四人の反撃
「ノアン殿!今襲われてる我の仲間達の援護に向かいたいのだが!」
現在、砂漠の十二星座の一つで蟹座を司る焔赤兜のアジトがレリカと下僕になった三人のリーダーに襲撃されている。
「なんだ殿って!ノアンでいい!それと、シャブニカ将軍、あんたが行ったらダメだ!」
「なぜだ⁉︎我の家来が襲われているのだぞ!これを救わずして何が将軍だ!」
「この襲撃はレリカという復讐者の仕業で奴らの目的はおそらく、シャブニカ将軍だと僕は思う。だからあなたを襲撃してきた奴らに近づけるわけにはいかない!ここは僕に任せてほしい」
ノアンはレリカの襲撃だと推測し、自分で行きたそうなシャブニカを説得した。シャブニカは仕方なくノアンに頼むことにした。
「わかった。だが、お主一人に行かせるわけにはいかない。ベニカ、シンク、セツキ、お前たちもついて行け」
「「「ハッ!」」」
シンクとセツキが襲撃されている方に歩き出した。しかし、ノアンはその場に立ち止まったままだ。ノアンはシンクとセツキは知っているが、ベニカという人は知らない。ノアンはベニカという人が来るのを待っているのだ。
「あれ〜?ノアンさん?」
セツキがノアンがついてきてないことに疑問を抱いている。
「おい、どうした?行くぞ?」
また奥から人が出てくるのかと思って待っていたらシンクに“行くぞ”と声をかけられた。
「えっ?あれ?ベニカって人は?」
「はぁ〜?」
シンクがノアンをバカにしたような顔で見てきた。
「ベニ姐ならそこにいるじゃねーか」
指をさした方を見るとそこにはここに来てノアンが最初に出会った副将と呼ばれていたクールな女がいた。
「え、もしかして・・・」
「ん?あー、そうか。自己紹介がまだだったな。私が焔赤兜の副将をやっているベニカという者だ。よろしく」
「副将がベニカさんだったんだ。こちらこそよろしく」
「それじゃあ、早く行こうか」
「うん、行こう」
すると、後ろから将軍のシャブニカが叫んでいるのが聞こえた。
「おーい!我の家来を頼んだぞ!!」
ノアンとベニカ達はシャブニカからの声援を受け取り、襲撃されているアジトの端の方へと向かった。
「どお?メメネ、リーダーいた?」
「いません」
「そう。リーダーのいる場所とかわからないの?」
「わかりません。蟹座は砂漠の十二星座で唯一、情報を隠しているので。私達でも蟹座の事はリーダーの顔しか知りません」
レリカ達は引き続き襲撃をしていた。近くにある建物から順々と。
「やあやあ!レリカ様〜」
「どうしたの?アクセス」
アクセスが襲撃を中断し、レリカのいる場所に戻ってきた。
「襲撃から逃げるのとは逆にこっちに向かってくる人達がいるんだけど、どうする?」
アクセスがこちらへ向かってくる人を見つけてレリカに報告しにきたのだ。
「やっぱり、襲撃されたら向かってくるのか。どの十二星座もやる事は同じだね〜。何人くらいいる?」
レリカが向かってくる敵の人数を確かめるためにアクセスに質問をした。
「やあやあ!それが、たったの四人です!」
「そう。・・・って!四人⁉︎」
予想外の人数にレリカは目を見開いて驚いた。
「なんでそんな少ないの⁈蟹座はそんなにちっぽけな十二星座なの⁈」
様々な疑問が浮かび上がってくるが、答えを知る者はいなかった。
「蟹座の構成人数の情報も隠されているので、わかりません。どうしますか?」
「うーん、相手が四人でもリーダーのあなた達なら三人でどうにかなるでしょ!抵抗できないように殺さない程度にヤっちゃって」
レリカの命令で三人のリーダーが動いた。
「確かこの辺が襲撃されてたと思うんだけど」
「あららー、誰もいないね〜」
ノアンとベニカ達は襲撃されていたアジトの端に来た。しかし、そこには襲撃されて破壊された家の瓦礫と、一本の木があるだけで肝心の襲撃してきた人がいない。
「どういう事だ?もしかして、私らにビビってしっぽ巻いて逃げ出したのか?」
「そんなわけないだろ、まったく・・・。逃げるくらいなら最初から我ら焔赤兜のアジトなんか襲撃してこないさ」
ベニカがこの状況を冷静に分析した。
「どこかに身を隠して不意打ちのチャンスを狙っているかもしれない。用心しろっ⁉︎」
ベニカが何かに気づいた。すぐに瓦礫の方を見るが、誰もいない。すると、別の方向から何かが飛んできた。
「その物に攻撃力が有ることを無にする!」
ノアンがペンを構え、飛んできた何かに向けて唱えた。すると、飛んできた何かはベニカの胸元に当たって地面に落ちた。
「ベニ姐!大丈夫⁉︎」
「ええ、平気。心配ないわ」
もちろんベニカは無傷だった。
「これは、ナイフ?」
ノアンが拾い上げたのは刃渡り二十センチほどのナイフだった。
