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テンプレですって(定)


 それは、とある平日の早朝の出来事。


「ふぁーぁ。今、何時だろう?」


 まだ寝ていたいとばかりにずり落ちてくるまぶたを指でこすり、頭上においてある目覚まし時計を手に取る。


「ん? ……うぅっわぁ! やっばい、もうこんな時間か!?」


 時計の刺す針の位置を見て一気に目が覚め、腰までずり落ちていた布団を吹っ飛ばして飛び起きる。

 急いでしわくちゃの制服に着替え、頭に大きな寝癖をつけたまま軽いカバンを持って部屋から飛び出る。


「んぁ? なんだ晴人、まだいたのか。もう遅刻確定だし、朝飯食ってくか?」


 彩奈が作っておいてくれたのであろうお弁当を取ろうと台所に向かうと、授業が二限からなのかもしくはそもそも行く気がないのか呑気にコーヒーをすすっている兄さんがいた。


「いや、いらない。今日は一時間目からハゲ平の授業だから、もし遅刻でもしようものなら問答無用で廊下に立たされちゃうだろうし」


「ほーん。んじゃ、これでも咥えて走っていけばまだギリギリ間に合うんじゃねぇの」


 他人事のように顔色を変えず、ボクの口に焼きたてでバターがべっとりのトーストをつっこみ、欠伸をしながら自室に戻って行く。


「ふごっ、んぐ。ありがとう兄さん。じゃあ行って来るよ」


「うぃー、いってらーい」


 何とも気力のない声に見送られながら玄関のドアを開き、靴のかかとを踏んだままバス停へと猛ダッシュする。




 自宅からバス停までは五分とかからず着くのだが、今は悠長に歩いて行く暇もない。腕につけた時計をチラチラと見ながら一縷の望みにかけ、精一杯足を前へ前へと動かす。


 そして、もう直ぐバス停に着くというところで、信号が青から赤に変わってしまう。

 押しボタン式のボタンを連打するが、そんなことで信号が青になる速さも変化することなく、あえなくバスは横を通り過ぎていき、バス停に着いて乗車客を乗せて走り去ってしまう。


「あっ、行っちゃった……」


 学校は丘の上にあるので見えてはいるのだが、そこへ向かうまでの道のりはくねくねとねじれた道ひとつだけしかない。

 その道を通って行くにしても、少し走っただけで息を切らしているボクの体力では、到底時間が間に合わない。

 膝に手をついて息を整え、無い頭で知恵を振り絞って考えを巡らす。


「……いや、まだ方法は残っている!」


 ボクはこの状況にへこたれることなく、草木が生い茂った竹やぶの方へ振り返り、覚悟を決めて突っ込んで行く。

 道無き道を乗り越え、服や靴をドロドロにしながら学校へと突き進んで行く。そして学校まであと少し、時間もギリギリセーフといったところで、やっとひらけた道に出た。


「ふぅ。なんとか、ギリギリ間に合いそうだな」


 そんな立派なフラグを立てたところで、T字路を左に曲がろうと走って行くと、『グガァッシーン』とえげつのない音を近隣に響かせながら何かとぶつかる。

 それは金属で完全武装した超絶美少女とぶつかっちゃった、なんていうトリッキーなものではなく、単に軽トラがボクを勢いよく跳ねた音だった。


 見える景色が全て真っ赤に染まり、だんだんと意識も遠のいていく。

 そして、髪の無い頭を抱えて青ざめた表情を見せる運転手のおじさんを尻目に、ボクはそっと瞼を閉じた。


 身体から意識を飛ばす最中、ボクの中の大事な何かがするりと抜け落ちるような感覚が襲ってきたのであった。


長くなったので分けました。

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