たベニカは納得した。
「みんな、レオン隊のアジトの方角がわかったよ。ここから来た道を左の方向に向かって進もう」
ノアンが星放社ないなかったら救出作戦は一体どうなっていたことやら・・・。
「よし、いくぞ!」
ザギンが号令をかけ、星放社は再びレオン隊のアジトへ向け歩き出した。
「まだ着かないの〜?」
来た道を戻っていることもあって歩きだしてから結構な時間が経っていた。
「えーっと、もう少しかな」
ノアンによるともう少しでレオン隊のアジトに着くらしい。
「ん、あれか?たてもの があるぞ」
本当に少しだったみたいだ。先頭を歩いていたザギンがレオン隊のアジトらしき建物を発見した。
「あ、そう!あれだよ!ほ、ほらセツキ、着いた」
「本当だ〜」
セツキも建物の姿を確認した。
「あの中にレオン隊のみんなが・・・よし、私、絶対助ける‼︎」
クレンは自分と同じ副隊長のレグルや隊長のレオード、隊の仲間たちを思い出し、より一層レオン隊を助けたいという思いが強くなった。
「で、どうする?堂々と正面から行くか、上手く隙を見て相手の不意を突くかだけど」
「あ、あの、レオン隊のアジトに攻め込む作戦はオレに任せてくれないか?」
レオネが作戦の話に入ってきた。
「救出作戦総責任者に全てを任せろということか?」
ベニカはレオネに任せる理由を知りたいようだ。
「ち、ちがう!この状況で最良の作戦を考えることがオレにできることだから・・・」
レオネはザギンに言われたことを思い出していた。“自分にできることで挽回をする”ということを。
「なら、最良の作戦を期待するけどいいのか?」
プレッシャーをかけるようにベニカはレオネに期待をすることを伝える。
「大丈夫です!任せてください!」
自身たっぷりでそう言うとレオネは考え始めた。そして、少し考えた後に全員を集め、考えた作戦の内容を語り始めた。
「えー、まずは隙を見て少数精鋭で突撃します。そして、突撃したらアジトの奥まで突っ走ってください。自分たちの逃げ場がない状態を作り、敵を油断させます。油断したところに残りの全員で正面から堂々と突入し、挟み撃ちで一網打尽にしてしまうというのはどうでしょう?」
レオネは方向音痴だけれど実はとんでもない策士だった。普段団長が勝手に突っ込んでいくので上手く策を講じて戦わないと勝てないらしい。しかし、そのおかげでレオネは策士になれたのだ。
「素晴らしい、最高だ!やるではないか!レオネ殿!」
一番最初に反応したのは焔赤兜の将軍シャブニカだった。
「僕もこの作戦に賛成だ」
「私も!」
ノアンとシンクもレオネの作戦に賛成した。
「ベニカさん、どうでしょうか?」
レオネは恐る恐るベニカに作戦の賛否を問いかけた。
「さすがは自分にできることって言い張るだけはあるね、凄くいいと思うよ、これでいこう」
「やった、ありがとうございます!」
そして、星放社は少数精鋭と後から突入する本隊に分かれた。少数精鋭はノアン、ザギン、ベニカ、クレンとクレンの部下のレオン隊の二十人で編成された。
「よっしゃ!いくか!しょうすうせいえいぶたい、とつげ「みんな待って!あ、あれは・・・ぅう、に、ニーゼ!ニーゼがいる‼︎」
クレンの目線な先にはデヒトに記憶を書き換えられ、下僕になってしまった復讐者のニーゼがいた。そして、ニーゼはレオン隊のアジトの中に入っていった。
「にーぜぇ?だれだそれ?てか、おまえ!おれの とつげきあいず を とちゅう で とめんな!」
いい感じに台詞を言っていたのにクレンに途中で台詞を被されてザギンは少し怒った。
「ご、ごめんなさい‼︎で、でも!ノアンさん!」
「わかってる!ニーゼは僕に任せて!必ず助けてみせる!・・・少数精鋭部隊、行くぞ!星放社、突撃ィィ!!!」
ノアンはさりげなくザギンの台詞を奪取した。
「「「「「おお!!」」」」」
「ノアン、てめぇ!おれの せりふ とりやがったな!」
ザギンは自分で号令をかけたかったようだが、ノアンの号令で星放社の少数精鋭部隊がレオン隊のアジトに向け走り出し、突撃を開始した。
こんにちは!作者のユウキ ユキです!突然ですが、九月はいいですね!なぜ九月がいいのかというと、連休があるからです!!なんと!三連休が二週も続けてくるんです!もう最高ですね、遊ぶしかないですね、ゲームするしかないですね。なので、私は三連休を有意義な三連休にするためにカップラーメンを買ってこようと思います。では、また次回〜




