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案外、世界は優しさでできている  作者: かつを
第一部 IT企業編
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会議室の“沈黙” 第3話:声が“響く”場所

『ワンチーム』の助言を受け、新しい会議の形を試すことになった高橋たち。

彼らの職場は、どんな変化を迎えるのでしょうか。

エピソード「会議室の“沈黙”」、完結編です。

その数日後のことだった。

高橋は、別々のメンバーが担当している機能間の連携に、潜在的なリスクがあることに、自身の経験から気づいた。

(これはまずいな…。早めに会議を開いて、担当者同士の認識を合わせておかないと)

高橋が、関係者のスケジュールを調整するために、カレンダーツールを開こうとした、その瞬間だった。


『ワンチーム』から、ポップアップ通知が届いた。


『警告:タスク間の依存性分析により、高リスクの競合が予測されます。30分の連携会議を推奨します』


「…!」

高橋が息をのむと、通知は文章を続けた。


『推奨参加者:佐藤理恵様、高橋健太様、鈴木守様』

『議題と関連資料:自動生成済み(添付ファイルをご確認ください)』

『候補日時(全員の空き時間):本日15:00-15:30』


そして、その通知の最後は、こう締めくくられていた。


『この会議を設定しますか?【はい/いいえ】』


高橋は、ただ「はい」のボタンをクリックした。


瞬時に、関係者のカレンダーに会議の予定が登録され、資料付きの招待状が送信される。

高橋がやるべきだった全ての管理業務が、ほんの数秒で終わってしまった。

彼は、椅子に深くもたれかかり、天井を仰いだ。


人間がやるべきことは、最後の「意思決定」だけ。

それ以外の、面倒で、時間のかかる全ての準備を、この物言わぬアシスタントは完璧にこなしてしまう。

会議室を支配していたあの息苦しい沈黙は、もうない。代わりに生まれたのは、全員の声がちゃんと響き合う、対話のための時間だった。


高橋は、その劇的な変化に、静かな感動を覚えていた。

チームの未来は、間違いなく明るい。そんな確信が、彼の心を温かく満たしていた。

エピソード「会議室の“沈黙”」、最後までお付き合いいただき、ありがとうございました!

会社の会議も、やり方次第で、優しさを生み出す場所にできるのかもしれませんね。

さて、次に彼らを待つ課題は「新入社員の孤立」です。

また明日から、新しいお話が始まりますので、お楽しみに!

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この物語の公式サイトを立ち上げました。

公式サイトでは、各話の更新と同時に、少しだけ大きな文字サイズで物語を掲載しています。「なろうの文字は少し小さいな」と感じる方は、こちらが読みやすいかもしれません。


今後は、キャラクター紹介や、作中のITシステムの解説なども充実させていく予定ですので、お楽しみに!


▼公式サイトはこちら

https://www.yasashiisekai.net/

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