とある魔王の側近事情
コポポ…っとポットからコップにお茶を移して渡す
「どうぞ、お土産のお茶です。味が少しばかり薄いですが、微かに香る甘い香りを気に入って買ってみました。」
「ありがとう…………。本当にあんたは役に立つよ……。」
魔王様は大きく溜め息を吐いて此方を向いた
「お疲れ様。どうだった?」
「はい。結果を先にのべると、会えませんでした。」
私は先程羊皮紙に写した情報類を渡て見せる
話せば良いのだが、その時に書いたものが有れば補足という形で十分の上、あとで見返せる
っと、昔説明したときには泣かれた
あんた見たいな奴が欲しがったの…っと
どれだけ苦労しているのかひしひしと伝わり、以後頑張って使えているためか、私に対してとても信頼してくれている
素直にうれしい
尻尾が有ればはち切れんばかりに振るのだが…。
生憎、ウンディーネの私に尻尾は無い
あってどうこうでは無いが
少し誉められてポーッとしてしまった
「続きですが、片方の方は町を行ったり来たりしていた為、入れ違いをしてしまいました。それで問題の闇なのですが…。」
「居場所が分からなかったの?」
「いえ、居場所はすんなりあっさり見つかりました。呆気ないほど。」
私は羊皮紙をペラペラと捲りながらあるページを開く
「居たのは二人、二人とも人間の姿をしていました。しかし片方は人間を惨殺してます。」
「おぉ、怖い。それで?」
「問題はそのあとです。恐らくですが、人間を殺したあと、側にいた人間を瘴気の上位魔法の死瘴気で攻撃しています。」
「可愛そうに。」
「いえ、生きてます。」
私はその場を見た訳ではないが、瘴気の上位魔法を使ったのは間違いない上、そこで死人が出たのも間違いない
しかし、その場の魔素の流れから、攻撃したのにも関わらず、逆に回復すると言う可笑しな現象が見付けたのもまた事実
「警戒を続けましょうか?」
「いや、良いよ。私達は専守防衛。こんな辺境に来る人も少ないでしょ?転移魔法を使えば簡単でも、今は廃れた魔法だしね。」
「はぁ、魔王様がよろしいなら…。」
「それより、私の側に居てほしい……。」
魔王様は先程と打って変わって、少しばかり泣きそうな顔で此方を見つめた
やめてください。胸がキュンキュンします。
「な、何かあったんですか…?」
「サラマンダーに無理矢理犯された…。」
「殺してきます。」
さて、ゴミを掃除しなければ。
私と魔王様のために
暫くすると出る魔王の話。必ず出ます。多分、来年の夏には…。




