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第21章 光と闇の狭間で

 タイマンに勝利したイーリスは、直ちに先に落ちて行った闇夜族を追って行った。

 サ「い、イーリスさん。確か戦いの時は敵味方に慈悲は不要って言ってませんでした?」

 イ「それは戦いの最中の話だ。もうタイマンは終わった。それにな。…彼もよく戦った。健闘をたたえてやらないとな。」

 ヒ「…いやあ。いいやっちゃなあ。」

 サリエルはふと思い出したように、

 サ「あ!!そういえばヒュペリオさん!!ここまでどうやってきたんですか!?」

 ヒ「あ。言うとらんかったか。ほれ。」

 ヒュペリオは背中を見せた。バッチリジェットエンジン装備されていた。

 サ「う、うわあ。ほんとに抜かりないですね。」

 ヒ「職場柄、空飛ぶこともしばしばやからな。標準装備や。」

 嘘か本当か分からない。

 そうこうしている間に、下の方に闇夜族が見えてきた。そこまで飛ぶと、マルースはサリエルを振り切り最大出力で飛ばした。そして、月光龍と闇夜族を受け止めた。

 闇「…なぜ…俺を…助けた…?」

 イ「もう決闘は終わったんだ。別にその後は助けようが見捨てようが勝手だったんだろうけど。俺は助けたかった。それだけだ。」

 闇「…ふん。変な奴め。」

 イ「変で結構。それに助けたのはドラゴンの方だ。早く治癒の泉に運ばないと。傷を癒すんだ。」

 ヒ「あんさん。まだ飛べるか?」

 月光龍は静かに頷いた。

 ヒ「よおーし!イーリスはん。こいつらのことはわいに任しとき。あんさんはさっさと持ち場に戻らんか。」

 イ「ヒュペリオさん。ありがとうございます。」

 イーリスは月光龍を離した。ヒュペリオに導かれ、ゆっくりと降下していく。

 イ「よし、合流だ。本隊に戻るぞ。」

 サリエルの先導のもと、イーリスは本隊に戻った。

 ヴ「おお、お前。大丈夫だったか。上空に上がっていくお前を見て、心配になったんだ。」

 真っ先に寄ってきたのは、ヴェスティーア部隊長だった。

 イ「はい。タイマンを挑まれたのです。でも、何とか勝つことができました。」

 ヴ「ああ、そうか。まあ、無事ならそれでいいんだ。」

 イ「こちらの現状は?」

 ヴ「今の所一進一退だな。何とも言えん。」

 ヴェスティーアは難しい顔をした。

 日「援軍が来たー!」

 こちら側の方から声がした。見ると、下の方から月光龍の部隊が来る。

「先陣部隊ただいま復帰!」

 それは、攻め落とされていたはずの先陣部隊だった。その大将の使い龍の姿を見ると。

 イ「あ、アスラ!?」

 間違いない。以前保護していたアスラだ。その姿を見間違うはずはない。その裏付けに、首筋にジュノースと同じ三日月模様があった。

 それにしても、なぜ彼らが復帰できたのか。それはこういう訳だった。

 イーリスが闇夜の国に軟禁されていた頃。太陽龍軍将軍プルトゥが宣戦布告を発したその直後、先陣部隊が出撃した。そして、その数十分後。太陽龍軍に撃沈されてしまった。アスラ含む先陣部隊は落下して行った。アスラの落下先で、奇しくもあのクラムポンの洞窟への帰路を塞いでいたのだ。※クラムポンはイーリスらが入った洞窟を主な住処としているが、たまに外の木の実を取りに、外に出ることがある。何でも、木を叩くことで食べられる、美味しい木の実が分かるのだとか。

 アスラを巨大な岩と認識したクラムポンはそれを退かそうと、一斉に持ち上げてアスラを運んだ。しばらく歩き、近くの池に放り投げた。その池とは、

 治癒の泉だった。クラムポンは、ヒュペリオが言ったと思うが、巨大な岩を水の中に投げ込む習性がある。クラムポンの生態と、偶然の連続によりアスラは助かったのだ。アスラを使っていた闇夜族は、その水を使って回復薬を作って仲間に与えたのだとか。


