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未来坂便り  作者: 藤田和之
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普段と変わらぬ退屈な日々

窓もカーテンも閉め切られ、全体的に暗い部屋の中にエアコンのモーター音が響いている。微かにある灯りの元は部屋の隅にある机のデスクライトだ。そしてそのすぐ側には本が大量に積み上げられていた。それらは『魔剣に選ばれし異世界勇者』というラノベのシリーズだった。タイトルの通りだが中二臭くなんともイタイ。

よくよく見ると積み上げられている本の奥には少年が腕を枕にして机に突っ伏して寝ていた。髪はボサボサで、着ている服は制服で皺が目立つ。小さな寝息を規則正しく立てその都度背中を小さく上下させている。

不意に少年の体がびくっと大きく震える。震えたせいで山積みのラノベが肘と当たり崩れ、床に落ちる。

「っ!」

ラノベが床に落ちた音で少年は目を覚ます。何故か息が荒くなっていた。なぜかというと、

「またかよ。………もう勘弁してくれよ。」

この少年、浅羽陽は時々、というかほぼ毎日悪夢を見る。ヤクザに追われるとか急に奈落に落ちたりするのは甘い方だ。どれくらい甘いかというとアメリカ製の甘過ぎるチョコレートを溶かして砂糖を加え飲むぐらい甘い。

今まで見た中で中々えげつないものだと、殺人鬼に狙われたり、男にストーカーされ挙げ句の果てには犯されかけたり。だがどの夢も毎回終盤で終わるので、夢の中でも何とか貞操は守れた。

閑話休題

陽は机に置いてある電子時計を確認する。時刻は23時45分。中二臭いラノベを読んでるうちに寝てしまったようだ。

(確か読み始めたのが、学校が終わって家に帰ってからすぐ。だいたい4時半か。寝たのが‥…えーと…駄目だ。思い出せねー)

自分がどれほど寝てたのか考えていると、ふと思う。

(あれ?そういや今のどんなんだったっけ?)

時間に気を取られ夢の内容を気にしていなかった。とりあえず思い出してみようとするも全く思い出せない。今までにないタイプだったような気がするが、ついさっきまで見てた夢を忘れるというのはよくある。

(まぁ、いいか。)

そう思い陽は深夜だということも気にせず、気まぐれに家を出た。




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