声に出せない“SOS” 第1話:消えかけた“光”
チームのコミュニケーションも改善され、順調に見える高橋のチーム。
しかし、今回の課題は、チームの外ではなく、一人のメンバーの“心の中”にあるようです。
新しいエピソードの始まりです。
『ワンチーム』の導入以来、テックフォレストのチームは順調そのものだった。
特に、高橋健太は、自分の得意なUIデザインの分野で才能を発揮し、生き生きと仕事に取り組んでいた。
マネージャーの佐藤理恵も、彼の活躍に目を細めていた。
だが、新しいプロジェクトが始まり、状況は少しずつ変わっていった。
高橋は、システムの根幹に関わる、プレッシャーの大きなコンポーネントの開発を任された。
期待に応えようと、彼は懸命に仕事に取り組む。しかし、頻繁な仕様変更とタイトなスケジュールの間で、彼の心身は知らず知らずのうちに摩耗していった。
佐藤は、高橋の顔色が優れないことに気づいてはいた。
チャットでの返事が素っ気なくなったり、彼の書くコードにケアレスミスが増えたりしていることも。
(…少し、疲れが溜まっているのかしら。でも、彼なら乗り越えてくれるはず)
彼を信頼しているからこそ、下手に干渉してプライドを傷つけたくない。
佐藤はそう考え、静かに見守ることにした。
しかし、高橋の心の中では、自信という光が、今にも消えかけていた。
彼は、ただ誰にも弱音を吐けないまま、一人きりで、終わりの見えないトンネルを歩いているような気分だった。
本日もお読みいただき、ありがとうございます。
誰にも言えないまま、一人で仕事を抱え込んでしまう…。
多くの人が経験する、苦しい状況かもしれません。
この声に出せないSOSに、あの賢いアシスタントは気づいてくれるのでしょうか。
続きは、また明日の更新でお楽しみください。
いつも応援、本当にありがとうございます!
ーーーーーーーーーーーーーー
この物語の公式サイトを立ち上げました。
公式サイトでは、各話の更新と同時に、少しだけ大きな文字サイズで物語を掲載しています。「なろうの文字は少し小さいな」と感じる方は、こちらが読みやすいかもしれません。
今後は、キャラクター紹介や、作中のITシステムの解説なども充実させていく予定ですので、お楽しみに!
▼公式サイトはこちら
https://www.yasashiisekai.net/