レオン隊vsレリカ
「僕がレリカを見つけるまでデヒトに認識されることが有ることを無にする」
ノアンは商店街を走っていた。
「これでデヒトは僕の追跡はできない。まずは砂漠の十二星座を見つけないとだな」
一刻も早くレリカが襲撃する砂漠の十二星座を見つけ出し、襲撃を阻止しなければならない。
「ノアン!」
「なにっ⁉︎」
名前を呼んだのはデヒトだ。まっすぐこちらを見ている。
「なぜ僕のいる場所がわかるんだ⁈」
デヒトがこっちに向かって歩き出した。
「ど、どうして‼︎さっき書き換えてデヒトが僕を認識することは無くなったはずだ‼︎」
考えてるうちにデヒトはすぐそこまで来ていた。
「あいつどこ行きやがった‼︎まだそんなに遠くまで行ってないはずなのに!くそっ!レリカ様の為にも早く見つけなければ‼︎」
どうやらノアンを見つけて近寄ってきたわけではないみたいだ。
「あー、びっくりした。僕の能力が発動してないのかと思っちゃったよ」
デヒトはノアンの横を通り過ぎて、そのままどこかへ行ってしまった。
「さあ、早く砂漠の十二星座を見つけないと・・・。そうだ!そういえば近くに知り合いがいるじゃん!」
そう言って商店街を歩き出した。
「よーし、着いた。あ、あのー」
「へいっ、らっしゃーい!さあさあ!お客さんってさっきの兄ちゃんじゃねーか、どうした?まさか、スナスサボテンのお代を払いにきたとか言うんじゃねぇだろーな!あれはおじさんの奢りだぞ‼︎」
ノアンが来たのはスナスサボテンをもらった八百屋さんだった。そのスナスサボテンは八百屋のおじさんに奢ってもらったもので、おじさんはそのお代を払いに来たと勘違いし、少し怒鳴ってきた。
「ち、違いますって!スナスサボテンは美味しくいただきました!美味しかったです!」
「そうか!そうだろ!美味かったろ!」
「はい!って!スナスサボテンの感想を言いにきたんじゃなくて!」
ノアンは頭に手をやって、自分に“違うだろ”というふうにやって本題を切り出した。
「おじさんはこの国に住んでどれくらい経つの?」
「ん?俺か?俺はな、生まれも育ちもこのスナハ王国だ。この国のことなら大抵のことは知ってるぜ?ダッハッハ」
「そう、なら良かった。ちょっと聞きたいことがあってね」
「お、おう。なんだ?」
ノアンは引き締まった顔になり、その表情を見た八百屋のおじさんも、いつも八百屋に来てくれる客に見せるような顔ではなく、緊張感のある顔になって、ノアンの質問に集中した。
「ここから一番近い砂漠の十二星座はなんだ?」
「砂漠の十二星座か、えっとな、ここからなら一番近いのはレオード隊長のとこのレオン隊が一番近いぞ」
「それはどこにある?」
「お、お前まさか行くのか⁉︎い、今はやめておいた方がいいぞ‼︎」
おじさんがノアンがレオン隊に行くのを止めようとしてきた。
「なぜだ?」
「今日はこのスナハ王国の建国記念日だからな、今頃、砂漠の十二星座はそれぞれのアジトで宴でもやってると思うぜ。あいつらお酒に酔ってると何してくるかわからないからな、今行くのはかなり危険だぞ」
「酒に酔っているのか。なら余計に行くしかない」
今はレリカが“リーダー狩り”で砂漠の十二星座に向かっている。砂漠の十二星座は強くても、酔っていたら本来の実力が出せない。それにレリカは復讐者だ、どれだけ強くても普通の人間が勝てるわけがない。
「そんな大事な用事なのか?」
「そうだ。レオン隊のいる場所を教えてくれ」
「んー、そうか。わかった!教えてやる。レオン隊はこのスナハ王国の東の砂漠にアジトを立ててる。おそらく今日もそこで飲み食いしてると思うぞ」
「ありがとう。感謝する」
「お、おう」
ノアンはレオン隊の場所を知るとすぐにお礼を言って、とっとと行ってしまった。
