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偉い人と繋がりがあると楽になるか?

イズールド離脱。

あっさり離脱。

再登場はずっと先の予定。

「…………ここから先、俺はいない」


「ウッス。自分でやれるだけやってみます」


 王都の門の前の橋で俺は別れの挨拶をしていた。頑なに次に行く場所をイズールドさんは教えてくれなかったから、ここで別れたらイズールドさんとは恐らくもう会えなくなる。

 寂しい気もするが人にはやらなきゃならないこともあるんだろう。引き留めたりはしてはいけないよな。


「…………数日分の宿代と、選別だ」


 イズールドさんはそう言うと自分の籠手を外して渡してきた。

 ……吸い込まれそうな黒。そこに金色で何か呪文が書かれていた。かなり高そうなんですが……


「こんなの貰っていいん……ありがとうございます」


 軽く頷かれた。何も言わずに受け取れってことかな。


「…………死ぬなよ、弟子」

 

 ワオ。


「はい。善処します、師匠」


 今まで呼ばれたことの無い呼び方だったけど、ちゃんと弟子と見なしてくれていた事にちょっと感動した。師匠と呼び返したら面白い顔したよ。

 こんな顔できたんだなこの人……


 恥ずかしいのかすぐにイズールドさんは背中を向けて走っていってしまった。王都で馬を手に入れていかなかったのも何か理由があるんだろうな。

 いや、それでもむちゃくちゃ速いけどさ。




 王都ジヲクチヲクは堀に囲まれていて、門の前には橋がかけられている。

 なるほど、吊っているものがあるあたり跳ね橋なんだな。橋を上げたらモンスターだろうと軍隊だろうと侵入できなくなるわけか。


 門番が俺に話しかけてきた。


「話は終わったようだな。入るのか?」


「ああ、ありがとうございました。師匠は行っちゃいましたが俺は入ります」


「そうか。一応持ち物を確認させてもらうぞ」


「どうぞ」


 門番は俺の持ち物を確認してから「問題無し。通っていいぞ」と道を開けた。

 橋を渡り、都に足を踏み入れると同時に、俺の体を声が叩いた。


「さあ寄ってらっしゃい見てらっしゃい!かの古の大魔導師カゴクリの物語が綴られた……」


「新しい武器の入荷だぞー!」


「うおっ!あぶねえな気を付けろ!」


「なんだと!?やんのかこら!?」


 うおお、むちゃくちゃ賑やかじゃないか!

 ゲームでしか見たこと無いよこんな景色!

 思えば俺はこっちのグラジラスに来てからというもの森で五ヶ月ヒッキーだったからな~。人を見て感動してるのかもな!


「あ!そこのお兄さん!宿を探してるんじゃないですか!?だったらぜひうちに来ませんか?」


 ボーッとしてた俺に一人の少年が話しかけてきた。 確かに宿は探さなきゃいけなかったしちょうどいいか。


「んじゃ案内してくれ」


「はーい!一名様ごあんなーい!」


 じきに着いた宿は、そこそこ大きくて見栄えがした。中は結構綺麗だし、人も雇っている。となると値段も普通より高そうな気がした。……あ、俺宿の相場知らないや。


 宿代も貰ってるし森で狩ったモンスターの毛皮とかもあるからお金は気にしなくてもいい気がするが、俺はしょせんしがない高校生。節約できるならそれに越したことはないのさ。でもやっぱり良いところで寝たいんだからケチらないべきか?


 さっきの少年が宿のカウンターの奥に行くと替わって女将らしき女性が出てきた。


「いらっしゃい!太陽亭にようこそ。一人なのかい?」


「はい。ゆっくり休みたいので良い部屋をお願いします」


「それなら二階にちょうどいい部屋が空いてるからそこにしな。飯も付くからピッタリさ!」


 俺は銀貨を数枚取り出して十日間ほどを目安に渡した。


「初めての良いところでの寝泊まりなんだしケチんのはナンセンスだよな」


 そんなうちに、部屋に案内された。


「へえ、そこそこ高いだけはあるな。飯も浴場もあるみたいだし……しばらくはここを拠点にするか」


 それからとりあえず風呂に入り着替えてから、明日の都探索のために早めに俺は寝た。



 * * * * *



 宿の一階の食堂で軽く朝食を食べて、俺は都を探索しはじめた。


(女神~)


『はいはいどうしたの……って甘ちゃんが()を使ったっ!?ついに作者に気を使ったのね!?』


(メタ発言ヤメロ!じゃなくて、頭の中で話しかけるのか考えてるのか俺が整理しやすくするためだよ!!)


