救出作戦、始動!
ノアン達は訓練場で武器の手入れなどをして下僕にされた砂漠の十二星座救出作戦の準備をしていた。
「おい!ノアン、さっきは なにをしたんだ!なぜ おれの 王邪の槍のこうげき がつうじないんだ!りゆう をせつめい しろ!」
下僕にされた砂漠の十二星座を助ける為の準備を進めていると、ザギンが先ほどノアンに負けた時の王邪の槍がノアンの着ている服にすら貫通しなかった事を不思議に思い、質問してきた。
「ああ、それはね、僕の能力だよ」
「のうりょく?よくわかんねぇな」
復讐者のことをよく知らないザギンは能力と言われても、いまいちよくわからないみたいだ。
「僕は復讐者だって言ったでしょ?復讐者はそれぞれ機会提供者と名乗る人からチャンスと呼ばれる能力をもらっているんだ。そして、僕には有無を書き換える能力がある」
ノアンは自身の能力をザギンに教えた。
「うむぅ?なんだそれ?」
ザギンは有無という言葉を知らないようだ。まぁ、普段の会話の中で“有無”という言葉はあまり使わないので知らないのも無理はない。
「“有無”というのは“あること”と“ないこと”という意味がある言葉だよ」
「はー、それで?なぜその ことばの いみが おれの 王邪の槍が おまえの ふく をかんつう しない りゆう になるんだよ」
有無の意味は理解したが、能力のことがまだよくわかってないようだ。
「僕はその概念を自由に書き換えることが可能なんだ。この能力で 王邪の槍に有った強力な攻撃力を無くしたんだ」
ノアンはさっきの勝負で発動した能力で何をしたのかザギンに明かした。
「は⁈そんな むちゃくちゃ なことができるのか⁈じゃあ、いまも こうげきりょく はないのか?」
ノアンの能力の効果を理解したザギンは現状はどうなのか?と質問をした。
「あ!そういえば戻すのを忘れてた!ごめん、今戻すよ‼︎ 王邪の槍の攻撃力が無いことを有にする。これで戻ったはずだよ」
ノアンは 王邪の槍の攻撃力を戻すのを忘れていた‼︎すぐに能力で元に戻し、ザギンに謝罪した。するとザギンは近くにあった王国騎士団が剣の訓練でいつも使っているサンドバッグのような役割の縦に置いてある丸太を 王邪の槍で思いっきり突いた。
“ドガシャーンッ”
「な、何事だ⁉︎どうしたノアン!何かあったのか⁈」
大きな物音がして、近くにいたシャブニカが心配して見にきた。
「あらら、壊しちゃった・・・。あ、シャブニカ将軍!なんでもないですよ!大丈夫です」
「よぉーし!ちゃんと もどったな!つぎは のうりょく をつかわれるまえに ぶっつぶす!」
ザギンが丸太を突いたのは 王邪の槍の攻撃力がしっかり戻っているかどうかの確認だった。
「えっ?またやんの⁈もう、嫌なんですけど‼︎」
ザギンは反省点が見つかって次(二回戦目)もやる気満々だが、ノアンには勝負をしたい気持ちなどこれっぽっちも無いようだ。
「あのー!皆さん準備はできましたかー?」
王様から直々に救出作戦の総責任者に任命された王国騎士団副団長のレオネが準備完了の確認をとった。
「レオ姐!私達は準備できた、いつでも出発できるよ」
「クレンか、了解だ。レオン隊は準備完了っと」
レオネは手に持っているメモ帳のレオン隊の欄に印をつけた。
「レオネとやら、我々も準備完了だ。いつでも出れる」
シャブニカが物音のした方へ行ってしまった為、代わりに副隊長のベニカがレオネに報告してきた。
「了解です、えっと、焔赤兜も完了。準備が早くて助かります」
メモ帳にメモしながら素早い準備に感謝の気持ちを伝えた。
「当然のことだ。助けに行くのなら早いことに越したことはないからな」
正義感の溢れる言葉にレオネは感心した。
「流石です、ベニカさん。えーっと、あとは、あー。あの二人か・・・」
レオネの視線の先にはあの二人+シャブニカがいた。
「ザギン団長とノアンさん!準備は万端ですか⁇」
二人とも見た目で準備が済んでいないのはわかるが、レオネはそれでも一応聞いてみた。
「んぁ?なんだ、レオネか。じゅんびってなんのじゅんびだ?」
みんなが救出作戦の準備をしているのに、何の準備をするのかわかってないようだ。
「んなっ!何が、何の準備?だぁー!さっきの勝負の結果でシャブニカ将軍の意見に決定して救出作戦の準備中でしょうが!!」
普段は優しいレオネ副団長がザギンの言動に、我慢の限界でついに激怒てしまった‼︎
「・・・、ああ‼︎そうだった、そうだったなぁ!!よし、じゅんび かいし だ!」
ザギンはノアンと勝負に負けた理由について話していて救出作戦のことをすっかり忘れていたらしい‼︎
「今からですか⁉︎もう、ベニカさんやクレン達を少しは見習ってくださいよ!って⁉︎なんですか‼︎これは⁈」
