ノアンvs焔赤兜
レリカがバランス隊のアジトに着いた頃、ノアンはヤヴェルに教えてもらった焔赤兜のアジトがある場所に来ていた。
「ここがアジトなのか?」
そこは、国の外なのに国内の住宅街のようにたくさんの民家が建っていた住宅密集地の跡地のだった。
「とりあえず、そこの家の人に聞いてみよう・・・人いるのかな?」
ノアンは不安になりつつ近くにあった一番破損の少ない民家に吊り下げられていたベルを鳴らした。
「あの〜、誰かいませんか〜?」
すると中から返事が返ってきた。
「今行きます」
「おー!よかった!人いた〜」
“ガチャ”
ドアが開いて中からクールな感じの女が出てきた。
「はい、なんでしょうか?」
ノアンはここに来た理由を話すことにした。
「えっと、ここが砂漠の十二星座のひとつ、焔赤兜さんのアジトだって聞いて来たんですけど」
理由を話した途端に、クールな女は家の中に向かって二人の名前を叫んだ。
「シンク、セツキ」
「「ハイ!」」
呼ばれた二人の少女が家から出てきた。二人とも武器を腰にに二本つけている。短刀の二刀流だ。
「なぜだか知らないけど、こいつ私達のことを知っている」
「なんだって⁉︎」
「すごーい!」
一人は目で見てわかるくらい驚いている。もう一人はなぜかノアンのことを賞賛している。
「とりあえず、抵抗できないようにして尋問する。二人ともこいつを殺さない程度にぶちのめせ」
「「ハッ!」」
命令された二人は短刀を抜いてこちらに斬りかかってきた!
「わっ!まってまって!ちょっ、はっ話を‼︎」
「問答無用っ!ヤァー!」
話を聞いてくれるような雰囲気ではない。
「あぶっ!くそっ、あんた達と戦っている場合じゃないんだよ!」
シンクの剣を避け必死に話しかけるが、ノアンの話に誰も耳を傾けてくれない。
「そんなこと言われても〜、命令だからぶちのめすしかないの!」
セツキが一瞬、話を聞いてくれたように思えたが、命令があるからといって短刀で斬りかかってきた。
「こ、これは避けきれない‼︎空気の剣!」
“キンッ!”
「おおっ!やるねー!」
ノアンはなんとか空気の剣でセツキの短刀を防いだ。
「だけど、そんな剣さばきじゃ私らの攻撃を防ぐことはできない、よっ!」
シンクの追撃でノアンは吹き飛ばされてしまった。
「うぁ!・・・くっ、わかってるよ!ちゃんと対策は考えてある」
「対策だと?」
「何かいい作戦でもあるのかな⁇」
セツキが少し考え込んでいる。
「対策や作戦だけでどうにかできる私らじゃない!無駄なことしないで、さっさと続きをするぞっ!」
セツキとは正反対でシンクには相手の考えた対策なんか関係ないらしい。やる気満々だ。
「作戦とはちょっと違うな、そこの君もそう急かすなって、これは僕に与えられた能力だ。・・・僕に剣の才能が無いことを有にする!」
機械提供者からもらった能力を行使し、ノアンが反撃を開始した。
「空気の剣!構えろ!行くぞー、うぉぉぉ!」
ノアンがもう一本の空気の剣を生成し、二刀流でシンクに向かっていった。
「なんだかよくわかんねーが!かかって来い!」
“キンッ!”、“カキンッ!”、“キンッ”
「ど、どうした⁉︎急に出来るようになったな‼︎」
「君こそどうした、さっきまでの勢いが無くなってるぞ!」
剣の才能を得たノアンがシンクとほぼ互角の勝負をしている。
「まだだ!僕に与えられた剣の才能は無限大、君が見せる剣技をどんどんコピーしていくぞ!」
シンクを圧倒し始めたと思ったが、シンクに集中しすぎてノアンにはもう一人の動きが見えていなかった。
「ちょっとー、私もいるってこと忘れないでっ!」
「ぐあっ!」
セツキの攻撃がノアンに当たった。いや、当たったように見えたの間違いだ。ノアンが目で見て行動するよりも早くに剣の才能によって、ノアンの体が勝手にギリギリのところで防御していた。
「あ、危なかった・・・」
ノアンは改めて与えられた能力の凄さを実感した。
「なかなかしぶといねー」
「セツキ、アレをやるぞ」
シンクがセツキになにやら提案をしている。
「え〜、今ここでやるの?」
シンクと違ってセツキはあまり乗り気でないようだ。
「いくぞ!」
『合剣技!』
「待てぃ!」
二人が大技を繰り出そうとしたその時、奥にある建物から出てきた男の命令で二人が止まった。
「・・・?」
ノアンもキョトンとしている。状況が飲み込めないようだ。すると、二人を止めた男がノアンに目線を合わせてきた。
「そこのお前!」
「は、はい‼︎」
「我は砂漠の十二星座、焔赤兜の将軍シャブニカである。お主が我らの城の場所を見つけることができた理由と、ここに来た目的を教えてもらいたい」
焔赤兜の将軍シャブニカが、なぜこの場所をノアンが見つけることができたのか聞いてきた。
「ちょっと、シャブニカ将軍!せっかくセツキと“合剣技”やるところだったのにー!」
シンクがちょっと残念そうにシャブニカに文句を言っている。
「おおー、それは変なところで止めてしまったな‼︎すまんすまん!」
「次は気をつけてよ?ホントにー!」
シンクが将軍に飛びかかろうとしたところをここに来て最初に出会ったクールな女が止めた。
「シンク、それはまた後でにして。将軍は今はそこの奴と話してる」
