看護長との軋轢
朝番。七時に職場に到着。相変わらず夜勤のNが怠けていたようで、終わらせておくべき仕事がほとんど手つかずのまま。呆然とするが、急いで朝食に向けて支度をする。起床介助をし、バイタル測定を行い、お茶を作り、おしぼりを配る。なんとか食事に間に合う。
Aさんが体調を崩しているらしい。が、Nさんは何も僕に伝えず早々に帰ったので事情が分からない。昨日までの介護日誌を閲する。発熱して居室対応をしていた様子。食事を出してよいものかどうか悩む。看護婦が出勤し、それから指示を仰ぐことにする。
食事介助中に看護長が巡回に来る。A様に食事を提供してよいのか尋ねる。すると「昨晩は食事を出していたでしょう、だから朝食も出していいんですよ。なんでそんなことも分からないの」という旨のことを、やや気色ばんで述べる。
十時。他の職員が僕に耳打ちをする。「看護長がすごく怒ってるらしいよ、朝に朝食を出さなかったことで」知ったことか、と思う。
それから看護長が再び巡回。あからさまに僕を無視している。看護長が言う。「午前中に二人に浣腸をする?」僕が応える。「二人は少しキツイですね」
看護長が言う。
「何がキツイの?」
僕が応える。
「人数と時間を考えるとキツイです」
看護長がさらに尋ねる。
「人数と時間の何がキツイの?」
僕がイライラしながら答える。
「この後に昼食の準備と起床介助があるんです。それに加えて排泄介助まであると昼食に間に合いません」
看護長は聞いているのかいないのか無言である。そして何も言わずに、何事もなかったかのように去る。A様への医療的な意見も助言も何も述べずに。
ぶち殺してやろうかと思った。