レオネはさらに木剣や木刀を打ち付ける丸太が壊れているのを見つけてしまった。
「どうして、準備も何もしてないのに丸太が壊れるんですか⁈」
レオネの怒りが爆発しそうだ‼︎しかし、ザギンは正直に壊れた経緯を説明した。
「王邪の槍の こうげきりょく を かくにん したんだよ。そしたら、この まるた が もろ すぎて こわれたんだ」
ザギンの言っていることは普通に考えれば誰にでもわかる当然のことだ。
「当たり前でしょ!壊れるに決まってるじゃない!これは木剣や木刀で打つの‼︎なに真武器でやってんの!アホなの?バカなの?」
レオネの口からとうとう本音が出てしまった・・・。自分より階級の上の人間にアホ、バカと言ってしまった。しかし、レオネには後悔はない。むしろやっと本人に言えてスッキリしていた。
「あ、あのー、(特に準備することないので)一応僕は準備完了してます・・・」
ノアンは言えずにいたことを恐る恐る総責任者に伝えた。
「あ、ノアンは終わってるのね!了解了解!さ、あとはあなた一人だけですよ!早くしてください‼︎置いて行きますよ⁈」
一瞬、いつもの優しいレオネ副団長に戻ったような気がしたが、それは気のせいだったのかもしれない。
「さきにいってもいいが、すべて おわらすなよ?おれのために なんにんか とっておけ!」
「じょ、冗談ですよ‼︎団長を置いて行く王国騎士団などあり得ません!なので、本当に早くしてください。オレ、あっちで待ってますから」
レオネの言葉を素直に受け止めて、返事を返してきたザギン団長に驚いてさっきまでの威勢がなくなり、さっさとどっか行ってしまった。
「ザギン殿、早く準備した方が良さそうだぞ?」
シャブニカがザギンに急ぐように言った。
「ああー、わかってるよ。あんたも はやく じゅんび したほうが いいぞ?レオネは おこると なにするか わからないからな」
ザギンはシャブニカにも準備するよう言った。
「我はもう終わっているぞ?多分、終わってないのはお主だけだ」
ザギンはわかってないようだったので、シャブニカは自分は準備が終わってることと、ザギン以外のみんなは準備完了だということを教えてあげた。
「え⁇そうなの?・・・そりゃ、レオネもあんなに いってくるわけだ」
どうやら、こんなに遅いのは自分だけではないと思っていたらしい。
「レオネさんもさっきそう言ってたよ!それに、ザギンが置いてかれたら僕の監視はどうするんだ?」
ノアンはもし、ザギンが置いていかれたら自分の監視をどうするのかが、気になったのでザギンに聞いてみた。
「そりゃ、おまえとベニカってやつも いっしょに おいてかれるんだよ」
なぜこんなにも自己中心的な考え方を堂々と発言することができるのだろうか。
「んなっ、勝手だな‼︎」
ノアンはザギンのびっくりな返答に思わずツッコんだ。
「よし、じゅんび かんりょう だ」
話しているうちに準備が終わったらしい。
「早いな‼︎」
準備を始める時間は遅かったが、準備を始めてから完了までの時間は、特に準備することがなかったノアンを除けば最速の準備完了だった。
「だって、じゅんびっつっても 王邪の槍を そうび するだけだからな」
ザギンの準備はとても簡単な準備だったが、ザギンには王邪の槍さえあればいいのだ。
「それじゃ、レオネさんに報告だ」
シャブニカは焔赤兜に戻り、ノアンとザギンはレオネの元に準備完了の報告をしにいった。
「レオネ、じゅんび は おわった」
最初のクレンの報告からかなりの時間が経って、ようやくザギンがレオネに準備完了の報告をした。
「やっとか!まぁ、ザギン団長は遅いんじゃないかって予想はしてたけど、まさか本当に、そして、予想以上に遅いとは・・・。でも、これで全員出発できるね!よぉ〜し、では!お待たせしました、皆さん行きますよ⁇」
レオネがザギンの準備の遅さに呆れながら全員に出発の時が来たことを伝えた。
「まずは!クレンの仲間を救うべく、レオン隊のアジトに向けてレッツ、ゴーー!!」
「「「「「「「おー!!」」」」」」
救出作戦総責任者レオネの号令で、クレン率いるレオン隊、焔赤兜、王国騎士団、そして、復讐者が互いに手を取り合って団結し、下僕にされた砂漠の十二星座を救う為、レオン隊のアジトがある東の砂漠へと向かった。
こんにちは!作者のユウキ ユキです!この前、休日に人生初の一人ラーメン行ってきました‼︎辛いラーメンが有名なラーメン屋さんなのでタオルを持参し、汗をかきながら完食しました!一人でラーメンを食べるというのもなかなか新鮮味があって結構楽しかったです!皆さんも是非!では、また次回〜