 イ「生きてたのか…。」

 感慨に浸る間も無く、イーリスはすぐさま戦闘を再開した。

 一方その頃、地表近く。ヒュペリオは治癒の泉に向かって行った。

 ヒ「もう少しやからな。頑張りや。」

 しかし、その道を通りながらもヒュペリオはある違和感を感じていた。

 ヒ「何や、この感覚…。」

 なにやら、地底深くを揺るがす感覚だったが、それか何かは分からない。

 2人を泉まで送った後、ヒュペリオは様子を見にきた。その直後!

 ズガガガガガガガガ!!

 ものすごい揺れが起こった。

 ヒ「まさか、これって!?」

 その数秒後、

 ドバッシャ―――ン!水飛沫が高く上がった。

「ギャアアアアア――ン!!」

 水龍、リヴァイア誕生だ。


 一方、上空。

 ドバッシャ―――ン!

 地上から、水飛沫が上がった。

 ヴ「何だ、あれは!?」

 イ「まさか、リヴァイア!?」

 リ「ギャアアアアア――ン!!」

 リヴァイアの雄叫びにみんな怯んだが、気にせず戦闘を続行しようとするも、リヴァイアの攻撃にそれどころではなくなってしまった。周りにいたドラゴンも攻撃に入るが、そのありえないほどの巨体に皆すぐ吹き飛ばされてしまった。

 イ「…!」

 ヒュペリオもすぐさま飛んできた。

 ヒ「おい!あれはやはり異常な大きさや!おそらく、ここの地盤はものすごく硬いんや。それのせいで卵がなかなか還らず、中に詰まっていた水が許容範囲をはるかに超え、あの硬い地盤を吹っ飛ばしたんや!だから、今まで見たことのないほどに成熟しとったんや!ほっといたらまずい!早く対処せんか!」

 イ「分かった。部隊長!」

 ヴ「…やむを得まい。」

 ヴェスティーア率いる偵察兵一同、一斉にリヴァイア征伐に出た。それを見ると、月光龍軍の下っ端兵もまた出撃に出た。しかし、その中でも両軍の上層部はなかなか動かない。痺れを切らしたヒュペリオは、

 ヒ「お前ら!何のための軍隊や!お互いの国を守るためやなかったんか!今あいつをほっとくと、結界を破壊してお前らのどっちの国も滅ぶで!あんたらのいがみ合いなんてリヴァイアには関係ない!…ほんまに国を守りたい奴は、わいらについて来い。いいな!」

 ヒュペリオは一通り叫ぶと、あとを追った。残されたものは、

「何だ、あいつ。記者のくせして出しゃばりやがって。我々の苦労も知らずに。」

「いや、あいつの言うことは的を射ている。俺ら、何で軍に入ったんだっけ。」

「そう言えば、真面目に考えたことなかったな。いつから権力に縛られるようになったんだろ。」

「確かに、月光龍軍に入った時は国を守ることに精出してたけど、今や光日族の討伐が目的になってたな。」

 その会話を聞いていた完全対抗派のカリラは焦った。

 カ「お、おいお前ら…。」

 そして、一同はこういう結論に至った。

「今の共に戦うべき相手は相手国ではなく、平和を乱すリヴァイアである。」

 と言う訳で、カリラとプルトゥ将軍を除く全員、イーリスらの後をついて行ってしまった。

 カ「な、何故だ…。」

 プ「私たちよりもはるかに、何を優先すべきかが分かっていた。それだけのことですよ。さて、あなたは何を守るんですか?自分の地位ですか?それとも、国の平和ですか?それはあなたが選んでください。私は後者です。」

 プルトゥはジュピテルと共に後を追った。

 カ「か、下級戦士が戦っているのに…!お、俺は…!!」

 結局、考えた挙句カリラもジュノースと共に行くことにした。

登場人物?

リヴァイア

水棲龍の一種。前にも一度登場した。

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