「敵襲か⁉︎副将!敵は⁈」
シンクが辺りを警戒して臨戦態勢に入る。
「気をつけてシンク、敵は複数いるわ」
すると、先程ベニカが警戒した瓦礫からひとりの男が出てきた。
「まったく、こういう事をしなくても平気だと言ったのによー。全然人の話を聞かねぇな、あいつ。てか、失敗してね?」
ノアン以外の三人は瓦礫から出てきた男の名前を知っていた。
「なっ、なんで⁉︎」
「あれー、えっと、知ってる人だ‼︎」
シンクとセツキはその人物が、ここを襲撃している奴らのうちの一人だという事を知り、戸惑っている。
「ど、どうしてあなたがそこから出てくるんですか?」
ベニカも驚いてはいるが、冷静さは失わなかった。流石は焔赤兜の副将だ。
「そんなことはどうでもいいだろ」
「どうでもよくありませんよ、レオードさん。あなたが我ら焔赤兜を襲撃しているということが知られたら戦争になり兼ねます」
瓦礫から出てきた男はレオードだった。しかし、今の彼はレリカの下僕だ。そのことをベニカ達は知らなかった。ノアンはレオン隊の隊長が下僕になった事は知っていたが、隊長を見たことがなかった為、気づかなかった。
「だ、誰?」
ノアンがシンクに聞いた。するとシンクはまたノアンをバカにしたような顔で見てから教えてくれた。
「はぁ〜?お前なんも知らないんだな!あいつは・・・」
「やあやあ!君達もなかなか良い体型だねぇ〜。でも、レリカ様の命令だから仕方ないなー。クールなレディ達よ、一旦気を失ってくれたまえ」
シンクがレオードの事を説明しようとしたら、ナイフが飛んできた方向からバランス隊の隊長アクセスが出てきて話を中断した。
「レリカって言ったか?やっぱり、あいつの仕業か」
ノアンはレリカという名前に反応しているが、他の三人はそっちよりも出てきた男に驚いている。
「まっ、またかよ⁉︎」
「あらー、えっと、こっちも知ってるよ‼︎」
「あ、アクセスさんまで。二つの十二星座で我ら焔赤兜を潰しにきたんですか?」
ベニカは驚きを心の奥底にしまって、冷静に質問を問いかけた。
「やあやあ!少し違うな〜。メメネちゃん説明してあげてよ」
すると、木の上から女が一人降りてきた。
「はぁ、しょうがないですね」
またしてもノアン以外の三人は驚いた。
「なっ、何人いるんだよ‼︎」
「あれれれ⁇どうなってんのー?」
「め、メメネ。あなたもですか」
「私達はあなた達焔赤兜を私達の仲間にする為にここへ来ました」
メメネがここに来た理由を簡単に説明した。
「仲間って言ったか?」
「仲間って言ったね〜」
シンクとセツキは仲間にする為と言われて少し迷った。しかし、すぐに二人から迷いが無くなった。
「二人とも!あいつらはここを襲撃した。つまり、襲ってきたんだよ!単に仲間に勧誘するだけなら普通はこんなやり方しないよ!あいつに耳を貸しちゃダメだ!」
「ノアンの言う通りだ。今、目の前にいるのは我々の敵だ」
「そうか、そうだね。あいつらは私らの仲間をアジトを襲撃し、ベニ姐に刃を向けた奴らだ。絶対に許さない」
「私も〜」
全員を敵とみなし、ベニカ達は武器を構えた。
「なんだか酷い言われようですね」
メメネはめちゃくちゃに言われて少し不満そうだ。
「やあやあ、あちらはやる気満々だね〜。どうしますか?メメネちゃん」
「返り討ちにすれば良いだけです」
「はっ、最初からそうすればよかったんだ」
三人のリーダー達もそれぞれ武器を構えた。
「みんな、あの約束は憶えてる?」
「もちろんだ!」
「憶えてるよ〜」
「当然だ」
その約束は少し前に、ここへ来るまでの道のりでノアンがベニカ達に約束したものだ。
『みんな、聞いてくれ!もし、この戦いにレリカっていう金髪の女が参戦してきたら迷わず僕のところに来てくれ。頼む』
『そんなヤバいのか?そいつは‼︎』
『ああ、ヤバい‼︎でも、僕には対策があるからそれを使う』
『わかった、そいつが出てきたら全員ノアンのもとに集まれ。いいな?』
『わかったよ、ベニ姐。ノアンのとこに行く』
『行く〜』
『よし、約束だ』
全員が約束を憶えていることを確認してノアンも武器を構えた。
「空気の剣!」
「さあ、やるぞ!副将!」
「ああ、行くぞ。敵を殲滅しろ」
「「了解ッ!」」
ノアン&焔赤兜の副将ベニカとシンク、セツキはレリカ率いる三人のリーダー達に戦いを挑んだ。
こんにちは!作者のユウキ ユキです!最近、欲しいスマホのケースがあって購入しました。しかし、現在手元にはありません。なぜならネットで注文したからです。なのでしばらく購入した商品が家に届くまでのワクワク感を楽しみながら生活していきます。それではまた次回〜




