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ボクの完璧美少女な弟子は変態すぎて手に負えません(笑)  作者: 花水木
2章 夏の日差しは女子から服を脱がせる
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穴場ってなんか卑猥ですね(山)


 とりあえず兄さんのいる金魚すくい屋から離れたはいいものの、ボクらは特に何をするでもなく、ふらふらと沢山ある出店を見て回っていた。


「ハル君はさ、これから予定とかないの?」


 もう少ししたら花火が上がるかというところで、片手に真っ赤な金魚を持った瑞希さんが尋ねてくる。


「まあ、ボクは彩奈に無理やりに連れて来られただけなんで、特にはないですけど」


 無理やり連れてこられたのに、はしゃぎすぎて置いて行かれたとは言わないでおこう。


「じゃあさ、私も和乃ちゃんと行く予定だった花火がよく見える穴場に行かない?」


「この辺りにそんなところあるんですか?」


 ボクもこの花火大会には小さい頃から何度か来たことがあるが、そんな場所があるとは聞いたことがない。


「うん。この前の花火大会の時に和乃ちゃんが偶然見つけてね。でもちょっと行くのは危ないかもだけど」


「危ないってどういうことなんですか?」


「その場所は、この先にあるの」


 瑞希さんが指差す先にあるものといえば、ここから少し離れた薄暗い山だけだった。


「えっと、もしかして、あの山に登るんですか?」


「うん。でも大丈夫だよ。裏道を通ったらすぐに頂上に着くから」


 瑞希さんに天真爛漫な笑顔を向けられ、ボクは二つ返事で了承する。


「そうですね。じゃあ行きましょうか!」




 山道に入って数分、ボクたちは否応に帰ることを余儀なくされる。


「……これ以上進むのは、さすがに無理ですかね」


 もうすぐ頂上に着くというところで、大きな木が横転し、狭い道を阻んでいた。


「そうだね。残念だけど祭り会場に戻ろうか」


 瑞希さんは行きしなに見せた笑顔とは、違った悲しそうな笑みを浮かべる。

 そんな表情を見て、ボクは道の先を見つめて悩む。


「やっぱり行きましょうか。少し迂回していけば頂上にもつきますよ」


「えっ? でも危ないよ」


「大丈夫です! ボクが先頭に立って枝を折って行きますから」


 ボクのやる気に押されてか、瑞希さんも乗り気になってくれる。


「うん、そうだよね。せっかくここまで来たんだし、じゃあ行こっか!」




「見えた。やった! 見えましたよ、瑞希さん。頂上に着きました」


 葉っぱや擦り傷など体にいくつもつけながらも山の頂上に着き、歓喜の声を上げるボクの後ろで、瑞希さんは木の近くで立ち止まっていた。


「どうしたんですか?」


「いや、ちょっと浴衣に木の枝がひっかかちゃってて」


「待っててください。ボクが取りますから」


「うん、ありがと」


 瑞希さんに近づき、絡まった木の枝と浴衣の帯を解こうとして、ボクはあることに気づいてしまう。


「あ、あの、瑞希さん? ちょっとつかぬ事をお伺いしてもいいですか?」


「どうしたの?」


 浴衣が着崩れて、肩や鎖骨を露出させながら瑞希さんがボクの方に振り向く。

 そして疑惑は確信に変わる。


「この浴衣の下ってもしかしてですけど……」


「浴衣の下?」


「あの、その、なんていうか」


 途中で言葉を詰まらせるボクの意を汲み取ったのか、瑞希さんはさも当たり前のように公言する。


「? 何もつけてないけど?」


「いや、それよくある間違いですから!?」


 着方の間違いを指摘すると、瑞希さんはどんどんと顔を紅潮させ、恥ずかしそうに視線を逸らす。


「そ、そうなの!? でも和乃ちゃんはこうだって言ってたのだけど」


 多分あの人のことだから、この状況になる可能性を知ってて間違った着付けを教えたんだろう。


「あぁっ、帯がどんどん解けてきて……」


 浴衣はかろうじて引っかかっていた肩からもずり落ち、今ここににある山とは違った二つの肌色のお山の入り口がチラリと見える。ボクがこの山の山頂に行けるんだったら死んでもいいくらいだ。


「す、すみませんっ。ボクは向こう向いてますんで」


「う、うん。ごめんね、ハル君」


 それから数分、花火が空に上がっているのを見ていても、常に意識は後ろの方へ行ってしまう。


 布が擦れる音を聞いていると、自然と変な気分になるのはみんなおんなじだよね?

 そんな相手のいない問いかけをしていると、瑞希さんから声がかかる。


「も、もうこっち見てもいいよ」


挿絵(By みてみん)


 振り向きざまにボクは、一日中常々思っていたことを不意に口からこぼす。


「瑞希さん。……綺麗ですね」


 ボクはうっかり声に出してしまったことに気づき、慌てて手で口を押さえる。


「そうだね。ここだと誰もいないし、私達だけでこの景色を独占だね」


 だが、瑞希さんはボクの言葉の意味を汲みとれず、花火を見ながらそう答えた。


「あはは。そうですね」


 意味を理解されなくて良かったような悪かったような微妙な面持ちでいるボクに、瑞希さんはボソリと呟く。


「……私は、好きだよ」


「へっ……?」


 後ろから小さく聴こえたその言葉は、目の前に見える花火に対してなのか他の何かに対してなのか、ボクにはわからない。

 だが、瑞希さんの花火の光に照らされた笑顔を見ていると、そんなことどうでもよく感じた。


また挿絵かいてみました。

一枚目と似てないのは気にしないでくださるとありがたいです。

ちなみに咥えているのはヘアゴムです。

作品に対する批評など、感想でまってます。


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