「次は俺の自慢の野菜を買いに来いよー!安くしとくからよ!」
八百屋のおじさんはノアンに大きく手を振って見送った。するとノアンは振り返って、軽く会釈をした。そのままノアンは東の砂漠へと向かった。
その頃・・・
東の砂漠。砂漠の十二星座レオン隊のアジト内。
「く、くそっ!てめぇはなにもんだ!」
「まて!!さがれ!レグル!」
二刀流のレグルという名の少年が一人の女に向かっていった。
「ふふっ、ライト、事象消去」
すると、走って女の方に向かっていったレグルがなぜか走りだす前の場所に戻ってしまった。
「え⁇お、俺は、えっ?さ、さっき走ってあいつに斬りかかろうとしたのに・・・」
「レグル、むやみに突っ込むな!まずは敵の技を見極めるのだ!」
「は、はい!とうさ・・・レオード隊長!」
現在、砂漠の十二星座レオン隊では一人の女による襲撃を受けているのだ。しかし、その襲撃に対応できたのは隊長のレオードと、レオン隊に二人だけいる副隊長うちの一人、レグルだけだった。他のメンバーは全員酒に酔って寝てしまっている。レオードとレグルの二人はもしもの時、酔い潰れたレオン隊のメンバーを守る為に今宵の宴では飲酒はしていなかったのだ。
「そこのお前、名を名乗れ!そして、ここに何しに来たか答えろ。回答次第では容赦なく貴様を排除する」
レオードが襲撃してきた女に忠告をした。すると、女は口を開き、喋り出した。
「私はレリカ。あなた達を私の下僕にする為にここに来たの。ねぇ、抵抗せずに下僕になってよ〜」
レリカはレオード達にここに来た理由を話し、お願いをした。
「下僕だと⁉︎ふざけるな!我々を馬鹿にしているのか!」
レオードはレリカの言ってることが信じられず、おかしな事を言っているように聞こえた。
「え〜、私は本気だよ?別に馬鹿にしてないし。あなたから下僕してあげよっか?私、次の場所にも行かないといけないから忙しいの。できれば早くしたいのよねー」
そう言ってレリカはペンを構えた。
「た、隊長!」
「なんだ⁉︎どうした⁉︎」
「下僕ってなんだ?」
「・・・は?」
「可愛い〜‼︎あなたから下僕にしてあげる!」
レリカにとってレグルの無知で“下僕”という単語の意味も知らないことが可愛くて仕方がなかったらしい。
「・・・い、いや!やめてくれ!下僕がなんだか知らないけど、なりたくはない!」
「え〜、どうして?」
「なんか嫌な感じがする!」
レグルは直感でレリカの誘いを断った。
「断って正解だレグル!下僕ってのはあの女の言う事は絶対で逆らえず、奴隷のようなものだ」
「そ、そうだったのか・・・。断ってよかったぁ」
自分の直感を信じて断ったことにレグルはホッと一安心した。
「別にそんな酷いことしないし、奴隷と一緒にすんな。私はただ私の計画のためにあなた達、砂漠の十二星座を利用するだけよ。ね?だから、大人しく私の下僕になろ?ライト、・・・?」
構えたペンをレオードの方へ向け唱え始めた。すると酔って倒れていたはずのレオン隊のメンバーの一人がレオードの前に立った。
「誰?まあいいや、早いか遅いだけの話だわ。ライト、忘却」
なんと、レオン隊のメンバーが隊長であるレオードをレリカの攻撃から身を挺して庇ったのだ。
「隊長‼︎逃げてく・・・だ・・さ・・・い」
レオードを庇ったレオン隊のメンバーは記憶を失い、その場に倒れた。
「お、おい!何やってんだお前!俺のためにお前が犠牲になってどうする⁉︎」
レオードがレリカの攻撃によって倒れた仲間を心配していると、次々と酔い潰れていた仲間達が起き上がり、レオードとレグルをレリカから守るように二人の前に立った。
「隊長、副隊長、ここは我らに任せてお逃げください!」
