焔赤兜の秘密
「いくぞ、紅華。セツキ、レオードは任せた」
「うん、任された〜」
ベニカは近づいてくるメメネの方に刀を構えた。
「ベニカさん、あなた私に勝てると思いますか?」
「・・・」
メメネが両腕を上から下に勢いよく振りおろした。
“ジャキン‼︎”
両方の服の袖から太さ4センチくらいの針が出てきた。
「答えはノーです。十二星座のリーダーに副リーダーのあなたが勝てるわけないんですよ」
「・・・そう」
「戦った事もないのになぜわかるのかって顔をしてますねー。でも、剣を交えずともわかりますよ。だって・・・」
“ヒュッ!”
「・・・今すぐにでもあなたを殺せるからっ‼︎」
メメネは一瞬で間合いを詰めてきて、ベニカの喉元に二本の針を突き刺そうとしてきた。
“ガキンッ”
しかし、針による攻撃は当たらなかった。ベニカは構えた刀の刀身を喉の高さに合わせてもってきて、メメネの針を防御していた。
「今のよく防ぎましたね。凄いですよ」
「そうですか」
ベニカは防いだ刀を上手く使って針を右に受け流し、メメネの背中に峰打ちをくらわせた。
「ぐわっ!くく、中々やりますね・・・」
「私のこと、殺せるんでしょ?早く殺しにきてくださいよ」
「い、今から本気で殺してやりますよっ!」
メメネが針で突き刺してきたが、ベニカはその全ての攻撃を刀で正確に弾いて防いでいた。
「くっ‼︎なぜだ!なぜ一発も当たらない⁈お前は副リーダーでリーダーの私より弱いはずなのに‼︎」
自分の攻撃が全て防がれたことにメメネは動揺している。
「はぁ。乙女座のリーダーのメメネさん。なぜ我々が秘密ばかりの十二星座だか理由を知っていますか?」
「理由⁇そんなの知らないわ!」
「そうですか、なら私があなたより弱いと思われても仕方ありません」
「どういうこと⁇あなたの強さに蟹座の秘密が関係あるの?」
「いいでしょう、教えてあげます。それにあなた達には知る意味もある」
「やあやあ!それは僕も知りたいね」
ベニカとメメネの会話にアクセスも割り込んできた。
「てめぇ!副将に近づくんじゃねぇ!」
“キンッ”
すかさずシンクが二本の短刀で斬りかかった。しかし、アクセスは十本のナイフを一つにした一本の剣でシンクの攻撃を防いでいた。
「くそっ!攻撃が入らねぇ‼︎」
「シンク、少し待て。こいつらに我々のことを少しだけ話す」
「わ、わかった。副将がそう言うなら待つ」
「やあやあ!まったく、おバカレディは最初からそうしてほしいな〜」
「うるせぇっての!」
「話していい か?」
「「ど、どうそ‼︎」」
いつまでもうるさいシンクとアクセスを黙らせ、ベニカは砂漠の十二星座の蟹座を司る焔赤兜の秘密を話し始めた。
「まず最初にあなた達と大きく違うところがあります。我々はあなた達のようには国を守っていません。その代わり、別の形で国を守っています」
「別の形?」
「はい、我々は国にあだなす反逆者達を始末する組織として活動しています」
ベニカの話を聞いたメメネとアクセスは理解が追いついたいないようだ。
「やあやあ!どういうことなんだい?君達はこの国の秘密の暗殺者ってこと?」
「そうですね、国民に公表できないターゲットの始末を国王より授かり、実行しています。つまり、今のあなた達もターゲットになり兼ねませんという事です」
「やあやあ!国王からの命令一つで僕らを殺しても罪にはならないわけか」
「でも、それだけだとあなたの強さには納得できないわ!暗殺してるからなに⁉︎それだけで他の十二星座のリーダーより強くなるわけない!」
ベニカの異常な強さに手も足も出ないメメネは早くベニカの強さの秘密を知りたいみたいだ。
「落ち着いてください、ちゃんと話しますから。先程、国民に公表できないターゲットと言いましたが、その中には当然この国を守る人達も含まれてるわけです。その為、国を守るどこかの組織が国に反乱を仕掛けてきたとして、その組織より我々が弱かったら反乱を止められないので意味が無いんです。なので、我々焔赤兜がこの国のどの組織よりも強い組織にするために、国王が自ら王国騎士団から厳選して選び抜かれたエリートのみで構成されているのです」
「なっ・・・‼︎」
メメネは秘密にされていた内容の凄さに圧倒され声が出ない。
「や、やあ。王国騎士団から厳選って、つまり、君らも王国騎士団ってこと⁉︎」
「元ですが、そういうことですね」
「やあやあ、どおりでそこのおバカレディも割と強いわけだ」
「その呼び方やめろってのっ!」
“ガキンッ!”
