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最弱じゃない

作者: 水井時零

七月三日 晴れ


今日は集会に出席しなければならないので、朝にこの日記を書くことにした。

そう言えば私も来週で二百歳かと思うと感慨深く様々な出来事が浮かんでくる。

母親と父親が殺されたのが、八十二歳の事であったが

そう言えば未だにあの犯人は倒していない。何処かで餓死でもしたのだろうか。いや、そうだったらつまらない。それだけは無しにしてもらいたい。

それからあれを拾ってから大体七十年ぐらいか。

何とも懐かしい話だ。始まりは水を掬った所からだった。世にもスライムと言う存在は私も知っていたのだが、それは親指程しか大きさが無く、怯えてひたすら水の振りをしていた。

私はそれを水筒に入れ、持ち帰った。今、思うに私も寂しかったんだと思う。母も父も居ないし、毎日逃げ惑う様な日々だったからな。

水筒から出してやって、しばらくタンスの上に放置しているとおかしな事が分かった。それは何も食べて無い筈なのに日々、少しづつだが成長してる事だ。

それはゆっくりだったが、十年程経つと手で持てるギリギリの大きさになり、四十年経ったらなんと部屋に入り切らなくなった。

そうして、五十三年ぐらい経ってやっと分かったのだ

コイツが食べてるのは 嫉妬 だと。

それに気づいたのは昔の友達からの手紙だった。手紙の内容はある赤ん坊を拾ったら、随分といい男になった。との内容であった。腹が立ったのは写真も入っていて、それは余りにもいい男だったから。

しかも、タイプそのもので凄く羨ましかった。

それに比べて私はでっかいだけの スライム…….….

呆れたその時、スライムは口をパクパクとさせた

すると、私の中から何かがすっと抜けてく気分だった

そう、食べていたのは嫉妬だったんだ。これでやっと気づいた。

六十年経ったぐらいに言葉を教えてやったら悪口しか覚えようとしないので、魔法で痛い目に遭わせてやろうと思ったら、全く魔法が通じなかった。スライムの癖にあの最弱の象徴の筈のスライムの癖に魔法が通じないのだ。これは困る………程でも無かったので気にしなでいる。

それからはまぁ色々あった。一匹のカラスをいじめてたらカラスの群れに逆襲され、私まで被害にあったり

夏はプール代わりにして、山の生物と泳いだり

いつの間にか形態が自由に変化出来る様になっていたり、魔女狩りが来た時は嫉妬を食べちゃって怒りだけになって大喧嘩になったり………

そんなこんなでもう七十年ぐらい経ったわけだ。

今では言葉もスラスラ喋れるし、魔女狩りは生態に興味を持って転職してしまったしな。

私はこのスライムの名を ノンナ と呼んでる。名前に特に意味は無い。

さて、長々と書いてしまったが日記はこれぐらいにして魔女集会の準備をするか。

七月三日の日記 終わり


「あ、ママ!遊んで遊んでー!」

「ノンナ………今日は集会に行かなければならないから遊べないんだよ」

「ええ〜ママみたいなへっぽこ魔女さんが集会に呼ばれるの〜?」

「余計な事言うな!硫酸ぶっかけられたいの?今日の集会は若い魔女の集まりなの!」

「硫酸はやめて〜!マジで痛いから!で、どこまで?」

「ここから山を二つ越えて、街を四つ通ったとこ。

だから街では形態変化して私と一緒になっちゃって」

「遠いね〜ま、いっか。そう言えば街にうまいモンはある?」

「そりゃ街にはいっぱいあるよ。街だからね。極上だぞ〜」

「極上………よし!頑張ろっと!落ちないでね!」

「今更背中に乗ったぐらいで落ちないわよ!ほら、

GO!」

「ごーーー!」


──困った事にこのスライムは私をママだと思っている。だけども私はこのスライムに恋をしている。

多分だけど………

もしかして、世界で唯一最弱生物にしれない。

って最弱なのは私のココロなのかもね。




おわり


頑張った…

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― 新着の感想 ―
[良い点] 悪口だけかと思いきやと言う展開が面白かったです。 オリジナルファンタジー要素多めな所。 [気になる点] スライム萌え要素があっても良いと思いました(要らないですが(笑)) ぷるぷる言っ…
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