見えない“ありがとう” 第1話:頑固なアイロン
こんにちは!
今日から新エピソードです。
「@SHOP」のおかげで、商店街には少しずつ新しい風が吹き始めています。
しかし、その変化にまだ背を向けている人もいるようです。
今回の主人公は、黙々と仕事をこなす、クリーニング店の頑固な職人さんです。
星野文具店の二軒隣にある「鈴木クリーニング」。
店主の潔さんは、商店街でも評判の腕利きの職人だ。
どんなに頑固なシミも、彼の手に掛かれば魔法のように消えてしまう。
けれど、彼は輪をかけて頑固で、無愛想だった。
「文ちゃん、これお願い」
文が、お気に入りのブラウスをカウンターに置くと、潔さんはそれを一瞥し、伝票を書きながら、ぶっきらぼうに「…ああ」とだけ答えた。
笑顔もなければ、世間話もない。
ただ、彼の鋭い目は、文が気づいていなかった袖の小さな汚れを、すでに見抜いていた。
彼の仕事は、いつも完璧だった。
数日後、戻ってきたブラウスは、新品のようによみがえっている。
「すごい、潔さん! 真っ白! いつもありがとう!」
文が心からの感謝を伝えても、彼は「…どうも」と短く返すだけ。
その背中は、喜びも、達成感も、何も語らない。
その日の夜。
閉店後の店で、潔さんは一人、アイロン台に向かっていた。
蒸気の音だけが、静かな店内に響く。
(…俺の仕事、本当に、客は喜んでるのかねぇ)
感謝の言葉がないわけではない。
でも、それはどこか社交辞令のようで、彼の心には届かない。
日々の仕事は、ただ黙々とこなすだけの、色のない作業になっていた。
彼は、蒸気で曇った窓の外を眺めながら、誰にも聞こえないほどの小さな声で、ため息を一つ、吐き出した。
お読みいただき、ありがとうございます!
新しい登場人物、潔さん。
腕は確かなのに、なんだか寂しそうですね。
彼の心のシワは、どんなシミよりも手強いかもしれません。
この頑固な職人の心を、「@SHOP」は溶かすことができるのでしょうか。
続きはまた明日!
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