「副将も見てたでしょー‼︎」
「見てたけど、あ・と・で・ね?」
「・・・はい」
クールな女は副将と呼ばれていた。おそらく、焔赤兜の副リーダー的な存在だろう。
「会話が中断してしまったな、すまん。さっきも言ったが、ここを見つけられた理由とここに来た目的を教えてくれ。返答次第ではお主をここから帰すわけにはいかないのでな」
シャブニカが少し脅しをかけてきた。
「最初に言っておきます、僕はあなた達の敵ではありません!」
「戦いが終わってもなお、剣を二本もっているお主にそんなことを言われても説得力がないぞ?」
「あっ!こ、これは、すみません。本当にあなた達と争うつもりはありません!ここには危険が迫っていることを伝えに来ました」
ノアンは二本の空気の剣をただの空気に戻しながら敵対しないこととここへ来た目的を伝えた。
「ほう、危険か。それについては後で聞こう。この場所をどうやって見つけた?」
「それは、スナハ王国の商店街で八百屋を営んでいるヤヴェルというものから聞きました」
「っ⁉︎ヤヴェルだとっ!」
なぜか将軍のシャブニカがヤヴェルの名前を聞いただけで驚いている。
「えっ、あ、はい。ヤヴェルです」
「ヤヴェルって、あの“騎士王ヤヴェル”ですか?」
副将の女もなぜか驚いている。しかもヤヴェルの名前に“騎士王”なんて言葉が付いている。
「ああ、おそらくそうだろう。まさかあいつが商店街で八百屋をやっていたとはな、ハッハッハ!」
「あ、あのー、僕は敵ではないということを信じてくれますか?」
「大丈夫だ!お主のことは信じよう!あのヤヴェルがこの場所を教えたなら安心だ。信用できる!」
「そ、そうですか(一体ヤヴェルってどこまで凄い奴なんだ?)」
「ところでお主がさっき言っておった危険とはなんだ?」
「は、はい。それはここにレオン隊などの他の十二星座を襲撃し、全滅させた“復讐者”という者が迫っているかもしれないということです」
レリカの存在をシャブニカに伝えた。
「ほう、そうか。だがここは限られた者しか知らない場所だ。その復讐者でもこの場所は見つけられないだろう」
危険が迫っていることを伝えたが、シャブニカは特に対策をするでもなく、ここは絶対に見つからないと自信満々だ。
「だといいんですけど・・・。念の為しばらくここにいてもいいですか?」
ノアンにはシャブニカとは違って少し不安があった。ノアンはレリカの能力を知らないからだ。持っている能力次第では簡単に見つけることができるのでは?とノアンは色々考えているのである。
「ああ、いいぞ!そういえばお主の名はなんというのだ?」
シャブニカが名前を尋ねてきた。
「ありがとうございます!僕はノアンといいます」
「そうか、ノアンというのか。よろしくな!」
「こちらこそ、よろしくお願いします!」
その時だった。
“ドッカーン!”
急に離れた場所で爆発音が聞こえた。
「な、なんだ⁉︎」
シャブニカは何が起こったのかわかっていない。
「こ、これは!まさか⁉︎こんな早くに来たのか⁈」
ノアンは襲撃されたのかと辺りを警戒しているが、周囲には敵らしき人物はいない。音が聞こえた方を見ると少し離れたところで煙が上がっていた。なんと、焔赤兜のアジトの端の方が爆発していたのだ。
「シャブニカ将軍!早く焔赤兜のメンバーを集めてくれ!」
ノアンがシャブニカに指示を出した。
「集めてどうするんだ⁈」
指示の意図を理解していないシャブニカはノアンに質問をした。
「ここから逃げるんだよ!急がないと、ここも全滅するぞ!」
「なにっ⁉︎まさか、ここが襲撃されているのか⁉︎」
やっと状況が理解できたようだ。
「そうだ!急げ!」
「わかった!」
その頃、アジトの端っこではレリカの下僕となった三人のリーダー達が暴れていた。
「私はちょっと休憩してから、みんな頑張って!」
レリカが日陰に座って応援している。
「やあやあ!可憐なる乙女に応援されたら僕頑張っちゃうよー!」
「アクセス!お前少し静かにしてろ!」
「あんたも十分うるさいわよレオード。レリカ様!私に全てお任せください!」
下僕になった三人のリーダーはなんやかんやで仲が良さそうだ。
「喧嘩も程々にね〜」
「はーい!」
「はっ!」
「はい!」
三人のリーダー達はどんどんアジトの中へと進んでくる。蟹座の全滅を防ぐ方法はここから一刻も早く逃げるしかないが、ノアン達は無事にここから逃げることができるのか⁈
こんにちは!作者のユウキ ユキです!最近は漫画を読む暇がなくて、なかなか新しい本が買えずにいます。(買った本を全部読むまで次の本は買わないようにしている)新しい本棚を買ったのに入れる本がなかなか集まりません。そこで、自分の生活を見直してみたら、結構暇な時間があったことに気がつきました。今までその時間何してたかというと、YouTubeでお気に入りの人の動画をみたり、ちょうど暇になった時にお気に入りの人がYouTubeでライブを始めてそれを見てたりしてました!やっぱ、いつでも読める漫画とその時でしか見れないライブを比べてしまうとどうしてもライブが勝っちゃうんです。仕方ないですね。今後は色々工夫してうまく時間を作りたいです。ではまた次回〜




