八百屋さんの正体
「ちくしょう!貴様!もう一回入ってこーい!」
レリカの命令によって、アジトの外に出れないレオン隊とレグルが中で叫んでるのが聞こえる。レグル達も外に出ればいいのでは?と思うかもしれないが、彼らはレリカの下僕となり、命令には絶対に逆らうことができないのだ。つまり、レリカが合図があるまでアジトで待機と言ったため、レグル達は合図があるまで待機してなければならない。そのためレグルはアジトの中でノアンに“入ってこい”と叫んでいるのだ。しかし、ノアンにはそんなことに構っている時間などない。今は一刻も早く砂漠の十二星座の被害を止めるべく行動しなければならない。
「レオン隊は手遅れだった・・・。だが!気を落としている暇なんか無い!次の襲撃を阻止しなければ‼︎」
ノアンは再びレリカの計画を止めるために行動することを強く決心した。
「・・・次に襲撃される十二星座をはどの星座だ?ていうか、レオン隊以外の十二星座のアジトの場所なんて知らないぞ‼︎やばっ!急いで情報を集めないと!」
ノアンは情報収集のために一度スナハ王国に戻り、八百屋のおじさんのところに行った。
「おお、旅人の兄ちゃんじゃねーか!無事だったか。何しに行ったか知んねぇが、どうだった?レオン隊のアジトは?」
「酷かったよ」
「やっぱり、酒に酔った勢いで襲ってきたんだろ?」
「まぁ、そんなとこ。それより、レオン隊の次にここから近い十二星座はどこにある?」
レオン隊での出来事は語らずに、本題を切り出した。
「おまっ、また行くのか⁉︎レオン隊でもうわかっただろ!十二星座は何してくるかわかんないってことが‼︎」
「ああ、わかってる。でも、十二星座の強さがよくわかったからこそ僕は早く行かなきゃならない。(十二星座を救う為に)」
「なんか訳ありみたいだな。はぁ、ったくしょうがねぇな。うちの店の売り上げが下がるようなことはするんじゃねぇぞ?」
「わかった。ありがとう」
情報を提供してくれることに感謝した。
「はっ、礼なんか要らねーよ。これも何かの縁ってやつだ。あ、店の売り上げが上がることはじゃんじゃんやってくれて構わないからな!」
そう言って八百屋のおじさんは店の奥に行き、なにやら紙を持って戻ってきた。
「それは?」
「地図だ。だが、普通の地図とは少し違う。これはこの国の周りを詳しく記したものだ」
その地図はスナハ王国の周辺を詳しくした地図だが、そこまで広範囲は記されてはなく、国から歩いて日帰りで行ける距離までがこの地図に載っていた。
「周り?なんで国の周りなんかを・・・ばつ印がたくさん書いてあるけど、敵国だってそんなに近くには無いだろうに」
「わかんねぇか?」
「う、うん。わからない」
「まぁ、そうだろうな。これは今現在の砂漠の十二星座のアジトの場所を記した地図だ」
「えっ⁉︎えっーー!!!十二星座全てのアジトの場所が書いてある地図なの⁉︎た、ただの八百屋さんがなんでこんなこと知ってるんだよ⁉︎つーか!最初にレオン隊のアジトの場所を聞いてすんなり答えた時に変だと思うべきだった!一般的な国民はこんなこと知らないはずだ‼︎」
「ダッハッハ、実は俺はこう見えてこの国の元・王国騎士団団員だ。この程度の情報なら昔の友人に聞けば答えが返ってくるんだ」
「っ⁉︎・・・や、八百屋のおじさんが元とはいえ、王国騎士団の団員⁉︎」
「ダッハッハ!おじさんじゃなくて、八百屋の店長ヤヴェルと呼べ!どうだ?びっくりしたか!」
「びっくりも何もなんでそんな人が・・・王国騎士団なんかやってた人が、八百屋さんやってるの⁈」
「なんだぁ?元・王国騎士団は八百屋やっちゃいけねぇのか⁇」
「い、いや!そうじゃなくて‼︎どうしてヤヴェルさんは八百屋に転職したんですか?」
ノアンは急に敬語になって喋った。
「それには色々深いわけがあるんだ。そのうち話すさ。それより、今は別のことの方が大事なんじゃねーのか?なんかお急ぎの用事があるんだろ?」
その通り、ノアンは砂漠の十二星座をレリカの計画から救う為に情報をもらいにきたのだ。
「あ!そうそう!ここからレオン隊の次に近い十二星座はどこにあるっ、ありますか?」
「はっ!敬語なんて要らねーよ。今まで通り話やがれ!」
「は、はい」
「地図を見ろ、この地図に載ってる通りこの国の東にさっきお前が行ったレオン隊がある。わかるか?」
「はい、わかりま、わかるぞ。地図を見る限り、次にここから近いのは南にある水瓶座のアクエリアス団だな?」
「いや、違う」
地図を見てスナハ王国からレオン隊の次に近い十二星座を確認して、念のためヤヴェルにも確認したら否定された。
「は?どう見てもアクエリアス団じゃねーかよ!」
「確かにこの地図を見たらそうだ。だが、ちゃんと見てみろ!砂漠の十二星座か?」
「な、何言って・・・⁉︎ちょ、ちょっと待て!1、2、3、4、5、・・・・9、10、11、あれぇ?一つ足りな〜い」
