魔法なんてこんなもの…。
『とりあえず、ですね。呪文とかそう言うの、やります?』
「どういう事?必要ないの?」
何だか心なしかめんどそうなヘレナの声。
『いやぁ~。長くて面倒くさいんですよ。まぁ……。落ちは見えてますけどね。』
「なんか不安になるんだけど…。とりあえず、教えて。」
『基礎の四代元素のひとつ、癒しと慰めの雨よ。我に従い恵みとなる水を与えたまえ。…………。以上です。』
「えっと…………。基礎の四代元素のひとつ、癒しと慰めの雨よ。我に従い恵みとなる水を与えたまえ。」
とりあえず、丸暗記して唱えてみる…。あり?
「なんにもならないよ…?失敗?」
『いえ、ちゃんと出来てますよ?手がなんかぬるっとしてるでしょ?』
「えっ!?ショボい!!」
確かに手の先がヌメヌメしてる…?気持ち悪!?
…………。
「私の初魔法。手がヌメヌメする………。だけ?」
『おめでとうございます。初魔法です。ねっ?言ったでしょ?』
手の先が汗みたいにヌメヌメするだけの悲しい呪文。
呆れを通り越して怒りすら沸いてきそうだ…。
『他にも使えるのか使えないのかわからないようなものまで揃ってます。無いよりマシ…。レベルのものですよ。』
「うん。期待はしないよ……。」
新しいスキルは…。
水属性魔法レベル1
火属性魔法レベル1
光属性魔法レベル2
闇属性魔法レベル2
魔法はこんな感じか…。
いつの間に…?
『これを得た理由は、宿などで使った備品等です。明かりを使うのに光を、消すのに闇を、蛇口から水を出すのに水を、暖めるのに火を使ったので、こうなりました。マントは例外ですよ。』
「教えてくれてありがとう。なるほどね…。暫く使い物にならないのね…。」
他にも走るだとか、ジャンプとかの日常動作にもレベルがあり、それらはなかなか高いようだ。
と言っても、精々4~6レベルだが…。
それは置いておいて、起きてから大分時間がたってしまった。そろそろリリアを起こして行くべきかな?
「教えてくれてありがとうね。ヘレナ。」
『どういたしまして。ハルナ。たまには思い出して下さいね…。』
「うん。ごめんなさい…。」
私は素直に謝罪して、リリアの布団を引剥しにかかった