『で、通信繋いでどうしたの?』


(ああ、今から牛乳と苺買いに行くんだが、一回飲んでたまった魔力ってどうなるんだ?)


 道すがら俺は女神に気になった事を聞いた。もし使わない魔力をストックしていられるなら沢山買う必要はないが、そうでなければ買う量を考えなくてはならないからだ。


『あ、二日もすれば体から完全に消滅するわ。いわゆる魔力の賞味期限ね』


 あ、牛乳売ってた。とりあえず1リットルと~(へー。んじゃその都度飲み物作るわけか)


『いいえ?専用の魔法がかかった容器があるからそれに入れて腐ったりするのを遅らせるの』


 苺は……うわ、この店の萎びてんじゃん。(ほう、現代の水筒の強化版か、後で買いに行かなきゃな)


 いろいろ店を回って一番よさそうなものを見つけ、容器を探し終えた頃には日はだいぶ傾いていた。とりあえず調合は宿の部屋でしようと思って慌てて帰ってきたが、ちょうど晩飯の支度を女将さんはしていた。早めに帰った俺グッジョブ!ああ、美味しそうな香りがするぜ!


 すぐさま俺は食堂に行ったよ。だって空腹を我慢しても良いこと無いしな!


「「あーもー、お腹と背中がくっつくー!」」


 ん?ハモった。

 隣を見ると剣を腰に差した少女が並んでいた。

 相手もハモった事でこっちを見た。

 ショートカットのつやのある白い髪。青色の目に肌は色が抜けるように白い。普通の人がここまで白かったら病気を疑うが、この子は不思議とそれが病気に見えない。むしろすべてのパーツと相まって美しさを醸し出していた……ものの、大人の色気ではなく、まだ幼さが残っているため美少女止まりだな。

 でも人にしてはなんか……うん、なんかちがう。他種族なのかな?


「お腹空きましたね……」


 少女はすこしオドオドしながら俺に話しかけてきた。


「あのー、冒険者の方なんですよね?そこの沢山の牛乳と苺、何に使うんですか?」


「ああ、ちょっと飲み物をさらに美味しくするために混ぜてみようと思ってね」


「ま、混ぜる!?それで美味しくなるんですか!?不味くならないんですか?」


 少女は興味がわいたのかそれからすぐいろいろ聞いてきた。まあ外見は16歳くらいだけど興味がわくと止まらなくなる子供みたいなタイプなんだろうな。

 強いのかとかどう鍛えたとかも聞かれたからもしかして騎士とか冒険者になりたくて王都に来たのか?


「私、メルティナと言います!冥族です!」


 へえ、冥族。たしか人間より力があんだっけ。男も女もこんなに綺麗なのか?だとしたらイケメン許すまじ。我が女神様ナイフの餌食にしてやろう。


「俺は天海甘太郎。カンタローでいいよ」


「あ、それじゃ私もメルでいいですよぅ」



「はいよ、できたよ!たらふく食いな!」


 話してるうちに女将さんが飯を持ってきた。

 うおおぉー!食欲をそそる!!

 待ちきれなかったのかメルはもう食べ始めて……この子漫画みたいにがっついてるよおい。


「ほふひへは、はんはろーはんははんへほふほひ?」


「……ごめんメル、何言ってんのかわからないから飲み込んでから言って」


「モグモグ……ングッ。カンタローさんはなんで王都に来たんですか?やっぱり王都の王宮騎士大会に出るためですか?」


「王宮騎士大会?」


「ありゃ、違うんですか?カンタローさん結構強いみたいだしそうなのかと思ったんですが。ちなみに私も出たくて来たんですよ!」


「ああ、俺はしがない旅人さ。ところでなんなんだ?その大会っていうのは」


 王宮騎士大会。響きからすると優勝した者が王宮騎士になれるとかか?

 もしかしたら王家とパイプができるかもしれない……詳しく聞く必要がありそうだ。

感想、評価、質問も受け付けています!


やっと一人目のメインヒロイン登場ww

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