これが本当のサービス回ですね(裸)
二時間ほどかけてやっとプール掃除の終わりが見えてきたので、少し休憩しようとポカリス○ットを飲み、美しい空を仰ぎ見ていると、不意に目の前が真っ暗になった。
「だーれだ?」
もしこんなことを美少女がしてくれているのであれば、ボクだって半端なく動揺しまくっただろう。
だが、耳から聞こえてきた声の主は一緒に掃除をしていた桐崎だった。
なんだか真後ろにいるにしては声が少し遠い気もするが、そんなことどうだっていい。
今のボクは、ハゲ平にこんな嫌なことを押し付けられて、ちょっと気が立っているんだ。
「ひゃん……」
苛立ちのあまり突き飛ばそうかと胸を押すと、手が跳ね返ってくるかと思うほどの弾力性があった。
「あぅ……」
未だかつて触れたことのないであろうその弾力性のある物体を触っていると、少しずつ見当がついてくる。
その見当が外れていて欲しくもあり、また当たっていても欲しいと、どっちつかずのまま振り向くと、
「…………」
当たりも当たり大当たり〜。たわわな胸の主の正体はななななんと瑞希さんでしたー。
瑞希さんは触られた胸を腕で隠しながら(隠しきれてない)、ボクのことを軽く睨んできた。
「す、すいませんでしたぁーーー!」
ボクは、瞬時に頭を地に擦り付けながら土下座をする。
「ぷっ、くはっはっは。ハル、お前ってやつはつっくづく変態なんだなぁ」
ボクの華麗な土下座を見て笑いながら、桐崎が瑞希さんの後ろからひょっこり現れる。
「……わ、わざとじゃなかったんだし、もう顔あげてよ」
申し訳なく思いながら顔を上げると、瑞希さんが身につけている白のビキニにボクの目は釘付けになった。
「こ、これどうかな?」
夕日に照らされた瑞希さんの肢体は美しく、そんじょそこらのグラビアなんかよりもよっぽど綺麗である。
「はっ、はい、とっっっても似合ってます!」
極度に興奮しながらも、食い気味に答える。
「そう、かな? ……ありがと」
「っていうか、そもそもどうしてここに?」
「最近この水着を買ったんだけど、なかなか着る機会がなくて」
「そうだったんですか」
「それでプールなら着ていてもおかしくないかなと思って……」
何も言わず無言でいると、
「で、でも掃除を手伝う気もあったんだよっ!」
ボクの無言の圧力に負けてか、必死に弁明してする。
「いや、わかってますって」
一生懸命言い訳をする瑞希さんの姿は、言語では表せないくらいかわいかった。
それから三人で残りの掃除をすると、すぐに終わった。
そして、ハゲ平から受け取った更衣室Gの鍵をポケットから取り出しす。
「ボクらは後でいいんで、先にG更衣室で着替えてください」
そう言いながら、ボクは瑞希さんに更衣室Gの鍵を手渡す。
「……うん、わかった」
瑞希さんは受け取った鍵を見て一瞬固まった後、熟れたリンゴのように顔を赤くしながら更衣室へ向かった。
瑞希さんが着替えに行ってから二十分近くになるが出てくる気配がなく、桐崎が更衣室の方を向きながら呟く。
「……なんか、遅いな」
「そうだな。ちょっと心配だし、ボク見てくるよ」
「おう。頼むわー」
それから小走りで更衣室まで向かい、ノックをして瑞希さんが中にいるか確認する。
「瑞希さん。着替え終わりましたかー?」
呼びかけると中からゴソゴソと物音がした後、瑞希さんがなぜか荒い息遣いでドアから顔だけを出してくる。
「はぁ、はぁ……」
「えっと、どうしたんですか?」
「だ、だってハル君がこの鍵を渡してきたから……」
瑞希さんはそう言いながら、ボクに更衣室Gの鍵を返してくる。
「えーっと?」
理解できずに首を傾げていると、瑞希さんはギリギリ聞い取れるくらいの声で言う。
「ハ、ハル君が自慰行為室だって言ってたから……」
「そんな変な意味を込めて言ってませんし、学校にそんな卑猥な部屋はありませんよっ!」
ボクの渾身のツッコミが校内に響き渡ったのであった。