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ボクの完璧美少女な弟子は変態すぎて手に負えません(笑)  作者: 花水木
4章 親密度急上昇急降下!?
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夜這いする勇気はないんです(夜)


 ボクが声を荒げながら、毎度お馴染み瑞希さんのえっちな勘違いを指摘すると、彩奈が胸を腕で隠しながら叫ぶ。

 まぁ、彩奈の細い腕ではその豊満な胸部は隠せていないのだが。


「なんでハル兄がここにいるのよ!」


「いや、別にのぞいてたわけじゃなくて……」


「それじゃあそこで何してたっていうの?」


「それは、その、瑞希さんと話をするタイミングを伺っていたと言うか、なんと言うか……」


 ボクが苦しい言い分を早口で述べていると、彩奈はジト目を向けてくる。


「そんなこと言って、どうせハル兄の頭の中では、彩奈は瑞希ちゃんと組んず解れつしてたんだ、そうなんだ」


「だからほんとにそんなこと思ってないってば」


「彩奈ちゃん。ハル君もこう言ってることだし、話くらい」


 兄妹喧嘩を見ていられなくなったのか、瑞希さんがボクらの仲裁に入る。

 だが、彩奈の怒りのヒートアップは止まらず、瑞希さんに優しい口調で説明しだす。


「こんなケダモノと話をしたら、可愛い可愛い瑞希ちゃんはすぐに美味しく食べられちゃうんだから!」


「ボクはそんなことしないって」


「ふん、どーだか。瑞希ちゃんは今日は私の部屋で寝るの。じゃあね」


「あ、ちょっとまっ」


 必死の弁明も功を称さず、あえなく部屋の扉を締められ鍵もかけられ、廊下に一人ぽつんとたたずむボク。




 その後は、瑞希さんは部屋から一歩も出てこず、食事も彩奈が配膳し、ボクを明らかに避けていた。

 ボクもそこまでされると、わざわざ会うことも憚られ、そのまま何事もないいつもの日常へ帰還し、日中はだらだらと過ごしていた。


 陽も落ち、すっかり真夜中となった深夜十時過ぎ。

 ボクの部屋の扉に、ガリガリと爪を立てる音が響いた。


「(瑞希さんが事情を話しに来てくれたのかな?)」


 と思い、胸に期待と動揺が蠢く中、そっと扉を引く。

 だが、開けた扉の向こうには誰もおらず、不気味な呻き声が地から聴こえてくる。


「ぐぅおおぉおぉ、晴人ぉ。俺様を見捨てやがったなぁぁあぁあ」


「に、兄さん!?生きていたのか!?」


 床には這い蹲り、血の涙を流す兄さんの姿があった。


「テメェのせいで俺様は三途の川を拝んじまったじゃねぇか!途中で去年死んだじいちゃんに助けてもらわなかったら確実に死んでたぞ!」


「そんなのだいたい、兄さんが勝手に瑞希さんの料理を試食なんかするからだろう?」


 ボクのもっともな意見に、兄さんは余計に腹を立て、ポケットからアルミホイルに包まれた暗黒の物体を取り出す。


「あぁ、けったくそ悪い。まぁ、つまり問題は俺様だけが被害に遭っているってことだ。っていうことで、くらえ晴人!!」


「うぇ、ちょ、やめっ。ふごっ、ふごふ、ふごふごふ」


「ええい、水で強引に流し込んでやる」


「ふごっ、ぐふぅ……かはぁっ……」


 口に含んだ謎の物体を吐き出そうとするが、兄さんがボクの顎を押さえつけ水を注ぎ込み、強引に飲み込ませようとしてくる。




 目の前には、大きな川があった。

 その川を進む人は老人が多く、皆一様にこの川を渡り、向かい岸の眩い光のする方へと歩いていく。


 ボクもその集団の波に乗り、向こう岸へと歩みを進めた。

 すると、


「今度は晴人か……。やれやれ、おまいらはなんちゅうことしよったら兄弟揃ってここへくるのかのぉ」


「じ、じいちゃん。なんで?」


「それ、はよ帰りんさい。まだここへくるには早かろうに」


「え?あ、うん」


 じいちゃんの言葉に頷き、その場に立ち尽くしていると、じいちゃんは何かを察したかのような目つきで笑いかけてくる。


「ほぉう、なるほどなるほど。つまり晴人は今、人生の岐路にあるんじゃな」


「岐路?どういうこと?」


「決して選択を見誤る得ないぞ。ではさらばじゃ」


 言葉を遮るようにじいちゃんはボクの頭の上に手をかざすと、視界がどんどんと霞んでいき、目の前が真っ暗になっていった。




「ハル君。ねぇ、ハル君大丈夫なの!?」


「……っ!こ、ここは?」


 ひたいにびっしょりと汗をかきながら目覚めると、目先に瑞希さんがいた。


「ここはハル君の部屋だよ」


「ああ、そうか。ボクは帰ってこれたのか……」


 どうやら黄泉の世界からじいちゃんのおかげで、現実世界に帰ってこられたようだった。


「? どうしたの?」


 妄言をのたまうボクを心配そうに小首を傾げながら覗き込んでくる瑞希さん。……めちゃくちゃかわいい。


「っていうか、なんで瑞希さんがここにいるのさ!?」


「…………」


 ボクの質問に瑞希さんは何も言わずうつむき、神妙な面持ちで黙り込む。

 時刻は深夜零時を軽く回った頃。そんな夜更けに、一つの部屋で男女一組が密会してると考えると、妙に心がざわつく。


「ま、まぁ。どうせ兄さんあたりがセッティングした状況なんだろうし、ボ、ボ、ボクはぜ、ぜ、全然動揺なんてしてないけどね」


 おどけながら沈黙を打ち破るボクに、瑞希さんは緊張感のある小さな声で切り出す。


「……ハル君」


「は、はい。な、なんでしょうか」


「ーーーしていいよ」


「へ?」


 難聴系ではないと自負するボクだが、瑞希さんの声は小さく聞き逃してしまい、眉をひそめて聞き返す。


「私にハル君の好きなことしてもいいよ」


 そんなことを言う瑞希さんの目頭には、微かながら涙が溜まっているのをボクは見逃さなかった。


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