国の記念日は警備が手薄
レリカが魔力を操って作った復讐者のみを感知してレリカに知らせるトラップを仕掛け終わり、その場を離れようとした時、その場所に四人目の復讐者が現れたのだ。
「・・・こ、ここは⁈いったい俺はどこに転移したんだ?あ、これはこれは、えっと、どうもこんにちは」
「あ、こんにちは〜」
俺はたまたま転移した場所にいた金髪で黒いフードを被った少女に挨拶をした。転移してきたのを見られたが、俺の能力で見たことを無かったことにしようか。
「えっと、ライト・・・」
「あの!」
現れた復讐者はペンを取り出し、レリカに向けて構えて唱えようとしたが、レリカが喋りかけたので途中でやめてしまった。
「えっ⁉︎あ、はい!どうかしましたか?」
「あなたは復讐者よね?」
「な、なんでそのことを⁉︎」
「なら、あなたの復讐はここで終わり」
「・・・なにを言っているんだ?」
「なぜなら、あなたは今から私の下僕になるから」
「下僕⁇なぜ俺がお前の下僕なんかになるんだ?なるわけがないだろう。断る!」
「断る?なにを意味のわからないことを・・・あなたに拒否権なんてないよ〜?」
そう言ってレリカはペンを構え、唱えた。
「ライト・・・はい、これであなたは私の忠実なる下僕になりました!」
デヒトの能力を使い、現れた復讐者の記憶を書き換えて自分の下僕にした。これでレリカの下僕は二人目だ。
「レリカ様、これからよろしくお願いします」
「うん、よろしくね!ところであなたの名前と能力はなにかしら?」
「は、はい!申し遅れました!俺はセファといいます。機会提供者からもらった能力は事象を搔き消す能力です」
「そう、セファっていうのね。能力は事象を搔き消す能力か・・・それはどういう能力なの?」
「えっと、俺の目で確認したもの限定で起きた事を無かった事にできる能力と言われました」
「つまりは、自分の目の前で起きた事を無かった事にできる能力ってこと?」
「そうですね、その通りです」
「そう、わかったわ。じゃあ、その能力、写させてもらうわ」
「えっ?写す?なにをですか?」
「まあまあ!そこでじっとしてて!ライト、能力を書き写す」
ペンを構え、セファの能力を書き写した。
「な、何をしたんですか?」
「そのうちわかるわ!さあ、拠点に帰りましょ!」
「そうですね、レリカ様」
「えっ⁉︎あ、あなたも、レリカ様の下僕なんですか?」
「そうだ。お前はセファといったな」
「はい!そうです」
「俺はデヒトだ。よろしくな」
「は、はい!デヒトさん、よろしくお願いします!」
「別に俺の名前に敬称はいらない、同じ下僕なんだ。お互い呼び捨てでいいだろ」
「そ、そうですか。わかりました!よろしくデヒト」
「ああ、よろしくセファ。さあ、帰ろう俺達の拠点に」
「はい!」
こうして四人目の復讐者セファはレリカの下僕となり、レリカの復讐計画が少し進んだ。
その頃・・・
「・・・商店街が急にでかくなった‼︎どうなってんだ!」
レリカ達を探していたノアンは商店街の入り口にある掲示板に貼ってある商店街の地図を眺めていた。
「なんか、この辺さっきまで無かったのに!急に出てきたぞ‼︎」
これはレリカの仕業である。能力を使い、商店街を拡大させたのだ。しかし、ノアンに記憶を書き換える能力は効かない。なので、この商店街が急でかくなった事に気がつき、ただ一人この商店街の拡大を不思議に思っているのだ。
「なぜ急にでかくなった⁉︎ねぇ!そこの君!この商店街は大きさが自由自在なの?」
「は⁇何を言ってるんです?頭大丈夫ですか?」
「えーー⁉︎やっぱ、僕がおかしいのか⁈」
それもそのはず、街にいる人たちはノアン以外この事を、不思議だなんて1ミリも思っていない。
「いーや!おかしいのは僕じゃない!さっきまでの商店街とは明らかに大きさが違う!僕は見た!うん、自分を信じよう!」
ノアンは自分の目で見た元々の商店街の形が本当の商店街だと信じて、周りを見た。
「じゃあ、なんでみんな不思議に思ってないんだ?誰も商店街の拡大に気づいてない・・・」
ノアンは自分が正しいと仮定して、周りの人達がおかしい件について少し考えてみる事にした。
