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第19章 最終決戦の幕開け

 本陣の方では。

「ん?あそこから誰か来る。誰だ?」

 それが近づくと、仲間のドラゴンだと分かった。

「お、お前は!」

 そのドラゴンに乗っていた者の顔を見ると、いきなり叫んだ。

「イーリスかよ!?」

 一同「!?」

 イ「お騒がせしました。ただいま偵察兵イーリス、戻りました。」

 そう述べると、ヴェスティーア部隊長が飛んできて、

 ヴ「何やってたんだ!本当にお騒がせだな!…まあいい。無事なだけ良かった。なら、このことはすでに聞いているな。」

 イ「はい。あらかたサリエルから。」

 ヴ「なら、わざわざこちらから説明することはない。このまま月光龍軍の本陣に向かって突っ込むぞ。覚悟はいいな。」

 イ「承知しております。」

 そう言うと、ヴェスティーア部隊長は戻っていった。そして、

 ヴ「さあ、お前ら!行くぞ!」

 一同「おお――!」

 士気を高め、先を進む。

 サ「では、向かいましょう。」

 イ「ああ。」

 ヒ「最高にハイってやつや!」

「あの、彼は…?」

 ま、当然の反応だろう。

 イ「無視して良し。」

 イーリスらも、軍に合流した。その後はひたすら敵陣に向かって飛び続けた。そのうち、

「見えたぞ、月光龍軍だ!」

 正面から、黒い影がたくさん見える。

 ヴ「いいか、お前たち。こういう実戦はほぼ経験ないだろうから言っておくが、敵味方共に慈悲は無用だ。くれぐれも助けに向かったりはするな。今目の前にいる敵のみに集中しろ。」

 偵察兵は実際の戦場では、斬り込み隊とほぼ同等の戦いをする。稀に飛兵に駆り出されるなど例外もある。(軍隊の具体的役割は第2章参照。)

 そして、両軍接近して、将軍が例の宣言をする。

『いざ行かん、我らと共にあり。』

 その直後、部隊員全員で、

『神の加護あらんことを。』

 そう宣言した後、

「掛かれーー!」

 そう叫んだ後、一斉に兵が飛び出した。

「うおおおおーー!」

 どちらも負けじと、猛威を振るい戦う。攻撃を受けた者は、真っ逆さまに落ちていく。

 ヴ「いいか。ああなっても、助けに行く余裕はないと思え。そして、復帰できるなら素早く復帰するのだ。」

「はい!」

 飛兵がかなり散り散りになってきた。それをめどに、

「戦闘第二部隊投入!!」

 軍師からそう告げられた。これは切り込み、大型兵投入の合図だ。

 ヴ「さあ、お前ら!全力を尽くせ!」

 ヴェスティーアを先頭に、偵察兵も出撃開始。切り込み部隊の後をついていく。襲ってくる敵を払い避けながら、先を急ぐ。

 目の前には大量のドラゴンがひしめき合っている。

 ヒ「ウホッ!ようけおるなあ!」

 イ「ヒュペリオさん!敵陣に入るんですよ!少しは緊迫感持って下さい!」

 ヒ「わ…分かった。(汗)」

 イーリスは一瞬でヒュペリオを諌めた。

 ヴ「敵陣ど真ん中に入るぞ!気を引き締めろ!」

 その後は各自、思い思いの方向に飛んでいった。

「来たぞー!」

 イーリスに向かって、数人の闇夜族が攻めてきた。

 イ「行くぞ!マルース!」

 マ「ガオ!」

 バシュッ!光弾を放ち、闇夜族を散らした。

「ふぉお!?」

 正面の敵は散ったが、後ろからも敵が来ていた。それに反応が遅れてしまった。すると、

「ハイヤー!」ズドーン!

 大型のドラゴンが突っ込んできた。そして、ドラゴンの重パンチが月光龍の顎に炸裂。月光龍は落下。

「実戦が少なかったから腕が鈍ったか?イーリスよ!」

 イ「が、ガリアさん!?」

 それは、以前出会った大型部隊員のガリアだった。

 ガ「よお!久しぶりだな!元気してたか?」

 使い龍であるディメテルも相変わらずだ。

 デ「ディウウ!!」

 ディメテルは巨大な翼をダイナミックに羽ばたかせている。

 ガ「ここでは遠慮は無用だ!目の前に来た敵は全部打ち払う心積もりでいろ!分かったな!」

 イ「分かりました!」

 そう言うと、ガリアを乗せたディメテルは猛スピードで飛んでいった。

 イ「よし!行くぞ!」

「小僧。俺と戦え。」

 何者かが話しかけてきた。それは闇夜族だ。彼はチリチリの髪にスカーフを纏った、厳つい男風味だ。

 イ「これでも20近いんだけどな…。」

 それでも、戦いを挑まれたことに変わりない。イーリスは受けて立つことにした。

 両国の戦いには指定タイマン制度が存在していて、このようにタイマンを挑まれた時のやり方も存在する。まずはお互いの攻撃以外の干渉を防ぐために、上空高く飛ぶ。そして、挑んだ方が戦闘の方法を宣言する。

「貴様のドラゴンと勝負だ。」

 それはドラゴン同士の戦いで、龍契士ドラゴ二ストはドラゴンを操る以外の手出しはしない。なので、どの指示を出すかなど人間側の戦略が問われる決闘方法だ。その他、人間同士の武器の打ち合いの決闘方法がある。

 サ「無茶はしないで下さいね。」

 囮兵はこの時何もすることはできないので、大人しくタイマンが終わるまで待つことになる。

「そこの小娘。貴様が決闘の采配しろ。」

 男はサリエルを指差し、そう言った。

 サ「…分かりました。」

 ドラゴンタイマンにおける勝敗の見分けは、第三者が判定する。方法は、決闘開始地点(あらかじめその高さにフロートボールを浮かべておく。置くとその位置で浮遊し続けるので、高さ判定に使われる)から50m以上落下する(だから急上昇の攻撃はこの範囲内で行う必要がある)か、5回攻撃を食らうと負け。なお、開始地点から上空に至っては、制約条件はない。

 サ「行きますよ。」

 サリエルは青いフロートボールをイーリスの真後ろに設置した。その直後、下に降りて行き約50m直下にも赤いフロートボールを置いた。

 サ「ここを超えないように気をつけて下さい。」

 イ「ありがとう。」

「じゃ、準備ができたら始める。」

 開始のタイミングは挑まれた方が決められる。だから心を落ち着けてから決闘を始められる。

 イーリスは深く深呼吸を繰り返した。そして、また息を吸うと、叫んだ。

 イ「いいですよ。かかってきて下さい!」

 サリエルは旗を掲げると、こう宣言した。

 サ「決闘、開始!」

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