観念的な文章
実際の話、俺の頭はどの程度に正常なのだろう。俺は狂気に陥るのが怖い。精神病院に幽閉されることを恐れている。理由は金が無いからだが。これ以上、親に迷惑はかけられない。金の問題さえ解消すれば、頭がおかしくなっても別に構わない。たぶんその方が幸せだろう。ただし狂気にも種類がある。僕の病気は強迫観念だ。常に怯えている。自分の凶悪な想像力に。
例えば便所。この地球上の至る所にある便所だ。僕はそれが怖い。汚いからだ。僕は便所を見ると、便器の中に自分の頭を突っ込んでいるイメェージが浮かぶ。便器に付着した糞を舌で舐めとるイメェージが浮かぶ。そのイメェージが一日中、頭の中でぐるぐると空転している。超リアルな映像として。客観的に見て馬鹿馬鹿しいことくらい分かっている。でも止めることが出来ないんだ。
これはあくまで一例だ。他にも風呂場、台所など、様々な場所が「穢れ」として認識され、妄想され、脳内で汚い映像が荒れ狂う。こんな杜撰な説明でお分かりいただけるだろうか? 僕は理解してもらえるよう分かりやすく書こうと努めている。僕は便所と風呂場と台所とその他諸々が怖い。そしてこれらはこの世からは決して消えてくれない。しかし、自分の意識をこの世から消し去ることは可能だ。ああ神様、ぶっちゃけて言うけど俺は生きていること自体が辛いんだ。こんな状態じゃあな。街を歩いていると適当な建物に登って投身自殺したくなる。
先刻から僕の話の先が見えないというか、脱線に次ぐ脱線ではないかと思われる向きも多かろうが、それは僕がしこたま酒を飲んでいるからだ。このくらいは許して欲しいね。多分さっき書いたと思うが、僕は常に意識を他所に飛ばしていなければならないんだ。だから酒を飲んで意識を飛ばす。精神安定剤を飲んで意識を飛ばす。「意識を飛ばす」方法は自殺以外にもいろいろあるものさ。
普段は精神安定剤を酒で飲んで病気を抑えている。ただ、自分の病気ばかり気にかけているからなかなか他のことに目が向かない。この文章がやたらと観念的なのはそのせいだと思う。