「考えられる理由は三つ!一つ、僕を敵視するものによる僕個人を狙った攻撃。二つ、唯一僕だけが除外される復讐者の能力の発動。三つ、本当はこの商店街が本物で僕だけがおかしい。この三つかな!もっとゆっくり考えれば、もっと浮かぶかもしれないけど、とりあえずはこんなもんだな!」
ノアンは商店街の入り口付近で頭を抱えて考え込んでいる。時折“うー”や“う〜ん”、“えー⁇”などの考えてる人がよく発する声を出している。相当、考えているのだろう。
「ここで考えててもわからん!現場だ!現場!拡大した部分に行ってみよう!」
ノアンは商店街の奥へと進んでいった。
「もし、一つ目だとしたら、いつどこから攻撃されるかもわからないのに僕は敵地に足を踏み入れているんだ。常に警戒を怠らないようにしなければ‼︎」
周りをキョロキョロしながら慎重に進んでいる。しかし、側から見るとごく普通の商店街を周りの様子をうかがいながら、ゆっくりと歩いているように見え、とても怪しい人物に思えてしまう。ノアンも警戒しているが、商店街を歩く人もノアンの行動を警戒している。スナハ王国の商店街が一人の男によって、変に緊張感のある雰囲気につつまれた。ところがそんな事に気付かないその男はその行動を継続していた。
「商店街の半分くらいまで来たが、攻撃はされてないな・・・」
商店街の半分までゆっくりと歩きながら周りをキョロキョロしながら進んでいたらもう、不審者だ。しかし、今日は偶然にもスナハ王国の建国記念日で、国の平和を守る“王国騎士団”や“自警団”は少人数での警備活動をしており、王都の中には数人しかいない。そのため、今は商店街をパトロールはしていないので、ノアンの怪しい行動は国を守る正義の味方の耳には届かないのだ。王国騎士団や自警団の他にも国の平和を守る正義の味方はいる。それは、“砂漠の十二星座”と呼ばれるこのスナハ王国周辺の砂漠に十二個存在する集団だ。その集団にはそれぞれ名前がある。牡羊座を司る“アリエス隊”、牡牛座を司る“タウラス隊”、双子座を司る“ツインズ”、蟹座を司る“焔赤兜”、獅子座を司る“レオン隊”、乙女座を司る“スピルカ隊”、天秤座を司る“バランス隊”、蠍座を司る“スコピル隊”、射手座を司る“サリアス隊”、山羊座を司る“プリコン隊”、水瓶座を司る“アクエリアス団”、魚座を司る“ビスケス”だ。これらの集団にはそれぞれのリーダーがいて、そのリーダーの方針で活動している。しかし、十二個の集団があっても今日はスナハ王国の建国記念日だ。砂漠の十二星座は今頃それぞれのアジトでどんちゃん騒ぎで国の警備どころではないらしい・・・。そんなこんなでノアンは商店街の拡大した部分にやってきた。
「着いたぞここだな!しかし、なかなか攻撃してこないな。一つ目の考えは違うのかなー?だとすると二つ目か?」
ノアンは自分の考えを整理しながら慎重に拡大した商店街を歩き始めた。
「僕が正しければさっきまでここは、こんな綺麗に舗装された道や雨風をしのげる屋根など無かったはずだ。ここは下町へと続く砂漠だったんだ、なのに・・・はっ⁉︎まさか!あいつらがやったとか⁈あの二人は僕と同じ復讐者、デヒトの能力は知っているけど、もう一人の女の子の能力は知らない‼︎・・・もしかしたらそうかもしれない!やっぱり、あいつらを見つけ出してからこの事は考えよう!よし!そうと決まれば探すぞー!」
こうして、ノアンの不審な行動は終わりを迎えた。そして、二人の捜索を再開したが、この先のお店の中で奇妙な光景を見てしまうことをノアンはまだ知らない・・・。
こんにちは!作者のユウキ ユキです。最近世の中には不審者なる物が結構いるみたいですね・・・。登下校やバイト・仕事の帰り道、特に一人で帰る人(男性も!)は気をつけてお家に帰ってくださいね。何か変な人に話しかけられたり、ついてきたりしたら、とにかく!逃げてください!走って‼︎交番でもスーパーでもコンビニでも!とりあえず人が多くて明るい場所へ!あ、でもノアンのような変な人を見た時は110番通報してください。スナハ王国ではない限り、警察などは国の記念日とかでもしっかり、人々の平和を守っているはずですから!!それでは、また次回〜