「何言ってやがる!隊長の俺がお前らより先に逃げるなどありえん!お前らが逃げる時間は俺達が稼ぐ。お前らこそ早く逃げろ!」
「そうだぞ!ここは俺たちが!」
レオードとレグルは自分達の前に立ってレリカから守ろうとしている仲間たちに向けてそれは違うと伝え、隊長自ら時間を稼ぐと言った。が、しかし、仲間たちは見てしまっていた。
「お言葉ですが隊長、先程の戦闘を見た限り、お二人でこの女相手に稼げる時間ではここから逃げるには少ないかと・・・」
「あれだけで判断したのか!隊長と俺ならあいつを倒すことだって可能だ!早とちりすんな!!」
レグルが自分達がレリカより弱いと思われたのが気に入らなかったのか、仲間達に向けて怒鳴った。
「なに勝手に逃げようとしてるの〜?全員逃すわけないでしょ。それに、そこのお二人さん?あなた達の仲間達が言ってることは全部あってるよ?自分たちが弱いの認めなよ〜」
「くっ、うるせぇ!てめぇこそ、この場にいる全員を一人残らず下僕にできんのかよ!さっきの攻撃を見た限り、攻撃の対象は一人だった!この人数なら一人くらいここから逃げ出すのは可能だぞ!」
レグルがレリカの弱点を突いたと思ったらしく、ドヤ顔をレリカに向けている。
「ライト、そこにいるお前の記憶に私の攻撃がこの場にいる全員を対象にできる事を追加する」
レリカは自分の前に立ちはだかり、レオードとレグルを守るように立っているレオン隊の一人の記憶を書き換え、攻撃が全員に当たるようにした。これでレリカに弱点は無くなった。
「これで私の攻撃対象はこの場にいる全員に当てることができるようになりました。残念でしたね〜、副隊長さん!」
レリカがレグルを挑発した。
「は、ハッタリだ!そんなわけがねぇ!たった今、ただ口に出しただけの事が、実際にできるようになるわけがねぇ!」
レグルはレリカの言ったことを全く信じてない様子だ。いや、レグルはこの女にが本当にそんな事ができる奴だとしたら、ここにいるレオン隊に全く勝ち目が無いってことをわかっている。しかし、レグルはただ認めたくないのだ。砂漠の十二星座ともあろうものが、突然現れた一人の女に全滅させられるということを。
「ハッタリだと思うの?信じたくないだけじゃなくて?それとも私が実際に攻撃して証明してあげようか?あ、でもどうせ記憶消すんだし、証明しても意味ないか」
「くっ、くそっ!全員隊長を逃すことだけを考えろ!全員出口まで隊長を守れ!行くぞ!!」
レグルがレオン隊に命令した。どうやら自分の中でしっかりと考えどれが最善の選択かを決めて、何が何でもここから隊長だけでも逃がし、全滅だけは防ごうということにしたらしい。
「「「「オォォォォォォ!!!」」」」
「走れ!」
レオン隊がレオードを真ん中にして出口へと走り出した。隊長のレオードは仲間の意思を尊重したのか、それともレリカに勝てないことを悟ったのか、もうなにも言わずに仲間たちに守られながら出口を目指した。しかし、そんな行動もレリカには意味がなかった。
「だから〜、無駄だって。もういっか、言っても意味ないし。ライト、忘却」
レオン隊は隊長、副隊長を含め、全員その場に倒れた。この場にいたレオン隊はたった一人の女によって一瞬にして全滅したのだ。
こんにちは!作者のユウキ ユキです!最近の私は今年の9月ごろに発売するゲームが今から楽しみすぎて、夜以外眠れません。待ち遠しいです。あ、ネットで予約ができたので予約はしたんですけど、本当に予約できたかどうか心配で予約した画面を何度も見てしまいます。何回も“予約済みです”の表示は見ているのに・・・。まあ!それだけ楽しみだってことです!だって、予約しておけば日にちが発売日に変わった瞬間にゲームができるんですから!ではまだ次回〜