再びシンクvsアクセスの戦いが始まった。
「メメネさん?戦いは終わりですか?戦意を喪失したのなら私はレオードを倒しに行きますが」
メメネからの応答は無かった。
「おや、メメネさんは戦意喪失か。ふーん、どうすっかな」
レオードの目の前にはセツキとベニカがいた。
「セツキ、すぐに終わらせるぞ」
「りょ〜かい!・・・ん?」
セツキがレオードの背後を気にしている。
「どうした?」
「い、いや〜、今なんかレオードさんの後ろに人がいたような気がしたんだけど・・・気のせいかな?」
「そうか」
しかし、セツキが見たのは気のせいではなかった。
「あれれ〜!まだこんなとこにいるの⁉︎なにやってんの⁈リーダーなのに〜」
その声はセツキとベニカの後ろから聞こえてきた‼︎二人はすぐに振り返った。
「こ、こいつは⁉︎ノアンの言ってた奴か⁈」
「そ、そうかも〜」
そこにはノアンに言われた金髪の女が立っていた。
「ッ⁉︎三人とも!こっち来てっ!早くっ‼︎」
「ど、どうしっ・・・れ、例の奴が来たのか!」
シンクは素早く察し、ノアンの元へ行こうとしたが、行く手を阻む者がいた。
「やあやあ!よそ見とは余裕だね〜」
アクセスがシンクを逃がさない。
「くっ‼︎今はお前に構ってる場合じゃないってば!」
「シンク早くっ!」
「わかってらぁ!」
“詠唱、強化魔法・・・筋力増強”
「せやぁ!!!」
なんと、シンクが二本の短刀でアクセスを吹き飛ばした!
「あれれ〜、もしかして手こずってるの?手伝ってあげようか?」
「や、やあやあ、レリカ様の手を借りるわけにはいきませんよ〜」
「でも、そこの乙女座のリーダーさんは戦意喪失してるけど?」
戦意喪失したメメネはその場から動けずにいる。その頃、ノアン達はレリカ対策を実行しようとしていた。
「三人ともよく聞いて!あの女がレリカだ。そして、あいつは人の記憶を自由に書き換えられる能力を持っている」
「な、なんだよそれ!」
「記憶を自由にとは恐ろしいな」
レリカという女の力を知った二人は少しレリカを恐れた。
「その為の対策なんだけど・・・君達三人に、僕の力で記憶の書き換えを無効にする能力を付与することなんだ」
「ノアンの力?」
「なにそれ〜?」
ノアンの能力を知らない三人は理解ができない。そこでノアンは補足説明をした。
「実は僕もレリカと同じ復讐者なんだ。だからレリカの記憶を自由に書き換える能力みたいな不思議な力も使える。例えば君達と戦った時に見せたこの空気の剣も不思議な力で作り出している」
「納得と理解はできない・・・」
ノアンの話を聞いたベニカはノアンへの信頼を解いたように見えた。
「・・・が、今ここでお前まで敵と判断したら厄介だ。だから、仕方なくお前の言うその能力を付与してもらう」
「副将がそう言うなら。ノアン、お前を信じるぞ‼︎」
「私も〜」
「ありがとう。後でしっかり説明するよ」
しかし、ゆっくりと能力を付与している時間など無かった。
「四人でこそこそ何やってんの〜?」
対策を実行しようとしていた四人の元にレリカが近づいてきた。
こんにちは!作者のユウキ ユキです!最近、ネットで注文したスマホケースが届きました!まだ家族以外には誰にも見せてないので早く見せてやりたい気持ちでいっぱいです。(カニマンのスマホケースを買いました。知ってる人いるかな・・・?)それではまた次回〜




