賢い“予算案” 第3話:“数字”が語る優しさ
データという最強の武器を手にした佐藤は、再び上司との交渉に臨みます。
果たして、彼女は「前例」という壁を打ち破れるのか。
エピソード「賢い“予算案”」、完結編です。
「部長、もう一度だけ、お時間をいただけますでしょうか」
再度の訪問に、事業部長はあからさまに嫌な顔をした。
だが、佐藤の自信に満ちた表情に、何かを感じ取ったようだった。
佐藤は、感情的に訴えることはしなかった。
ただ、スクリーンに、『ワンチーム』が作成した二つの未来予測を映し出した。
「部長。
私は、予算を増やしてほしい、とお願いしているのではありません。
どちらの未来に、会社として投資すべきか、ご判断をいただきたいのです」
彼女は続けた。
「標準予算という“前例”に従えば、私達は6,000万円の未来しか作れません。
ですが、最適な投資をしていただければ、私達は、1億5,000万円の未来を創り出すことを、このデータと共にお約束します」
事業部長は、腕を組んだまま、食い入るように画面を見つめていた。
彼の言語は、「根性」や「前例」ではない。
「利益」と「損失」だ。
『ワンチーム』のレポートは、完璧に、彼の言語で語りかけていた。
長い沈黙の後、彼は、静かに、しかし力強く言った。
「…わかった。
その、最適予算とやらを承認しよう。
だが、必ず、この数字以上の結果を出すんだぞ」
佐藤は、深く、深く頭を下げた。
オフィスに戻り、予算が承認されたことをチームに伝えると、高橋をはじめ、メンバーたちから歓声が上がった。
佐藤は、自分のPCで、静かに佇む『ワンチーム』のロゴを眺めていた。
システムの優しさとは、時に、人間が感情や慣習で曇らせてしまう「事実」を、静かに、しかし、誰にも否定できない「数字」という言葉で、まっすぐに示してくれることなのかもしれない。
それは、チームの未来を守るための、最も賢く、そして力強い優しさだった。
エピソード「賢い“予算案”」、最後までお付き合いいただき、ありがとうございました!
感情や慣習ではなく、客観的なデータこそが、未来を切り拓く力になる。
そんなメッセージが伝わっていれば嬉しいです。
さて、次に彼らを待つ課題は「非効率なオフィス環境」です。
また明日から、新しいお話が始まりますので、お楽しみに!
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