「お、お前急にどうした?大丈夫か?」
どっかで聞いたことのある、何かを数える幽霊がお決まりで言いそうなセリフにヤヴェルは驚いているようだ。
「ん?あー、いや、なんでもない。つい、な?えーと、これは置いといて、話を戻すぞ?十二星座で一つ場所が記されてない星座があった」
さっき、ヤヴェルに指摘され地図に載ってる十二星座を数えたら、十二個なかったのだ。
「ほう、それは?」
「蟹座だ、蟹座が地図のどこにも書いてない。ひょっとして地図外か?いや、でもそしたら結局一番近いのはアクエリアス団になる。この地図に載ってない蟹座はどこにあるんだ?」
疑問に思ったノアンはヤヴェルに質問した。すると、ヤヴェルはすんなり答えてくれた。
「蟹座を司る、焔赤兜のアジトの場所はここだ!」
そう言ってヤヴェルが指差した場所はスナハ王国の真裏だった。
「は?ここにあんのか⁉︎近すぎだろ‼︎」
エクリの木の中に住んでるのではないかというくらいスナハ王国に近い場所にあった。(エクリの木とはスナハ王国の城の真裏に立っている大きな木の名前だ)
「まぁ、これは超機密情報で、本当は誰にも言っちゃいけないんだが、特別に教えちゃったぜ☆」
「・・・。“教えちゃったぜ☆”じゃねーだろ!お前それやばいんじゃないのか⁉︎バレたらどうすんだよ!」
「大丈夫だろ!お前が誰にも言わない限り!」
「会ったばっかのやつを信用し過ぎだ・・・」
「なんだぁ?お前言いふらすのか?」
「いや、そんなことはしないけど」
「だろ!なら心配いらねぇ!」
「この人が王国騎士団辞めた、いや、辞めさせられた理由がわかった気がする・・・」
「ん?なんか言ったか?」
「いやいや!なんでもない」
なぜ、蟹座の焔赤兜の場合が超機密情報なのかは気になるが、今はそんなことに時間を割いてる時ではない。
「それじゃあ、一番近い十二星座の場所もわかったことだし、早速行ってく」
「今日はもうやめとけ」
「えっ?」
焔赤兜の場所を知ってノアンは今すぐにでも行こうとしたが、ヤヴェルに止められた。
「“えっ?”じゃねーよ!もう日が落ちてすっかり夜だぞ。」
「で、でも・・・」
「お前の目的が何なのかは知らねぇが、ここで休まずに急いでやっても体力がもたねぇし、頭もまわらん。今日のところは一旦休め、な?うちに泊めてやるからよ」
「はい・・・わかりました。じゃあ、お言葉に甘えて泊めさせてもらいます」
「ダッハッハ!おう!そうしろ!そして、敬語はやめろ」
今日は一旦、スナハ王国の商店街にある八百屋に泊まることになった。
・・・その頃レリカは二つ目の十二星座を襲撃し下僕にしていた。
「た、隊ちょ・・・」
“バタッ”
「これで乙女座は落ちたかな?これで二つ目か。うん、順調!順調!」
「き・・・貴様・・わ、我らスピルカ隊になんの恨みが・・・む、無念・・」
全員下僕にしたと思ったら、一人生き残りがいた。しかし、抵抗する力はすでに無くなっており、床に寝そべったまま起き上がれない。
「あ、まだいたの⁈ごめんごめん、ライト、忘却。これでよしっと!」
レリカが最後の一人を下僕にして、スナハ王国の東にある乙女座のスピルカ隊が、レオン隊と同じ日に壊滅した。
「次は・・・天秤座かな?うん、そうだね。天秤座だ。う〜ん、今日はもういいかな〜。二つ落としたし、今日はここに泊まろっ!ねぇ!乙女座の隊長さん!」
レリカが呼ぶと倒れていた人が一人起き上がり、レリカの方へと歩いていった。
「は、はい」
「名前は?」
「メメネと言います」
「メメネか〜、これからよろしくね!今日はここに泊まってくから、そこのレオードも一緒に」
「わかりました、色々と準備しますね!」
こうして、レオン隊とスピルカ隊を下僕にしたレリカはスピルカ隊のアジトで一旦、休むことにした。
こんにちは!作者のユウキ ユキです!最近、本棚を買いました。最初は私の家のクローゼットに入る程度(高さが1.5メートルくらいの場所)の本棚を買おうと思ってました。そして、家具屋さんで色は焦げ茶色の扉付きのカッコいい本棚が見つかりました!気に入ってこれにしようと思ってサイズを見てみると!なんと1.9メートルもありました・・・。サイズが入らない!どうしよう‼︎でも、この本棚が欲しい‼︎と思っていたら、クローゼットの中に入れなきゃいいということに気づき、当初予定していた本棚の配置を変えて、タンスなどと場所を入れ替え、設置!すると、なんと入れ替えた場所が買った本棚と綺麗にマッチし、ピッタンコ!たくさん入る本棚をゲットしました!これで漫画や小説をたくさん買って読める!まだまだ全然本棚に本が入ってないので今はすっからかんで寂しい状態ですが、これから本でいっぱいにしてあげたいと思います。(願わくばいつかそこに自分の書いた小説も入れたい‼︎)それでは、また次回〜




