言葉のいらないおもてなし 第3話:心で交わす“会話”
こんにちは!
エピソード8、完結編です。
ポケットの中に、心強い「通訳」を手に入れた伊藤さん。
再び彼の店に、外国人のお客様がやってきます。
果たして、今度こそ、彼の「おもてなし」の心は届くのでしょうか。
翌日の午後。
再び、外国人観光客のカップルが、伊藤さんの店にやってきた。
伊藤さんは、深呼吸を一つすると、カウンターから出て、笑顔で彼らに近づいた。
そして、胸ポケットのスマートフォンをそっとタップし、「おもてなし通訳」を起動する。
「いらっしゃいませ。何か、お探しですか?」
伊藤さんが、いつも通りの日本語で話しかけると、彼のスマホから、穏やかな英語の音声が流れた。
カップルは、一瞬驚いた顔をしたが、すぐに状況を理解し、笑顔で、自分たちのスマホに向かって話し始めた。
『わあ、すごい! 実は、日本の古い映画のポスターを探しているんです』
その英語は、即座に、伊藤さんのスマホで日本語に翻訳された。
「映画のポスターですね! それでしたら、こちらの棚にございますよ」
伊藤さんは、まるで長年の友人を案内するように、二人を店の奥へと導いた。
言葉は、スマホを介している。
けれど、表情や、身振り手振り、そして、お互いの声のトーンは、直接、心に届く。
カップルは、憧れの映画監督のポスターを見つけると、子供のようにはしゃいで喜んだ。
会計の際、男性の方が、伊藤さんにこう言った。
『あなたの本への愛情が、とても伝わってきました。このお店に来られて、本当によかったです。ありがとう』
その言葉は、伊藤さんの胸に、温かく、そして、まっすぐに響いた。
二人が去った後、伊藤さんは、一人、静かな店内で、満たされた気持ちに包まれていた。
「@SHOP」がくれたのは、単なる便利な機能ではない。
言葉や文化の違いを超えて、人と人が、心で繋がるための、温かい「きっかけ」だったのだ。
伊藤さんは、また新しい誰かと出会える明日が、少しだけ、楽しみになっていた。
エピソード8、最後までありがとうございました!
言葉が通じなくても、心が通じ合う瞬間の、あの温かさが描けていれば嬉しいです。
さて、商店街の店主たちは、少しずつ仲間意識も芽生えてきたようです。
次は、彼らが「協力」することで、大きな壁を乗り越えるお話です。
また次回、お会いできるのを楽しみにしています!
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