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ボクの完璧美少女な弟子は変態すぎて手に負えません(笑)  作者: 花水木
5章 いつまでもこの楽しい日々を
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誕生日にはサプライズがいいですよ(祝)


 平日の朝。家から一歩外へ出ると、空っ風が身に応え、思わず身震いをしてしまう。

 ボクは、制服の上に羽織ったコートのポケットに手を突っ込み、顔をマフラーに埋めて、トボトボと学校への道のりを歩き出す。


 すると、一台の黒く光り輝いた車両の長い車がボクの横で止まり、窓が少しずつ下がっていく。


「やぁやぁ。なんだか久しぶりやね。少年」


「はぁ、そうですね」


 そこからは、本当に久しぶりの登場の瑞希さんの友人、神咲 和乃さんがニタニタと含んだ笑みを浮かべながらボクを見据えていた。

 神咲さんがこんな表情の時は、これまであまりいいことがなかったので、ボクは顔を少し強張らせる。


「まぁ、そんなにうちを煙たがらんと、今日は君に耳寄りな情報を提供してあげようって思ってるんやから」


「? どんな話ですか?」


「今週末の金曜日はな、瑞希の誕生日やねん。それで内緒でサプライズパーティーをしようと思ってな!」


「おぉ、いいですねそれ!」


 神咲さんはボクの反応がお気に召したのか、首の後ろに腕を回し、顔を近づけてくる。

 すると、ほのかにいい香りが漂ってきて、思わずドギマギしてしまう。


「でな、君にも重要な役割を与えようと思うんやけど」


「な、なんでしょうか?」


「瑞希に気づかれないように、この場所まで連れてきてほしいねん」


「はぁ、わかりました」


 渡された地図には、赤い線で一つの建物のが囲まれており、ここで誕生日パーティーが行われるのだと窺える。


「それじゃあ、よろしくなー」


 神咲さんはそれだけを伝え終えると、執事に合図を出し車を動かす。

 窓を上げている時に、チラリと見えた表情が何か企んでいるような気がしたが、気のせいだろうと思い、ボクは通学路への歩みを進めた。




 その日の昼休み。ボクはお昼ご飯を食べるために屋上に来ていた。


「うーん。プレゼント、どうしようかなぁ……」


 誰もいない屋上で、神咲さんからもらった地図を見ながらうんうん唸りながら考え込んでいると、不意に後ろから声がかかる。


「どうしたの、ハル君? 何か悩み事でもあるの?」


「み、瑞希さん!? い、いえなんでもないですよ。本当になんでもないです」


 お弁当を片手に持った瑞希さんが急に現れ、ボクは慌てて地図を隠し、挙動不審な対応をしてしまう。


「ふーん、そうなんだ」


 ボクがいつも挙動不審なのが功を称したのか、瑞希さんは特に何も言わずにボクの隣に座り込む。

 ……いや、それにしてもボクってこんな挙動不審なのか。将来はもうちょっと堂々とした人間になりたいな。

 などと卑下していると、瑞希さんがボクに話題を持ちかけて来る。


「それでさ、ハル君。私ね、思ったんだけど……」


 と、一旦区切り、真剣味を帯びた面持ちのままボクの方に顔を向け、そっと近づいて来る。

 しっとりとした柔らかそうな唇に目が吸い寄せられ、ボクは思わず視線を背ける。


「な、な、な、なんでしょうか」


「……弟子になったはいいものの、師匠から何も学べていないんじゃないかなーって」


「あ、ああ、そうですよね。いえ、何も期待はしてませんでしたよ、はい」


 屋上で二人きり、女の子が男の子にそっと顔を近づけて来たら、ちょっとは期待してしまうでしょうが。

 と、脳内で言い訳を述べていると、瑞希さんが頬を膨らませながらまた顔を近づけて来る。


「ハル君、私の話聞いてた?」


「……えーっと、なんでしたっけ?」


「だから、ハル君からもっといろんなことを学びたいなってこと」


「そんなことを言われましても、ボクが瑞希さんに教えることなんてないですよ」


「うーん。そうかなぁ」


 顎に手を当て悩む瑞希さんを見て、白米を食そうと手元のお弁当に手を伸ばしたところで、地図が目に入る。


「(そういえば、瑞希さんを自然にこの場所に誘わなきゃいけないんだった)」


「やっぱりそう言うことは実践してみないとなのかな……」


 今朝頼まれたことを思い出し、ボクは小さい声でブツブツと何かをつぶやいている瑞希さんに喋り掛ける。


「あの、瑞希さん。学校が終わった後って時間ありますか?」


「えっ!? う、うん。あるけど……」


 ボクがフランクに誘うと、瑞希さんは何やら羞恥に悶えた様子で頭から湯気を出している。

 ボクは、それを不思議に思うもあまり気に留めず、瑞希さんをサプライズパーティの会場へと誘う。


「ここに来て欲しいんですけど、大丈夫ですかね?」


「……うん、わかった。じゃあ、ちゃんとおめかしして行くね」


 瑞希さんは張り切った様子でいたので、バレてしまったのではないかと危惧したが、その時はその時でいいかと持ち前の適当さで流すボクであった。


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