奴隷4
建物内は、予想よりも綺麗だった
まぁ、そりゃそうだ。
これから後ろめたくない事をするのに、わざわざ汚い部屋に入らされて気持ちの良い客は居ないだろう
「これはこれは、先程の……。」
「先程言っていた奴隷を買いたい、見せて貰えるか?」
「勿論でございます、ですが、値段はバカみたく高いですよ?」
「冷やかしのつもりは無い、買わなくても金はやるよ。」
奴隷を購入するに当たって、決まりが幾つかある
ひとつ、入札した金額の1割はディーラーに渡ることだ
オークションを開催した人や、奴隷を売りにかけた人ではなく、それを紹介した専属ディーラーに金が入る
理由は簡単、他とのある程度の腹の探りあいをするためだ
オークション側は、勿論高い金を出して欲しい
しかし、買いたい方までそうな訳はない
なので、専属のディーラーを雇ってある程度の予算を決めておくのだ
ディーラーが他のヤツお手を組むことも目安に雇う、これまた理由は簡単、
オークションで落としたいと言った金額は、その1割を支払う義務がある
例としては、
①100
②120
③150
で、オークションが終了。
こうなると、③が落札者だ
本来なら低い①、②はガッカリバイバイで終わるのだが、
①は10、②は12
枚の貨幣を支払う必要がある
これは、参加費だ
これが金貨なら、1ヶ月は普通の一般家庭が暮らせるほどの金額で、かなり高い
こうした理由は、オークション側が少しでも利益をあげるため、
汚い、全くもって金に汚いぞ
こうすることによって、金を持っている人のみのオークションとなるわけで、必然としてこういった会場にも金がたくさん出る
「それで、お求めの奴隷はどのような物で?今お勧めなのは今年16歳の初物奴隷でして、下の方はまだですが、それなりに可愛いですぞ。病気の心配は無いそうです。」
「人狼が欲しい。」
「…………。なるほど、ですが、高いですよ?」
「問題ない。」
カネナライクラデモアルゾ!!
実際、金の問題は全くもってのゼロだ
ただし、相手側の値段はどれ程出せるのかが問題だな
「今の予定ですと……。金額120枚ほどまで行くと見ております。持ち合わせは?」
「余裕だ。オークションはいつだ?」
「本日の夜、9時からとなっております。」
「解った。では、見せて貰えるか?」
「その前に、一応の確認として契約書を書いて下さい。最近多いんですよ、冷やかし。」
そう言って差し出されたのは上質そうな羊皮紙
内容は、オークション最初の規定金額分を最初に預け入れる…のみだ
つまり、ドタキャンされた時の担保でも有るのだろう
最低金額は、金貨30枚だ
俺は羊皮紙にサインして、金貨35枚取り出す
「五枚多いですよ?」
「それはチップだ。よろしく頼むぞ。」
「ありがたく頂きます。それでは、こちらの一時金庫へしまいます。」
男が金貨を貸金庫へ仕舞い、鍵をかける
「それでは、こちらへどうぞ。」
「あぁ、解った。」
俺は男に続いて、商品を保管してある場所へ向かった




