思い出のレシピ 第3話:未来への“ひとくち”
こんにちは!エピソード12、完結編です。
ハツさんのコロッケの味を、データとして未来に残す。
文の熱意ある提案に、ハツさんはどう答えるのでしょうか。
そして、その「記憶」は、新しい奇跡を生むのでしょうか。
文は、ハツさんの元を訪れ、@SHOPの提案を一生懸命に説明した。
最初は「年寄りをからかうもんじゃないよ」と、いつものようにカラカラと笑っていたハツさんだったが、文の真剣な眼差しに、やがて根負けした。
「…分かったよ。文ちゃんが、そんなに言うなら、一回だけだよ」
数日後、まだ本調子ではないハツさんの代わりに、文がカメラを回し、八百屋の源さんが助手となって、伝説のコロッケ作りの撮影が、菊池家の台所で始まった。
「ジャガイモはな、男爵がいいんだ。ホクホクになるからね。…それから、砂糖を少しだけ多めに入れるのが、菊池家の秘伝だよ」
照れくさそうに、しかし、どこか嬉しそうに、ハツさんは長年自分の身体に染み付いた手順を、一つ一つ、愛情のこもった言葉にしていく。
その映像と、@SHOPが自動で書き起こしたレシピは、「商店街の宝物」という特別なフォルダに、静かに、そして大切に保存された。
それから、半年後のこと。
商店街の「週末ポップアップストア」に、一枚の新しい看板が立った。
『ハツさんのコロッケ、一日だけの復活です!』
店先に立っていたのは、この春に調理師専門学校を卒業したばかりの、一人の若い青年だった。
彼は、@SHOPに保存されていたレシピを見て、どうしてもこの味を再現したいと、ハツさんに弟子入りを志願したのだ。
揚げたてのコロッケを頬張った子供たちが、「ハツさんの味だ!」と目を輝かせる。
その光景を、杖をついたハツさんが、嬉しそうに、少しだけ涙ぐみながら、見つめていた。
@SHOPが繋いだのは、単なるデータではない。
世代を超えて、人の心を温める、優しさの「味」そのものだった。
エピソード12、最後までありがとうございました!
思い出の味が、新しい世代に受け継がれていく。
心温まる結末でしたね。
さて、商店街には、まだまだ色々な物語があります。
次は、美しい花々に囲まれた、花屋さんの店主のお話です。
お楽しみに!
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